「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.11 ★ 《言うべきことはハッキリと言う》 垂秀夫・前駐中国大使が台湾問題で猛抗議する「戦狼外交官」華春瑩を黙らせた一言とは?

2024年01月27日 | 日記

文春オンライン

2024年1月9日

〈「これまで中国は礼儀の国だと思っていましたが、私の理解は正しくないということがよく分かりました」〉

 中国外交部からの抗議に対して、前・駐中国大使は冷静にこう切り返した。昨年12月に駐中国大使を退任したばかりの垂秀夫氏(62)が、中国外交部との緊迫したやり取りの詳細を初めて明かした。

安倍総理の発言に中国外交部が態度を一変

〈2021年12月1日夜、私は北京中心部にある中国外交部1階の応接室で、女性報道官であり、「戦狼外交官」として著名な華春瑩部長助理(次官補)と対面し、冒頭の言葉を投げかけました。  

発端は、同日に台湾で開かれたシンポジウムでした。オンライン参加した安倍晋三元総理が「台湾有事は日本有事」と発言。日本が台湾問題に関与を強めることを警戒した中国側は、これに猛反発したのです〉  

垂氏はそれ以前からカウンターパートであるアジア担当の呉江浩(現・駐日大使)に別件で面会を求めていたが、中国側は一向に時間を作ろうとしなかった。にもかかわらず、安倍元総理の発言が伝えられると、中国外交部は態度を一変させた。

〈「すぐ外交部に来てほしい」と連絡してきたのです。失礼な話ですから、当初、部下には「放っておけ」と伝えたのですが、外交部は「来ないなら、今後、垂大使とのアポイントメントは全て拒否する」と脅してきた。仕方なく面会は了承しましたが、すぐさま駆けつけるのは癪に障るので、夜の会食が終わった後、あえて1時間ほどしてから、外交部を訪ねたのです〉

 出張中だった呉氏の代理として出てきたのが、華氏だった。初対面だったが、席につくなり華氏は「申し入れをしたい」と抗議文を強い口調で読み始めたという。30分ほど黙って聞いていた垂氏だったが、抗議が終わるとこう切り出した。

〈「華春瑩さん、初めてお目にかかります。まずは最近、部長助理に昇進されたことを、お祝い申し上げたい」  抗議をする場合でも、挨拶や雑談から始めるのが、外交上の礼儀です。彼女は途端に「マズい」という表情をしました。

一転して、「このような場でありますが(お祝いしていただき)、ありがとうございます」と居住まいを正した。これで、力関係が決まったのです。私はこう続けました。 「私が面会を申し込んだときは逃げるだけ逃げて、自分が会いたい時は『すぐに来い』と呼び出す。これが貴国の礼儀のあり方ですか」〉

国益に基づき、言うべきことはハッキリと言う

 習近平氏の一強体制と言われて久しい中国。それに伴い、各国との外交において数多くの課題が顕在化してきた。日本をはじめ、北京に駐在する各国の外交官にとっては厳しい環境が続いている。だが、垂氏は外交官として持ち続けてきた信念についてこう語る。

〈大使在任中は、いわば敵陣にいるわけですから、理不尽な目に遭うことが多々ありました。それでも、国益に基づいて、中国に対して言うべきことはハッキリと言う。それだけは常に心掛けてきました〉

人呼んで「中国が最も恐れる男」

 垂氏は京都大学を卒業後、1985年に外務省入省。天安門事件から4日後の1989年6月8日に初めて駐中国日本大使館に赴任し、以来、北京駐在は4度にわたった。2020年9月から駐中国大使を務め、昨年12月に外務省を退官した。交友関係は中国共産党の中枢に加え、民主派・改革派の知識人や人権派弁護士にまで及び、中国の裁判所で「スパイ要員」と認定されたこともある。人呼んで「中国が最も恐れる男」である。

 さらに垂氏は、昨年11月に日中首脳会談が実現した経緯や、習近平体制で中国の統治システムがどのように変化していったか、日本は対中外交をどう進めていけばよいのか、などについても詳しく明かしている。

短期集中連載「 駐中国大使、かく戦えり 」1回目の記事全文は、月刊「文藝春秋」2024年2月号(1月10日発売)と、1月9日公開の「 文藝春秋 電子版 」に掲載されている。

