「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No. 37 ★ 中国人の海外脱出が急増中!「潤」で日本移住→タワマン爆買い・インター入学する“新しい中国人”とは?

2024年01月28日 | 日記

DIAMOND online  (舛友雄大:中国・ASEAN専門ジャーナリスト)

2024年1月24日

写真はイメージです Photo:PIXTA

最近、街で中国人が増えたと思ったことはないだろうか?観光客ではなく、日本に住んでいる中国人だ。これは気のせいではなく、在留資格を得て日本に中長期滞在する中国人が増えている。さらに、中国人が増えているのは日本だけではない。今、続々と中国人が中国を出て海外へ移住しているのだ。どんな人たちが、どんな理由で中国を脱出しているのだろうか?(中国・ASEAN専門ジャーナリスト 舛友雄大)

中国人富裕層・知識人が、日本へ移住するケースが増えている

 ここ数年、従来とは違う、新しいタイプの中国人が日本へ移住するようになってきた。都内のタワーマンションを“爆買い”して話題になったり、インターナショナルスクールに子どもを入れたりと、中国人富裕層や、言論や表現の自由を求める知識人・文化人が、中国を離れ、日本に移り住むケースが増えてきているのだ。

 こうした経済的に余裕のある中国脱出組に特に人気なのが、外国人企業経営者向けの在留資格「経営・管理ビザ」だ。法務省が発表する在留外国人統計によると、日本でこのビザを保有する中国人は2022年6月に約1.4万人だったのが、2023年6月は約1.8万人になった。22%増というのは、これまでにない急な増え方である。

 経営・管理ビザは外国人が日本で起業するための在留資格を得られるビザだが、日経新聞などが昨年10月に「外国人の企業誘致へ要件緩和 出資金なしで2年滞在可能」と報じたように、2024年度にはさらに要件が緩和される見込みだ。そしてこのビザの取得者の約半数を、中国人が占めているのだ。

 中国人が海外へ移住する~これはいわゆる「潤(ルン)」と言われる動きで、今後ますます加速していくと思われる。さらにこれは世界的な現象で、中国人の脱出先は日本だけではない。今後、日本がこうした人々をどのように受け入れるのか考える上でも、世界の趨勢を把握することが不可欠だ。

「潤う」+「run(逃げる)」のダブルミーニング 習近平時代に増え、2022年の上海ロックダウンが後押し

「潤」とは、先進国など、より豊かな国へ移住することだ。「潤」の字を中国の発音表記(ピンイン)で表記するとrunであることから、原義の「潤う」と英語のrun(逃げる)でダブルミーニングとなっており、お金を稼ぐ(潤う)ために海外で働くというだけでなく、国内の状況悪化に伴い海外へ逃げ出すというニュアンスがある。

 本格的に流行するようになったのは、2022年に中国随一の国際都市・上海で厳しいロックダウンが実施されて以降だ。さらに、中国政治の集権化、経済減速が鮮明になってきたこともこの動きを加速させる要素となっている。また、「潤学」という言葉もあり、こちらは「潤」の考え方を体系的に学んだり、具体的な方法を研究したりすることを意味する。

 そんな「潤」の実態が垣間見えるのが、「潤学綱領」という、「潤」を実践する有志によってまとめられたサイトだ。

「潤は中国人にとって唯一の真の宗教であり、唯一の真の哲学といえる。それは物理的な救済を信じる宗教であり、その実質的な価値は、精神的な救済を追求するキリスト教徒に匹敵するものである。潤の人たちはまだ潤していない人たちを助けることを喜びとし、彼らを現実の『地獄』から救う」とうたう。

 その上で、中国15億人(筆者注:中国政府発表の人口は14億人あまり)のうち、年収12万人民元(約244万円)超が1億人ほどおり、そのうち約1000万人が「情報封鎖」を突破し、外部ネットワークにアクセスする条件を備えており、さらにそこから200万人の特権階級や既得利益者を除く800万人が潜在的な「潤」だと推計する。

