「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.3 ★ 【年始特集】 アジア景気、不透明感続く プラス材料乏しく、駐在員調査

2024年01月25日 | 日記

NNA ASIA

2024/1/4

NNAがアジアの日系企業駐在員らを対象に実施した調査で、2024年上半期(1~6月)の景気が23年下半期(7~12月)から横ばいになるとの回答が半数近くを占めた。改善を見込む回答は約35%で、悪化するとの回答を上回ったものの、世界経済に不透明感が出ているなかで明確なプラス材料がなく、景気回復は早くても24年後半になるとの声が目立った。台湾で総統選、インドネシアで大統領選、インドで総選挙が予定されていることも、慎重な見方が広がる一因になった。

輸出の見通しが不透明な状況下、国内消費の拡大に期待がかかる=23年12月、タイ(NNA撮影)

24年上半期の景気が23年下半期から「横ばい」になるとの回答は44.8%だった。「緩やかに上昇」(32.0%)、「緩やかに下降」(15.1%)などを上回り最多だった。

国・地域別では、マレーシア(63.2%)、タイ(52.3%)、ベトナム(50.0%)など8カ国・地域で「横ばい」が最も多く、フィリピンも「緩やかに上昇」と同率でトップだった。

業種別で見ると、繊維と公的機関を除く全業種で「横ばい」の割合が最多だった。鉄鋼・金属(57.1%)と貿易・商社(51.1%)は半数以上を占めた。

 

横ばいと予測する理由では「取りあえず現状を変える明らかな要因はない」(中国/石油・化学・エネルギー)、「景気が回復する大きな根拠は見えず、製造業を中心に回復は遅れると見込んでいる」(ベトナム/その他の非製造業)と、明確なプラス材料に欠けるという意見が目立った。

今月13日に総統選を控える台湾では「台中関係は不透明感が継続」(石油・化学・エネルギー)、ジョコ大統領の任期終了に向け、2月に大統領選が実施されるインドネシアでは「大統領選挙は6月の決選投票になる可能性が高い。それまでは経済政策も定まらず、プロジェクトなどが停滞すると思われる」(鉄鋼・金属)と、新体制が確立するまでに「空白期」が生じることを警戒する声もあった。

23年5月の総選挙後に首相選出が難航し、9月にようやく新政権が発足したタイでも「政権が不安定」(小売り・卸売り)、「政策が一過性で次の施策が見えない」(四輪・二輪車・部品)といった国内政治の行方を懸念する声が聞かれた。

東南アジア諸国連合(ASEAN)は、欧米や中国への輸出が成長エンジンになっているケースが多いことから、「中国、欧州経済が低迷。頼みの米国経済の見通しが厳しい」(ベトナム/運搬・倉庫)、「中国経済の影響を受け、ASEAN諸国の成長回復は限定的」(マレーシア/石油・化学・エネルギー)と、輸出先の経済動向を予想に織り込む姿勢も目立った。

景気の悪化を見込む「下降」と「緩やかに下降」の合計は20.4%だった。この割合は21年2月のクーデター以降に混迷が続くミャンマーで100%だったほか、オーストラリア(36.3%)、中国(29.9%)、韓国(29.4%)、インドネシア(24.5%)などが比較的高かった。

理由では「回復するためのリソースがない」(シンガポール/サービス)、「楽観視する材料が皆無」(中国/その他の製造業)など、回復の兆しが見られないという回答のほか、景気の判断材料が乏しいなかで客先の動向などから好転が見込めないと回答している向きもうかがえた。

電気自動車(EV)の普及が進む中国では、特徴的な回答として「日系車両の販売不振」(四輪・二輪車・部品)、「日系自動車メーカーの衰退と日本材の販売減が進む(現地材化)」(鉄鋼・金属)、「日系の『新エネルギー車(NEV)』のラインアップ遅れ」(四輪・二輪車・部品)と、日系自動車メーカーの事業低迷を指摘する意見が目立った。

■インドは改善見通し66%

24年上半期の景気について「緩やかに上昇」と、より楽観的な見方の「上昇」を合わせた割合は34.6%だった。同割合は、高い経済成長を維持するインドが65.8%と圧倒的に高く、台湾も53.6%と過半数を占めた。

インドは「上昇」の割合が19.5%と唯一2桁台だった。四半期ベースで7%台の高成長を維持する国内経済の好調ぶりを反映し、「海外企業の進出が増加」(サービス)、「自動車販売台数の増加」(四輪・二輪車・部品)、「主要顧客の増産ならびに投資計画」(機械・機械部品)と、景気の良いコメントが並んだ。