「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2024年2月号

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No.10 ★ 香港社会に向け発信と感謝をー日本総領事館の岡田総領事に聞く

2024年01月27日 | 日記

NNA ASIA

2024年1月8日

在香港日本国総領事館の岡田健一総領事(大使)はNNAのインタビューに応じ、2023年は新型コロナウイルス禍の収束に伴い「香港の人たちが日本に対して持っている温かい気持ちにより多く触れることができた」と振り返った。その上で、日本企業のビジネス環境をさらに改善していくためには、香港の政府と社会に向けて積極的に提言やメッセージを発信することが重要だと指摘。香港への感謝の気持ちを伝えることと併せ、オールジャパンで取り組みたいと述べた。

コロナ規制が解除された23年はさまざまなイベントやプロモーションに飛び回り、日本の魅力や邦人社会からの意見を最前線で発信した(NNA撮影)

――ご自身にとっての23年は。

これまでは新型コロナの影響で香港の人たちと直接会う機会が限られていましたが、23年はようやく香港社会に深く入っていくことができました。実際に香港の人たちと対話する機会が増えたことで、彼らが日本に対して持っている温かい気持ちに多く触れることができ、そうした環境のおかげで香港の邦人が楽しく安全に生活できていることを実感しました。香港がますます好きになった1年です。

また、23年はマカオとの往来も可能になり、何度も訪問することができました。マカオにも日本への旅行や日本食、日本文化を楽しんでくれている人たちが多いことを実感し、たいへん心強く感じました。

――総領事館の活動を振り返って

総領事館の任務の「一丁目一番地」は、香港、マカオに暮らす邦人の安全を守ること、いわゆる領事業務です。事件、事故、注意が必要な日時やイベントに関する情報のタイムリーな発信に引き続き努めています。在留邦人の安全対策について総領事館と在留邦人が話し合う「安全対策連絡協議会」も23年は再開することができました。

マカオにおいては過去の約2年ほど、新型コロナの影響で領事出張サービスを提供できず、在留邦人の皆さまにたいへんなご不便をおかけしてしまいました。22年6月に再開にこぎ着けましたが、23年はようやく平年と同じ年4回、実施することができました。

日本人学校支援も重要な仕事です。避難訓練や安全の点検について当館の担当者がアドバイスを行ったり、総領事館の仕事を児童・生徒たちに紹介したりしています。特に日本人補習授業校が直面している移転問題は当館でも最重要課題の一つと位置づけ、早期解決に向けて全面的にサポートしているところです。

16年から始まった「日本秋祭in香港」は、23年は過去2番目に多い約160件の関連イベントが開催されました。中でも香港島・銅鑼湾(コーズウェーベイ)のビクトリア公園で行われた「踊ろう!秋祭り」は、香港日本料理店協会が中心となって尽力し、たいへん素晴らしいイベントとなりました。

経済面では日本企業、自治体、香港日本人商工会議所、日本貿易振興機構(ジェトロ)、日本政府観光局(JNTO)などと連携し、さまざまなイベントやプロモーションをサポートしています。

――日本と香港の関係について。

往来が正常化し、香港旅券所持者の日本入国数は新型コロナ前の水準をほぼ回復しました。香港の人たちが日本に高い関心を持っていることに加え、JNTOや自治体、旅行会社、航空会社といった関係各方面の努力のたまものと感謝しています。

新型コロナ禍の数年は在留邦人が減少していましたが、こちらも下げ止まりの兆しが出てきました。こうした良い傾向を引き続き促進し、日本と香港の間にある信頼関係や共通の価値観に基づくつながりを大切にしていきたいと思います。

他方、日本における香港のレピュテーション(評判)回復という課題が引き続きあります。日本から香港への旅行者は新型コロナ前をまだ大きく下回っており、これは円安の要因もありますが、19年以降の香港社会の状況と日本や欧米メディアの報道による香港への印象が影響していると思われます。レピュテーションの悪化によって、在香港日系企業の多くが日本の本社から撤退や縮小の圧力を受けている状況です。

ただ実際には、香港のビジネス環境は中国本土と全く異なります。総領事館としても日本から企業の幹部が香港を訪れた際や、われわれが帰国した際には、さまざまなセミナーなどを通じて香港の実態について正負両面の正確な情報発信に努めています。