政治体制で変わる中国人の国外流出状況

 実際、中国人の国外流出が鮮明になってきていることは国連の統計からはっきり読み取れる。

 中国への移民から中国からの移民を引いた合計純移動数は、2012年にはいったんマイナス12万4641人まで縮小しており、つまり流出は縮小傾向にあった。だが、習近平時代が始まって以降、流出増の方向に転じた。国家主席の任期を5年×2期、10年を上限とする憲法の条文を削除する憲法改正を行なった2018年には、マイナス30万近くまで急増し、コロナ禍で上海ロックダウンが起きた2022年にはさらに増えてマイナス31万を記録。そして2023年は前年を上回るスピードで流出が続いた。まさに「中国人は足で投票している*」と言ってもいい状況になっているのだ。

*足で投票する…自分が住みたい政治体制や国家の方向性によって、国内外に出たり入ったりすること。

 中国脱出の動きは資産家階級でも加速している。投資移住コンサルティング会社ヘンリー&パートナーズは、2023年6月に公表したリポートで、2023年、中国の富裕層(100万米ドル超の投資可能資産を保有)の国外流出は1万3500人で世界最多になると予測した。

金持ちか、逆に貧しいか……「潤」をする人々にもヒエラルキーがある

 そんな「潤」の形態は多種多様だ。

 日本に移住してきたばかりのメディア関係者の郭さん(仮名)は、「日本には移民国家のイメージはないが、意外に入りやすい。ただ移民に関連する情報を希望者自身で収集するのは難しく、独自の情報源が必要だ」と語る。確かに、私が接触した多くの「潤」の人々は、移民コンサルやSNSの情報で糸口をつかんだ人が多かった。

 郭さんによると、「潤」する人にもヒエラルキーがあるという。大富豪は脱出する方法がさまざまあるが、最も悩みが多いのは、ある程度資産があり、かつ今後の現地社会での収入源を考えなければならない中流階級なのだそうだ。ヒエラルキーの最下層は逆に選択肢が限られており、“バックパック一つで出て“いけばいいので、悩む必要はないと解説する。

自分の足で歩いて中米数カ国を抜け アメリカへ入国する「走線」ルート

 その最下層が主に選ぶのが、「走線」と言われるルート。日本語では「徒歩でいくルート」といった意味になる。一番有名なのが中米から数カ国を経て、最終的にメキシコ国境からアメリカ入りするルートだ。今や、YouTubeやSNSで「走線」の経験をシェアする人も増えており、専門のコンサルさえ誕生している。

 BBC中文版は1年前に、この「走線」について詳報している。

 コロナがまだ猛威を振るっていた2021年夏にこの路線でアメリカへ脱出した、武漢出身で「90後(1990年代生まれ)」の楊金(正しい漢字は「金」が3つ)さんを取材した記事だ。もともとカメラマンで、コロナに関係する撮影をしていたところ、公安によって派出所に連行され、殴打されたことで脱出を決意したのだという。中米に渡った楊金さんが、一番つらかったと話すのは炎天下の密林地帯。雨にさらされたり、夜には気温が急に下がって寒くなったり、足には虫にかまれた痕が無数にできたり……と大変な困難の末にアメリカへ脱出した。アメリカで暮らすようになってからも配達員の仕事に就くなど苦労の絶えない楊さんだが、「ここに来たことを後悔していません。中国にいた方が後悔したでしょうね」と語っている。

 実際、米国税関・警備局によると、2023年1月~9月にかけて、米南西部国境から不法入国した中国籍の人々は2万4000人超おり、前年の11倍以上の急増となっている。

シンガポールやタイへ東南アジアでも「潤」は増えている

 日本やアメリカだけではない。「潤」の動きとしてはシンガポールやタイへ移る動きも活発化している。

 シンガポールはコロナに関する入国規制をいち早く撤廃したこともあり、中国人の脱出先として注目を集めた。中国人が高級コンドミニアムなどを「爆買い」するケースが相次ぎ、現地で家賃上昇の一因ともなった。そんな中、シンガポール政府は2023年4月に、不動産を購入する際の印紙税を引き上げ、外国人に適用される税率は従来の2倍の60%とした。この政策が導入されて以降、中国人による「爆買い」はようやく一段落した。その他にも、中国からシンガポールへカネが流出する動きを反映して、超富裕層向けに投資や税務などを一括で取り扱うファミリーオフィスの数が2020年の約400社から2021年には約700社へと急増した。