中国は楽観的な見方が24.9%にとどまったものの、「政府が何らかの経済刺激施策を実施すると思う」(電機・電子・半導体)、「政府の支援策が進んでおり効果が出てくる」(その他の製造業)と、23年10月に発表された1兆元(約20兆円)の特別国債発行のような景気刺激策とその効果に期待する声があった。

業種別では電子・半導体分野で、在庫消化が進み、業況が回復すると期待する声も一定数あった。

■足元の景気は悪化続く

足元の状況を表す23年下半期の景気は、23年上半期から「横ばい」が最も多い33.0%だった。「緩やかに上昇」は24.6%、「上昇」は3.9%で計28.5%。「緩やかに下降」は23.1%、「下降」は15.2%で計38.3%と、景気後退を実感する声が多かった。

足元の景気が改善したとの回答は20年12月の調査をピークに減少傾向にある。回答数が異なるため単純比較はできないが、「上昇」と「緩やかに上昇」の合計は20年12月調査で69.1%を記録して以降に低下傾向をたどり、23年6月の前回調査では33.3%にまで縮小していた。

国・地域別で見た23年下半期の景気は、中国、香港、台湾、韓国、タイ、ベトナム、マレーシアの7カ国・地域で「横ばい」が最多。インドネシアとオーストラリアは「緩やかに下降」が最も多かった。

中国では不動産業界の低迷を指摘する声のほか、「財政や失業率の悪化に加え、消費傾向の変化に伴う節約意識の強まりを至る所で聞くため」(貿易・商社)、「業務を通じて。また街中での飲食店などの状況から」(貿易・商社)と、身近なところで消費の減速を感じるとする意見も目立った。

東南アジアの二大自動車生産拠点となっているタイとインドネシアでは「自動車関連産業の動向」(タイ/石油・化学・エネルギー)、「新車需要の明らかな減退」(インドネシア/四輪・二輪車・部品)と、自動車業界の市況がそのまま足元の景況感につながっている向きも見られた。

堅調な個人消費に支えられ高成長が続くインドとフィリピンは、「上昇」と「緩やかに上昇」の合計がそれぞれ78.1%、54.6%と過半に達した。特にインドは景気が悪化したとの回答が7.3%にとどまり、コメントでは「国外からの投資もあり順調に経済が成長していると感じるため」(四輪・二輪車・部品)、「自動車業界をはじめ投資計画が活発になっている」(機械・機械部品)と、投資拡大を理由に挙げる声も多かった。

<アンケートの概要>

調査は2023年12月5日から11日にかけて、アジア太平洋地域の駐在員らにインターネットで実施し、15カ国・地域の737人が回答した。業種の内訳は製造業が47.6%、非製造業が49.3%、公的機関などその他が3.1%だった。国・地域別の内訳は中国197件、インドネシア94件、タイ88件、ベトナム60件、フィリピン44件、オーストラリア44件、台湾41件、インド41件、マレーシア38件、香港32件、シンガポール32件、韓国17件、ミャンマー5件など。

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No.2 ★ 2024年中国、習近平主席の「意向」と国民の希望との乖離 ますます進む年にー東アジア「深層取材ノート」(第218回)

2024年01月25日 | 日記

JBpress (近藤 大介:ジャーナリスト)

2024年1月1日

(Robert Way/Shutterstock.com

 2024年、新年快楽!(新年明けましておめでとうございます!)

「2024年の中国はどんな年になるか?」――昨年末によく聞かれた質問だ。私は「中国ウォッチャー」であって、「中国予言者」ではないので、ピタリと言い当てることはできない。

 だが、漠然とした方向性ならば答えられる。ひと言で言うなら、絶対的権力を持つ習近平主席が行おうとすること(もしくは行いたいこと)と、14億国民が望むこととの「乖離」が、さらに進んでいく一年になりそうだということだ。

 昨年末に、図らずもこうした傾向を象徴するような二つの出来事があった。まずは習近平主席の意向について述べる。

毛沢東生誕130年の記念行事で長舌

 習主席が崇拝してやまない「建国の父」毛沢東元主席は、1893年12月26日に、湖南省韶山(しょうざん)で生まれた。つまり、2023年12月26日は、生誕130周年の記念日だった。

 この記念日の習主席は、気合十分だった。明け方に気温-8度を記録した凍てつく朝、党中央政治局常務委員(トップ7)全員と韓正副主席を引き連れ、天安門広場にある毛沢東記念館を参拝した。

 参拝を終えると、隣の人民大会堂に場所を移して、数百人の幹部たちを集めて、「毛沢東同志生誕130周年座談会」を開催した。そこで、A4用紙にして6枚半にも及ぶ長大なスピーチをぶったのだった。

 

12月26日、中国・北京の人民大会堂で毛沢東生誕130周年を記念して中国共産党中央委員会が開催したシンポジウムで演説する習近平主席(写真:新華社/共同通信イメージズ)