――処理水問題の影響と対応は。

香港は日本の農林水産物・食品の輸出先として過去も、これからも非常に大切な市場です。総領事館は早い段階からこの問題の重要性を認識し、22年1月にジェトロや香港日本料理店協会、流通業界などとともに関係会議を立ち上げました。東京電力福島第1原発の処理水放出に至るまで計8回の会議を開いて対応を協議し、関係者がそれぞれの立場で行動を取ってきました。

最も重要な香港政府への働きかけは総領事館が中心となり、私からのトップレベルでの申し入れをはじめとし、立法会(議会)を含む関係当局に対しても数限りなく行いました。政府のみならず、地元メディアへの説明会も重ねてきました。

そうしたオールジャパンの努力にもかかわらず、香港政府は8月24日以降、10都県からの水産物輸入を禁止し、日本から香港への魚介類輸出は落ち込んでいます。香港の日本料理店にも影響が及んでおり、こうした状況にはたいへん胸が痛みます。われわれとしては引き続き香港の当局やメディアに安全性を説明し、政府には禁輸措置の即時撤廃を求めていきます。

また、香港の一般消費者に安全性を納得してもらうことが政府や立法会を動かす素地になると考えており、その方向にも重点を置いて透明性の高い説明を続けます。私自身が香港の日本食を楽しんだり、帰国した際に福島県の魚を食べたりといった写真や動画も総領事館の交流サイト(SNS)にアップしています。関係業界のご要望に沿う形で、どんどんPR活動に協力させていただきます。

――香港の政治、経済状況への認識を。

21年末の立法会選挙で建制派(親中派)が圧勝したのに続き、23年12月の区議会議員選挙で民主派は立候補すらできない結果に終わりました。20年6月の香港国家安全維持法(国安法)施行と選挙制度改革によって、香港の「高度な自治」が大きく傷ついたとの懸念が存在していることは紛れもない事実です。

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」の世界報道自由度ランキングで、23年の香港は140位と低迷しています。教育分野においては国家安全教育が実施され、抗日戦争に関する教育も強化されています。

加えて李家超(ジョン・リー)行政長官が10月に行った施政報告(施政方針演説に相当)では、香港基本法(憲法に相当)第23条に基づく独自の国家安全保障立法を24年のうちに完了することや、サイバーセキュリティー法案を24年中に立法会へ提出することが打ち出されました。

他方、日本における香港報道で最も見落とされているのが司法の独立です。香港の終審法院(最高裁)にいる19人の判事のうち10人は英国、オーストラリア、カナダの最高裁経験者で、うち5人は最高裁長官の経験者が占めています。終審法院で香港政府が逆転敗訴するケースも見られることから、制度面でも運用面でも香港の司法の独立は維持されていると言えるでしょう。

経済については、香港政府は23年の成長率見通しを当初の「3.5~5.5%」から「3.2%」まで引き下げました。これには地政学的状況や本土の景気動向、米国の利上げなどさまざまな要因が影響しています。

これら外部環境による不利を緩和するには、行政長官の施政報告でも示されたとおり、イノベーション・技術(I&T)など香港独自の発展の力をいかに高めるか、優秀な人材をいかに確保していくかが課題となります。香港が魅力ある都市であり続けることが重要です。

また全般的に見れば、香港の国際金融センターとしての健全性はまだ維持されています。コロナ規制が解除され、「北部都会区」(新界地区の大規模開発計画)や「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」(中国広東省の珠江デルタ9市と香港、マカオで一大経済圏を形成する構想)といったプロジェクトが具体的に動き出すことへの期待もあり、これらは明るい要素と言えます。

――24年の日本と香港、マカオの関係について。

香港とマカオは日本にとって非常に重要なパートナーですので、両地において「一国二制度」の下での自由で開かれた体制が維持され、民主的かつ安定的に発展していくことを期待します。友情と信頼に基づく日本と両地との関係をさらに深め、発展させていきたいと考えています。

ビジネス面では、日本企業から要望の多い事案について、総領事館として香港政府にしっかりと申し入れを行っていきます。香港のレピュテーションに関し、正しい香港の姿を日本に向けて発信していくことも引き続き重要です。

日本との往来は、ビジネス面では新型コロナ前の状況にだいぶ戻ってきましたが、日本からの観光はまだまだです。訪日旅行の振興はもちろん重要ですが、いかにして日本の観光客に香港、マカオへ戻ってきてもらうかということも考えていく必要があると思います。