 他にも、タイ北西部に位置するチェンマイには中国人知識人のコミュニティーが誕生しており、著名作家の野夫氏などが滞在している。また、タイ在住の中国人事情通によると、まず到着ビザでタイ入りし、その後トルコを経由して、脱出する方法が一時期確立していたものの、最近では「潤」と分かると搭乗拒否に遭うケースも出てきたとのことだ。

 去年東京に移住してきたばかりの40代の中国人男性は「トルコや小国のパスポートを買う人もいます。CRS(共通報告基準、加盟各国の徴税機関が相互に自国民の銀行口座の取引記録を閲覧できる制度)非加盟国だと脱税ができますし、コロナ期には自由に出入りできる安心感を求めてマルタなどで生活する人がいました」と話す。

 さらには、北朝鮮からの「脱北者」さながらの現象も起きるようになってきている。2023年8月、30代の中国人男性活動家が水上バイクで中国を脱出。山東省から黄海を隔て、320キロメートル離れた対岸の韓国・仁川の海岸にたどり着くという事件が起きた。

 ゼロコロナ政策が引き金となり、中国のあらゆる階層で、「海外で自由に動けるベースを確保する」ことが最重要課題となってきている。「潤」は世界各地で同時に起きている一大潮流なのだ。中国、そして世界各国の状況を踏まえつつ、日本はどのように彼ら彼女らと向き合うのか。本格的に議論すべき時がやってきているといえそうだ。

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No.36 ★ 2023年の対中投資8%減で、マイナスに転落

2024年01月28日 | 日記

NNA ASIA

2024年1月24日

アジア経済ニュースNNA ASIAは2024年01月22日に、中国商務省は2024年01月19日に、2023年の外資によるFDI(Foreign Direct Investment/外国直接投資/海外直接投資)実行額が前年比8.0%減の1兆1,339億1,000万元(約23兆3,500億円)だったと発表した。米ドル建ての投資額は示さなかった。

産業別では、製造業向けが1.8%減の3,179億2,000万元。うちハイテク製造業向けは6.5%増だった。医療機器設備・計測機器製造業向けは32.1%増、電子・通信設備製造業向けは12.2%増。

サービス業向けは13.4%減の7,760億8,000万元で、建設業(43.7%増)、科学技術成果の転換サービス業(8.9%増)、研究・設計サービス業(4.1%増)が伸びた。

ハイテク産業への投資は4,233億4,000万元となり、全体の37.3%を占めた。比率は22年に比べ1.2ポイント上がり、過去最高となった。

地域別では、フランス(84.1%増)とイギリス(81.0%増)からの投資が大幅に増えた。オランダ(31.5%増)やスイス(21.4%増)、オーストラリア(17.1%増)も増加した。

外商投資企業の2023年の新設数は39.7%増の5万3,766社。

新型コロナウイルスの感染拡大で国・地域をまたいだ投資が冷え込む中でも、外資による直接投資は2022年まで4年連続で過去最高を更新していたが、2023年はマイナスに転落した。

中国政府は2023年08月に外資企業の投資環境の改善に向けた施策を投入するなど、外資の呼び込みに動いている。
しかし。中国は、これまで投資先を探していたので、急に180度転換は難しい。

2〜3年で成果が出ることだろう。

2024年01月16日---中国は日本の代表団に対し、二大国家は違いにもかかわらず現代経済において相互補完できる可能性があると語る。

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No.35 ★ 「中国が最も恐れる男」が見据える対中関係の急所 「異能外交官」垂秀夫・前中国大使がズバリ提言

2024年01月28日 | 日記

東洋経済オンライン (西村 豪太 : 東洋経済 コラムニスト)

