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カトリック情報 Catholics in Japan

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忍耐の必要性 シエナの聖カタリナ

2021-07-11 11:36:40 | 対話(聖カタリナ)
忍耐ぶかく患難を堪え忍ばなければ、神意に添うことができないことについて。──神はなぜ、この霊魂とその霊的父とに、まことの忍耐をもって患難を堪え忍ぶようはげますかについて。

 すると、神は、霊魂がその霊的「父」(16) の救いに対する渇望にかられてささげた第三の願いに答えて、つぎのように言われた。
 ──いとしいむすめよ、わたしは、かれ自身、霊魂の救いに対する飢えとこれに献身する熱誠とによって、「真理」であるわたしを喜ばせるよう努力することを望んでいる。しかし、かれも、他のだれも、すでに話したように、わたしがあなたがたに許す数多くの迫害を堪え忍ばなければ、これを成しとげることができない。
 それゆえ、あなたがたが、聖なる教会のなかで、わたしに誉れがささげられるのを見たいと願うならば、苦しみに対する愛とこれをまことの忍耐をもって堪え忍ぶ意志とを抱かなければならない。わたしは、これによって、かれと、あなたと、わたしの他のしもべたちとが、わたしの誉れを真実に求めていることを認めるであろう。そうすれば、かれはわたしの至愛な息子になるであろう。そして、かれと他の人々は、わたしの「ひとり子」の胸にいこうことができるであろう。わたしの「ひとり子」はわたしが架けた橋である。あなたがたはみな、その橋を渡って、あなたがたの目的に達し、あなたがたがわたしに対する愛のために凌いだすべての苦しみの実を受け取るであろう。
 だから、雄々しくこれを堪え忍んでほしい。

聖カタリナに現れたイエズス様による啓示  

(シエナの聖カタリナ、岳野慶作訳『対話』)




聖カタリナの熱意

2021-07-10 15:44:50 | 対話(聖カタリナ)
この霊魂はますます愛に燃え、血の汗を流したいと望んだことについて。──その霊的父のために、神に特別な祈りをささげたことについて。

 すると、この霊魂は、ますます燃えさかるその望みの火のなかで、酔いしれ、われを忘れたようになって、至福と悲しみとを同時に感じるのであった。神のなかでおこなった一致によって、その喜びといつくしみとを味わい、その慈悲に完全に沈められたようになっていたので、至福であった。しかし、それと同時に、これほど偉大ないつくしみが侮辱されるを見て、悲しみに閉ざされていた。そして、神の「威光」に対して感謝をささげた。なぜなら、神が被造物のみじめさを示されたのは、この霊魂の熱誠をもっと高め、その望みをもっと広げざるを得ないように仕向けるためであることをさとったからである。
 この霊魂は、その感情が永遠の「神性」のなかであらたにされるのを感じ、この愛の聖火がきわめてはげしくなったので、霊魂が肉体に加えた暴力のもとで、水の汗が流れた。なぜなら、この霊魂が神と結んだ一致は霊魂と肉体とのあいだにある一致よりも密接だったからである。この霊魂が感じていた愛の熱情と肉体に加えた暴力とは、肉体に汗を流させた。けれども、霊魂はこの水の汗を軽蔑した。なぜなら、その体から血の汗が流れるのを熱望していたからである。霊魂は自分自身に言った。
 ──ああ、わたしの霊魂よ、おまえはおまえの生命の全期間を浪費した。そのために、おびただしい悪と災いとが、世界と聖なる教会との上に、全体的にも個別的にも襲いかかった。だから、おまえは、血の汗によって、これほどの悲惨をいやすがよい。──
 まことに、この霊魂は、「真理」が述べた教えを立派に心にとどめていた。それは、自分自身に対する神のいつくしみをいつも認識すること、そしてまた、神の怒りと正義とをなだめて、全世界に救いをもたらすために必要なくなり、すなわち謙遜で、絶え間ない聖い祈りをささげなければならないこと、これである。
 すると、この霊魂は、聖い望みにかられて、はるかに高くのぼり、知性の目を開いて、神の仁愛のなかで自分を熟視した。そして、そこで、わたしたちが、霊魂の救いによって、神のみ名の栄光と賛美とをどれほど愛し、求めなければならないかを見、かつ味わった。霊魂は、神のしもべたちはそのために召されていること、および永遠の「真理」は、その霊魂の「父」を召し、選定されたことをさとった。霊魂は、この「父」をいつも神の「いつくしみ」の前に運び、かれがまことにこの「真理」に従うことができるように、かれに恩寵の光明を注いでくださることを祈り求めるのであった。

聖カタリナに現れたイエズス様による啓示  

(シエナの聖カタリナ、岳野慶作訳『対話』)




誰も神の手から逃れられない

2021-06-30 02:19:03 | 対話(聖カタリナ)
神はすべての人をあわれみあるいは正義によって捕えているから、だれも神の手をのがれることができないことについて。