まるで「気分は毛沢東」

「毛沢東同志は、偉大なマルクス主義者であり、偉大な無産階級の革命家・戦略家・理論家であり、マルクス主義を中国化した偉大な開拓者、中国の社会主義現代化建設事業の偉大な先駆者であり、近代以来の中国の偉大な愛国者、民族の英雄である……。

 毛沢東同志の一生は、国家富強、民族振興、人民幸福のために、たゆまぬ奮闘を重ねた一生だった……。数十年に及んだ苦難かつ煌々たる戦闘の生涯の中で、毛沢東同志は中華民族と中国人民のために、不滅の歴史的功勲を打ち立て、光陽千秋の歴史的貢献を成し遂げたのだ。

紅衛兵の歓呼に答礼する毛沢東、1966年8月(吕相友, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で)

 毛沢東同志が高度に重視し、終始堅持したのは、マルクス主義の基本原理を用いて中国の実際の問題を解決することだった……。毛沢東同志は人民を率いて、先進的な社会主義の制度を創建した。唯一社会主義だけが中国を救うことができ、中国を発展させていけるのだ。毛沢東同志は指摘した。『社会主義制度の建設は、われわれに理想郷へ辿り着ける道を開いた』……

 そして毛沢東同志は、人民を率いて戦いに負けることがない新型の人民軍隊を造り上げた……。毛沢東同志は、自己の一生を党と人民に捧げ、後の人々に崇高な精神の規範を永遠に留め置いたのだ……」

 習近平主席は、まるで自らの演説に酔いしれるかのように説き続けた。ほとんど「気分は毛沢東」である。

文革の過ちにはサラリと触れる程度

 毛沢東主席は晩年、1966年から10年間にわたって「文化大革命」を主導し、国民を混乱の極みに陥れた。そのことを習主席はどう総括するのかと思いきや、サラリとこう述べた。

「毛沢東同志が、社会主義建設の道のりを探索する中で、回り道をしたことは否定できない。特に『文化大革命』を発動し、指導したことは、厳重な過ちだった。毛沢東同志の歴史的な功罪について、わが党はすでに全面的な評価を下した。彼の功績が第一で、過ちが第二だ。彼の過ちは、偉大な革命家、偉大なマルクス主義者が犯した過ちだ」

 日本語に訳すとうまく伝わらない部分があるが、ここのくだりは習近平主席の「本心」のようには聞こえなかった。「一応言っておきますよ」という感じで発言している気がしたのだ。

 さらに邪推するなら、「過ちを犯した毛沢東よりも、決して過ちを犯さない自分の方が上である」と言いたかったのかもしれない。演説はこう続いたのだ。

「(自分がトップの総書記に選ばれた)第18回中国共産党大会以来、わが党は新中国成立、とりわけ改革開放以来の長期にわたる探索と実践の基礎の上に、(習近平)新時代の中国の特色ある社会主義思想を全面的に貫徹してきた……。強国建設と民族復興の偉業のため、さらなる完備された制度の保証と、さらなる堅実な物質的基礎と、さらなる主動的な精神のパワーを提供してきたのだ。

毛沢東同志に対する最も優れた記念的なことは、彼が切り拓いた事業を継続して前に推し進めることだ。中国式現代化を全面的に推進して強国を建設し、民族復興の偉業を成し遂げることは、全党全国各民族の人民が(習近平)新時代の新たな過程で負う中心的な任務なのだ。

「台湾統一は必然」

 この毛沢東ら先輩革命家たちが未達成の事業を成し遂げることが、現在の中国共産党員の厳粛な歴史的責任なのだ……。祖国の完全な統一(台湾統一)は、大きな時代の趨勢であり、大義のあるところであり、民心の向くところである。祖国は必ず統一するし、統一は必然なのだ……。

 100年以上前、毛沢東同志は説いた。『努力しろ! しっかり前を向け! われわれの黄金世界、光り輝く世界が前方にあるのだ!』。こんにち、毛沢東ら先輩革命家が切り拓いた偉大な事業は正しく栄光に向かいつつあり、また彼らが追求した偉大な理想は、まさに現実に変わろうとしている。中華民族の偉大なる復興は、前代未聞の光明の前景を表出させているのだ……」

 実に長~い演説だったが、ともあれこれが習近平主席の意向だ。

 それでは、14億国民の望むところとは何か?