2024年1月24日

垂秀夫(たるみ・ひでお) 

1961年大阪府生まれ。1985年京都大学法学部卒、外務省入省。在外勤務は中国、香港、台湾と一貫して中華圏。2020年9月から2023年12月まで在中国大使を務めた。第二の人生では、長年の趣味である写真を本業にしたいという(写真:編集部)

2020年9月から2023年12月まで在中国大使を務めた垂秀夫氏は、中国の各界に深い人脈を持つ。対中インテリジェンスの第一人者として数々の武勇伝で知られ、アグレッシブな仕事ぶりから「中国が最も恐れる男」との異名をとった(参考記事:中国を知り尽くす異能の外交官 垂 秀夫 新中国大使)。

ともすれば「対中強硬派」と見られがちな垂氏に日中関係について見立てを問うと、独自の視点からの答えが返ってきた。

今は「3度目の日本ブーム」だ

ーー中国大使在任中は「中国が最も恐れる男」と言われました。民間人となったいま、日中関係の課題をどうとらえますか。

日中関係の基礎は経済交流と人的往来だ。とくに私は人的往来、なかでも中国から日本への人の流れに注目している。いま中国人が日本に大勢来ているが、私はこれを近代史で3回目の「日本ブーム」ととらえている。

アリババ創業者のジャック・マー(馬雲)氏などの有名人も日本に生活拠点を持っていることが知られている。この現象を、歴史を踏まえて観察することが必要だ。

ーーそれぞれ、どういうブームだったのでしょう。

1回目は、日清戦争が終結した1895年ごろに始まった。1898年に戊戌変法(清朝政府の体制内改革運動)が失敗すると、康有為、梁啓超などの改革派が日本に逃れてきた。孫文、黄興をはじめとする革命派も日本を拠点とした。

1905年に科挙が廃止されたことを受けたことも、行き場がなくなった知識人が新知識を求めて日本にわたる要因になった。明治維新の経験に学ぼうとする、そのうねりが辛亥革命(1911年)を実現したし、さらには日本に留学した陳独秀、李大釗(り・たいしょう)を創始者に含む中国共産党の建党にもつながっている。

なかでも中国で革命の父と尊敬されている孫文は、日本との縁が非常に深い。2023年の11月に北九州市にある「旧安川邸」で、中国から送られた孫文像の除幕式が行われた。安川電機創業者の安川敬一郎は辛亥革命の前後に孫文を資金面で支えた人物だ。私も大使として、式典のためのビデオメッセージを送った。 

当時の政府が総じて「ことなかれ主義」だったのに対し、民間には頭山満、宮崎滔天のような運動家から犬養毅などの政治家まで、中国での新しい動きを支援する人物がたくさんいた。100年以上前のできごとだが、こうした人のつながりが今に生きている。日中関係を動かす極めて重要な要素だ。

ーーその流れは日中戦争で一度は断ち切られたわけですが、やがて復活したのでしょうか。

文化大革命が終わり、1978年に鄧小平による改革開放が始まってからが2回目の日本ブームだ。当時の中国では、経済の現代化を進めるためにアメリカ、ドイツ、日本がモデルとして検討された。そして鄧小平が訪日し、新日本製鉄、松下電器産業(いずれも当時)の視察や新幹線への搭乗を経験したことが日本をモデルにする決め手になった。

鄧小平による改革開放政策の幕開けとともに、近代で2回目の「日本ブーム」が始まった。写真は広東省深圳市の広場に掲げられた鄧小平の肖像画(写真:ブルームバーグ)

このときは日本政府も積極的だったし、民間企業もそれに呼応した。協力したのは製造業だけではなく、銀行や証券会社なども積極的に研修生を受け入れた。大来佐武郎、宮崎勇など閣僚レベルのアドバイザーもいた。

1980年代に入ると、日本語学習名目で「就学生」が大量に来た。就学生には上海出身者が多く、帰国してビジネスで成功した人も少なくない。上海に日本にフレンドリーな気風があるのは、そのとき形成された人的基盤があるからだ。