 ──だれもわたしの手をのがれることができないことを知ってほしい。なぜなら、わたしは「存在者」であるが、あなたがたは、あなたがた自身で存在するのではないからである。あなたがたは、わたしによって造られた程度にしか存在しない。わたしはすべてのものの創造主であって、これに存在を分かつ。しかし、罪の創造主ではない。なぜなら、罪は存在ではないからである。したがって、罪は「わたし」によって創造されたものではない。罪は「わたし」のなかにはないから、愛される価値がない。被造物は、「わたし」を愛する義理と義務とがある。なぜなら、わたしは至高の善であり、しかも、きわめて熱烈な愛をもって、被造物に存在を与えたからである。ところが、被造物はわたしを侮辱する。なぜなら、愛してはならないもの、すなわち罪を、愛するからである。しかし、人間は、わたしからのがれることができない。あるいは、かれらの過失を罰するわたしの正義に捕えられて、わたしのなかにいるか、あるいは、わたしの慈悲に守られて、わたしのなかにいるか、どちらかである。
 だから、知性の目を開いて、わたしの手を眺めるがよい。わたしが言っていることが真理であることが分かるであろう。──
 そこで、この霊魂はこの偉大な「父」に従うために、精神の目を開いた。すると、この神の手のなかに、宇宙全体がこもっているのが見えた。神は言われた。
 ──いとしいむすめよ、だれもわたしをのがれることができないことを見て知るがよい。すでに話したように、みながここに正義あるいは慈悲によって 捕えられ ている。なぜなら、みなが「わたし」によって造られ、「わたし」に属しているし、わたしはみなを言葉に言いつくせないほど愛しているからである。それゆえ、わたしは、かれらの邪悪さにかかわらず、わたしのしもべたちに免じて、かれらに慈悲を注ぐし、あなたがあれほどの愛と悲しみとをもってわたしにおこなった願いを聞きとどけるであろう。

聖カタリナに現れたイエズス様による啓示  

(シエナの聖カタリナ、岳野慶作訳『対話』)



神は人間の悪徳と自己愛を憤り、祈りと涙を求める

2021-06-29 18:10:35 | 対話(聖カタリナ)
神は人間の悪とくに自愛心をいきどおり、この霊魂に祈りと涙とを求めることについて。

 そこで、神は、わたしたちの救いに対する愛に燃えさかり、この霊魂のなかに、愛と悲しみとの火をますます掻き立てるよう努力された。そして、ご自分がどれほど大きな愛によって人間を創造したかをあらためて示し、つぎのように言われた。
 ──ところで、あなたは、すべての人がわたしに敵対しているのが見えるであろうか。わたしは、熱烈な愛の火をもってかれらを創造し、かれらに恩寵とほとんど無限な多くのたまものとを賦与したではないか。しかも、それを、かれらの側からはなんの功徳もないのに、純然たる恩寵によって実行したではないか。ところが、いとしいむすめよ、見るがよい。かれらは、いかにも重い多様な罪によって、とくに、すべての悪のみなもとであるあのみじめで憎むべき自愛心、かれら自身に対する愛によって、わたしに敵対しているではないか。
 全世界を毒したのはこの自愛心である。それというのも、わたしの愛はそのなかに隣人に関するあらゆる徳を含んでいるが、感覚的な自愛心は、すでに示したように、わたしの愛が仁愛から発するのとはちがい、傲慢から発するのであって、そのなかにあらゆる悪を含んでいるからである。
 かれらは、隣人に対する仁愛から分離され切断されているので、この悪を被造物を介して犯す。かれらはわたしを愛さないから、隣人を愛さない。なぜなら、この二つの愛は、解くことができないほど一つに結びついているからである。それゆえ、わたしはあなたに、すべての善と悪とは隣人を介しておこなわれると言ったのである。これは前に説明した通りである。
 人間は、わたしから善しか受けていないのに、憎しみを返し、あらんかぎりの悪をおこなっているのであるから、わたしは人間に対していきどおりを抱かざるをえない。それゆえ、すでに話したように、わたしの怒りをなだめるためには、わたしのしもべたちの涙が必要である。それで、あらためて言いたい。わたしのしもべであるあなたがたは準備してほしい。そして、あなたがたがその多くの祈り、苦難、願望、わたしに加えられる侮辱とかれらの亡びとに対する悲しみをもって、わたしの前に進み出て、わたしの神的正義の怒りをなだめてほしい。

聖カタリナに現れたイエズス様による啓示  

(シエナの聖カタリナ、岳野慶作訳『対話』)



クリスチャンの為だけでなく全世界の為に祈れ シエナの聖カタリナ

2021-06-28 02:21:02 | 対話(聖カタリナ)
この霊魂は、神のいつくしみを知って、キリスト教徒のためだけではなく、全世界のために祈ることについて。

 そこで、この霊魂は、その知識が増大するのを感じ、果てしない喜びに力づけられた。そして、神のあわれみに対して抱いていた希望と、味わっていた言い知れぬ愛とによって、押し上げられるようになって、神の「威光」の前に立った。この霊魂は、神が、人間にあわれみを注ぎたいと願うその愛と望みとにより、人間の敵意にかかわらず、そのしもべたちに、ご自分のいつくしみを強要し、怒りをなだめる方法と道とを与えることをさとった。これによって、この霊魂は喜びに満たされ、世の迫害に対する恐れをことごとく除かれ、神は自分の味方であると確信するようになった。
 この聖い望みの火はますます燃えさかり、神からさずかったもので満足することができなくなった。それで、聖い信頼を抱いて、全世界のためにあわれみを哀願した。たしかに、聖なる教会の改革に関する第二の願いには、すでにキリスト教徒と異教徒との善と利益とが含まれていた。しかし、この霊魂は、神ご自身に鼓吹され、飢えた者のように、その祈りを全世界に広げ、つぎのように叫んだ。
 ──永遠の神よ、あなたは善牧者です。どうぞ、あなたの羊たちをあわれんでください。いそいで世をあわれんでください。このままでは、どうにもならないように思われます。なぜなら、みな、あなたとの間にも、あいたがいの間にも、仁愛による一致を失っているように思われるからです。永遠の「真理」よ、かれらは、もはや、あなたの上にきずかれた愛によって愛し合えなくなっているのです。

聖カタリナに現れたイエズス様による啓示  

(シエナの聖カタリナ、岳野慶作訳『対話』)