鄧小平路線回帰を唱える雑誌の社説が「瞬間消滅」

 1978年12月18日から22日まで、中国共産党第11期中央委員会第3回全体会議が開かれた。この会議で鄧小平副首相が「改革開放」を唱え、ここから中国の「奇跡の経済成長」が始まった。先月は、その「改革開放」政策が決議されてから、45周年だった。

1978年10月、中国の鄧小平副首相が、中国の国家指導者として初めて日本を訪問。日産自動車や新日鉄の工場を視察するなどした。写真は、ホテルニューオータニで開かれた、鄧小平副首相主催の夕食会の様子。福田赳夫首相ら400人を超える各界の「新旧友人」が招かれた。鄧小平氏が「改革開放」を唱えるのはこのすぐ後のこと(写真:共同通信社)

「改革開放」に最も積極的な雑誌『財新』は、改革開放45周年を記念して、12月25日に<実事求是の思想路線を再度思い起こす>と題した社説を発表した。「実事求是」とは、「(イデオロギーなどに惑わされず)実際の状況に基づいて問題を正しく処理する」という意味で、経済発展を重んじる鄧小平氏の口癖だった。

 同社説は記す。

「『10年動乱』(文化大革命)の衝撃を経た当時、社会経済は傷つき疲弊し、人々は心変わりした。第11期3中全会はそんな混乱を正し、合わせてその後の中国経済の沸騰の基礎を定めた。その根本的な経験こそが、実事求是の思想路線の順守だったのだ……。

 鄧小平は言った。『改革開放の成功は、もとからあったのではなくて、実践によるもの、実事求是によるものなのだ』……。この思想路線をいま一度思い起こし、さらに深く理解するのだ。45年前、荒廃し復興が待たれる峻厳な事態に直面した時、どんな確固とした決心、強大な気迫と高邁な知恵が必要だったか、どうやって難関を突破できたかをだ」

 この社説を読むと、惨憺たる経済状況が続いた2023年、まさに14億国民が望んでいることのように思えた。

 ところがこの社説は、「秒殺」に遭った。すなわち、瞬く間にネットやSNS上から削除されたのだ。

 再び冒頭の「問い」に戻る。「2024年の中国はどんな年になるか?」――まるで五里霧中である。

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No.1 ★ 中国消費市場、二極化がさらに進行 ハイエンド消費の役割顕著に

2024年01月25日 | 日記

36Kr Japan

202411

ハイエンドなライフスタイルを専門に研究する中国の研究・コンサル機関、要客研究院はこのほど、中国消費産業を代表する企業経営者が共同で立ち上げたプラットフォーム組織「要客108中国ハイエンドブランド連盟」とともに、リポート「中国の質の高い消費報告2023」を発表した。それによると、2023年の中国消費市場は上向きと下向きが離れて二極化が進む「K字型」発展がいっそう進展し、消費市場におけるハイエンド消費の役割はますます顕著となり、「ハイエンド製品でなければ購入しない」考え方が一般的になったという。
 
リポートは、消費市場が「K字型」発展を示した最も重要な原因として、価値観のアップグレードを挙げる。ライフスタイルは消費者生活のあらゆる時間と空間で育まれ、消費者を理性的に、賢くしている。価格に敏感な一般の消費者は、ブランドやプレミアム価格に抵抗感を示し、経済的な消費に走り、同質の製品では価格の安い製品ほど好むようになる。

一方、価格を気にしない富裕者層は、差別化、個別化された消費に傾き、同質の製品では価格の高い製品ほど好むようになる。これは、価格が高いことは消費リスクが低いことを示し、選択に要するコストが低いためである。この二つの価値観と認識の変化に基づく消費行動の変化は、現在と今後の中国の消費市場に深刻な影響を与え、ハイエンド化・ブランド化が進む、もしくは庶民的・大衆的になるのどちらで、中間的な選択肢が存在しなくなるという。
 
さらに、5千種類以上の中国の優れた消費財ブランドが世界的に影響力を持つ高級ブランド、ないしはラグジュアリーブランドに成長する可能性を秘めるとし、質の高い消費は外国ブランドの誘致だけでなく、中国ブランドの育成にも頼っていく必要があると指摘した。
 
23年は、ニューメディア、ブランド、オピニオンリーダーが推進する各種のライフスタイルは、95%以上の中国人の購買意思決定に影響を与え、およそ34%の新たな消費需要やオルタナティブな消費をけん引した。こうしたデータは、22年の調査結果を大きく上回った。消費は先導され、育まれるものであり、それ故に、消費財ブランドはそろって、コンテンツ運用を最も重要なマーケティング手段として重視している。
 
23年は純資産が1千万元(1元=約20円)以上の重要顧客層は453万人と、前年の470万人から3.6%減少したが、ラグジュアリーブランド消費の寄与度は2ポイント向上して84%に達し、消費への高い寄与度を示した。重要顧客層を中心とするハイエンド消費市場は今年、およそ12兆元の消費財小売総額に寄与し、中国の社会消費財小売総額に占める割合は前年比2%増の27%に拡大した。

(新華社北京)

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