習近平政権のもとでの生活に見切り

ーーそして3回目が現在ということですね。なぜなのでしょう。

いまや中国は共産党による「一党支配」から習近平国家主席による「個人支配」の国家になってしまった。国の将来を悲観して、多くの中国人が海外に渡っている。これまでなら国内で頑張ったはずの人も、子どもにまで習近平思想を教え込むような中国の現状には見切りを付け始めた。

行き先としてはアメリカ、カナダ、オーストラリア、シンガポールなどが候補になってきたが、いまは日本が一番ホットになっている。

それが大きくは東京や京都などでの中国人による不動産取引の活発化に、身近なところでは「ガチ中華」(現地そのままの中国料理)を提供する店の増加などに表れている。

以前と違うのは日本での対中感情が非常に悪いこと。そして日本に来る人の中に富裕層が多く含まれていることだ。

ーー習近平政権の統制を嫌ってということですが、日本はどうみられているのでしょう。

市民としての権利を求める公民権運動(維権運動)に取り組む中国人の眼中に、最近まで日本はまったくなかった。1989年の天安門事件の際に、日本はまっさきに制裁を解除した。そのことが共産党に塩を送ったという印象があるので、体制に距離を置く知識人は日本に関心を失っていた。

私は2002年に胡錦濤政権が成立したころから、中国の先行きを考えるうえで「民主主義」と「法の支配」が決定的に重要になると思っていた。そこで私は継続的に知識人を日本に招いて、現実の日本社会を見てもらうようにした。

そのなかには、国会議員の選挙を視察した人もいた。与党と野党それぞれの候補の演説風景を見たり、選挙カーやポスターをめぐるルールなどを知ることで、「民主主義」がどのように運営されているかを理解したようだ。

当時の安倍晋三首相が応援演説している際に握手した人は、大いに感動していた。「アジアに民主主義と法の支配がここまで定着している国があった」ということで、彼らにとっては「日本を再発見した」という思いだったろう。東日本大震災の際の日本社会の秩序ある対応に感動している人も少なくなかった。

ーー日本社会を知ってもらうことで中国の変化を促す、という期待があるわけですか。

中国をどう変えるかは、あくまで中国人が決めることだ。しかし中国が「民主主義」と「法の支配」を尊重する方向に変わっていくなら、それは日本にとってもいいことだ。そうした変化の担い手とのつながりをもっておくのは大事だろう。

いま日本に富裕層が多く来ているというのは大きなポイントで、彼らは今後中国が変化していくうえで重要な役割を担う可能性がある。現在の台湾の与党である民主進歩党はもともと体制外の活動家の集まりだったが、台湾の企業家たちがスポンサーになったことで政党として成長した。

中国マネーを地方で活用しよう

ーー日本社会は3回目のブームをどうとらえるべきでしょう。

中国の富裕層が日本の企業や不動産を買うことについて、日本社会には一部で反発もあるようだが、これには誤解が多いと思う。基本的に習近平政権から逃がれようとしている人が多いはずだ。

いま中国の人たちの目が日本に向いていることについて、ぜひ戦略的に考えてほしい。そのためには歴史を踏まえることが必要だ。いま両国関係は厳しいが、中国人にも日本の文化や歴史への敬意を抱く人は多いと感じる。たとえば私の知人にも、高野山に骨を埋めることを望んだり、法隆寺を見て「よくぞ唐代の建築を残してくれた」と感涙するような人物がいる。

投資をめぐって摩擦が生じる背景には、中国人側の知識不足があると思う。彼らは投資のため日本の不動産を買うときにも、東京、軽井沢、箱根、ニセコ、京都といった人気のある場所にしか目がいかない。ほかに思いつかないから決まった土地に投資を集中させ、その周辺の地価が上がってしまうわけだ。

中国人は認識していないが地元の人が投資を求めているような土地があるはずで、両者を結びつける機能が必要なのではないか。最近もある県の知事と話したら、「中国の富裕層には是非来てほしい」と言っていた。地域に還元されるかたちで投資がなされるように、地方自治体などが介在する仕組みがあるといい。

もちろん大勢来る中国人のなかには、中国政府の指示を受けて活動するような人もいるだろう。問題行動を起こす人物は国外退去させられるような法整備も急ぐべきだ。

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No.34 ★ まだ課題だらけ?世界や中国のドローン物流の現在地

2024年01月28日 | 日記

36Kr Japan

2024123

ドローンを使って商品を配送するサービスは、近年もはやニュースにもならなくなった。特にコロナ禍では効率的な非接触の配達方法となり、多くの消費者が過去3年の間にドローンによる薬や出前の配達を受け入れるようになった。

ドローンは操作が簡単で、アクセスしづらい場所にも容易に行けるため、へき地への配送に適している。交通量が多く道路の状況が複雑な地上交通に比べ、渋滞も信号もない空から届けるドローン配送は非常に効率的だ。配達員が不足する中、物流会社がドローンを使って配達する場面も増えている。

これまでにEC大手や小売業者、物流企業がそれぞれドローン分野に参入し、競争が激化している。例えばイスラエルのドローン配送スタートアップ「Flytrex」は2021年末にウォルマート、米レストランチェーン「Chili’s」、ノースカロライナ州の企業と提携し、郊外の消費者向けにドローン配送サービスの試験運用を実施すると発表した。オンラインレストラン予約の「DoorDash」とGoogle傘下のドローン企業「Wing」は2022年11月、オーストラリアのクイーンズランド州南東部でドローン配送の試験事業をすると発表した。

ウォルマートは4社のドローン配送企業(DroneUp、Zipline、Wing、Flytrex)と提携し、米国の7つの州でドローン配送センターを担う36店舗を立ち上げた。Amazonもドローン配送サービス「Prime Air」を発表し、カリフォルニア州とテキサス州の試行エリアでドローン配送を行う。

中国企業も負けていない。中国EC大手「京東集団(JDドットコム)」は2015年にドローン配送技術を模索し始め、後に幹線、支線、末端の3つの段階から成るドローン配送と航行輸送のシステムを構築した。最終的に「空と陸を一体化」させたスマート物流ネットワークを作り上げ、物流網が整っていない農村地域にもEC事業を広げる計画だ。

生活関連サービス大手「美団(Meituan)」は2017年にドローンプロジェクトをスタートさせて以来、すでに深圳市や上海市などの7つの商業エリアで17航路を展開しており、14のコミュニティやオフィスビル、4つの有名観光地にドローン配送サービスを提供している。これまでに累計18万4000件以上を配達した。

宅配大手「順豊控股(SFホールディング)」はドローンを使った市内速達便事業を立ち上げたほか、支線配送分野にもチャンスを見いだした。傘下のドローン企業「豊鳥科技(Fonair UAS)」は積載重量が150キロ~3トンの中型や大型のドローンをそろえ、「幹線用大型有人輸送機+支線用大型ドローン+端末物流用小型ドローン」の3段方式の航空輸送網を構築した。

目標は大規模な商用化

テック企業は盛り上がっているが、周りで実際にドローン配送を利用した人はほとんどいない。これは錯覚ではなく、米国でも中国でもドローン配送が厳選された「試行エリア」だけで実施されているからだ。ドローン配送には技術やコスト、政策などさまざまな制約があり、大規模な運用にはまだほど遠い。

ドローン技術はめざましく進歩したものの、航続距離、安定性、積載能力などに限界があり、そのために輸送範囲が限られている。通常ドローン配送企業が公表している最大積載重量は5~10キロだが、実際の配達でははるかに少なくなる可能性がある。アマゾンの商品の85%は重量が2.3キロ以下だ。

このほか、ドローン配送ではさらに設備の維持管理、航路の調整、人員管理および受注システムや倉庫保管システムとの接続など、運用を支えるソフトウェアやハードウェアの整備も必要になる。システム全体の開発、構築、使用、メンテナンスにかかるコストは非常に高い。

インドIT企業「Wipro」が提供するドローン配送サービスの流れ

技術開発は難しくてもまだ攻略できるが、規制当局のハードルは高い。現在、世界各国のドローン政策はいずれも厳格だ。米国を例にとると、連邦航空局(FAA)はドローンの運用範囲を厳格に規定し、ドローン操作はパイロットの目の届く範囲とするよう求めている。Flytrexのような商用配送ドローンに対しては、FAAが規定や条項に基づいて個別に審査を行ったり規制を免除したりする。FAAの免除許可証をもらわなければ、ドローン配送業務を展開することができない。

中国のドローン規制も徐々に実施されている。国務院は2021年、「国家総合立体交通網計画綱要」の中で初めて低空経済に言及した。2022年には交通運輸部などの部門が、ドローン配送に関する4つの基準を含む「交通運輸スマート物流標準体系建設指針」を発行した。民用航空局は特定のドローン運営者に対して人、機械、管理、環境の全方位、全プロセスの運用能力と経営レベルを審査したうえで、ドローン輸送企業に認可書と許可証を発行する。

米調査会社ガートナー(Gartner)の予測では、2026年までに世界で100万台以上のドローンが配送サービスを提供し、世界の市場規模は80億ドル(約1兆2000億円)を上回るようになる。しかし現時点では、いかに技術上のボトルネックを克服し、ふさわしいビジネスモデルを見つけるかが、すべての参入企業が考えるべき問題だ。

作者:硅兎賽跑(WeChat ID:sv_race)

*2024年1月18日のレート(1ドル=約148円)で計算しています。

(翻訳・編集:36Kr Japan編集部)

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No.33 ★ 中国住宅市場は調整長期化へ、時間をかけた“漢方治療”はさらなる停滞につながる

2024年01月28日 | 日記

DIAMOND online (オックスフォード・エコノミクス 在日代表 長井滋人)

2024年1月22日

販売・建設ペースが示す中国住宅市場の
需給調整に要する年数

販売・建設ペースが示す中国住宅市場の需給調整に要する年数 出所:Oxford Economics

 今後数年の中国経済は、4%程度の成長率維持が精いっぱいではないか──。そう悲観せざるを得ない理由は、行き過ぎた住宅市場の調整が長期化することだ。

 中国の不動産バブルは2021年をピークに調整局面に入り、住宅の販売や着工ペースの減少が続く。多額の借り入れや住宅購入者の前渡し金を原資に住宅開発を進めてきた不動産開発業者は、資金繰りに四苦八苦している。

 この事態に当局の対応はどうか。販売面では、不動産投機抑制策の緩和や銀行への働き掛けで梃入れをしている。建設面では、不動産開発業者が完成住宅の受け渡し前に倒産しないよう、銀行を通じて資金繰りの支援を行っている。

 しかし、このような販売や建設の取引フローの維持だけでは、増え続ける膨大な住宅在庫の処理には「焼け石に水」だ。調整圧力が何年も続くことは、簡単な試算で明らかになる。

 中国国家統計局が推計する販売中の完成住宅在庫を現在の販売ペースで割ると、処理には3.6年要する。ただ、中国は販売後に住宅が完成するケースが多く、未完成物件も勘案すると事態はより深刻だ。

 現在の住宅の建設ペースをならすと59億平方メートルとなるが、販売ペースは10億平方メートル弱にとどまる。この需給のギャップが続くと、現在建設中の住宅を売りさばくには6年を要することとなる。

 これらの試算は、現在の販売ペースが維持できる前提だ。しかしながら、投機的な需要を除いた住宅への実需を人口動態、都市化率、世帯の平均人数を基に試算すると、中長期的に今後、販売ペースは低下傾向をたどることになる。

 中国当局は、金融危機後の欧米のような早期の思い切った不良債権やバランスシートの処理という外科手術は回避し、時間をかけた漢方治療の道を選んだようだ。

 時間をかけた不動産バブルの調整が長期停滞を招くことは、わが国の経験からも明らかだ。加えて、バブル処理の負担を負わされた銀行部門の体力がむしばまれると与信姿勢も慎重になり、停滞に拍車を掛けかねない。