このほか、青少年交流も徐々に再開していますので、継続的な発展を応援していきます。

良い環境で生活できることへの感謝の気持ちを、香港社会に示していくことが大事と語る岡田総領事(NNA撮影)

――NNAの読者にメッセージを。

香港における日本企業のビジネス環境がどれだけ改善するかは、私たちがどれだけ発信するかに大きくかかっていると思います。在香港の日本企業、自治体の皆さま、今年は総領事館と一緒になってオールジャパンで香港政府への問題提起や提言等を発信していきましょう。

そしてもう一つ、日本の企業や邦人が香港で安全に楽しく有意義な活動、生活を送らせてもらっていることに対し、感謝の気持ちをより大きく発信していくことも重要です。日本のコミュニティーとしてさまざまな形で香港社会に謝意を表していきましょう。(聞き手=福地大介)

岡田健一

在香港日本国総領事館総領事(大使)。60歳。東京大学卒。1988年に外務省入省。外務省大臣官房参事官、在シカゴ日本国総領事館総領事などを経て、2021年9月に着任した。

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No.9 ★ ヤマハ、「中国ピアノ市場の変調」により曲がり角 2024年は新たな「成長ストーリー」を描き出す年

2024年01月27日 | 日記

東洋経済オンライン (吉野 月華 : 東洋経済 記者)

2024年1月8日

写真はヤマハのグランドピアノ。ヤマハの調べによるとピアノで33%(2022年度時点)、デジタルピアノでは47%(同)の世界シェアを持つ(撮影:梅谷秀司)

2023年後半に株価が急落したのは楽器大手のヤマハだ。8月頃まで5000円台前半で推移していた株価は下落を続け、足下では3000円台前半だ。

ヤマハは2010年代を通じて、中国など新興国の開拓を進め右肩上がりの成長を遂げた。半導体不足で商品供給に苦しんだコロナ禍においても、外出制限中に自宅で楽器を楽しむという巣ごもり需要が追い風だった。

それが一変したのはなぜか。2023年に明らかになったのは、過去10年間ヤマハが乗っかっていた「成長ストーリー」の変調だ。

業績予想の修正を境に株価下落

株価下落の最初のきっかけは、2023年度通期業績予想の下方修正だった。2023年8月2日に第1四半期決算と一緒に発表された。

インフレが進んだ欧米で、低価格帯の電子ピアノを中心に楽器需要が想定よりも弱かった。電子ピアノは利益率が高いため、業績に与える影響が大きい。この修正で株価は一気に800円近くも下がった。

しかしより深刻なのは、11月に発表された2回目の修正だ。下方修正したとはいえ8月の時点では前年度比で7.6%の増益を見込んでいた営業利益を減益に修正した。

需要が軟調な中、市中在庫の調整のために楽器の減産を実施し費用が発生したのが主な要因だ。加えて、中国での市況回復が難しいと判断し予想に織り込んだ。中国については2024年度も厳しい状況が続くとみる。

中国では単に深刻な景気後退で市況回復が遅れているだけではない。

2021年に発表された「双減政策」の影響を受け、教育向けピアノの需要が減衰している。子どもと保護者の負担軽減を目的とし、学校の宿題と学外教育の時間を減らすことを定めたのが双減政策だが、結果として教育熱を冷ますこととなった。

教育向けピアノ需要の減衰がヤマハに与える影響は大きい。なぜなら、ヤマハの過去10年の収益拡大は、中国の高いピアノ需要を前提とした成長ストーリーだったからだ。

中国では教育熱の高い都市部の富裕層を中心に、アコースティックピアノの需要が強かった。ヤマハは中国市場向けのピアノを現地生産することで利益を最大化できる体制を築いていた。

ヤマハは2012年度からコロナ影響が顕在化する前の2018年度にかけて、営業利益率を2.5%から12.8%まで右肩上がりで高めてきた。この大幅な採算向上には、現地生産、現地消費で採算がよい中国教育市場の拡大が貢献していた。

この間、ヤマハの中国での楽器売り上げは229億円から468億円まで成長。楽器売り上げ全体に占める中国比率も8%から17%に拡大した。

新たな成長ストーリーは

しかし、教育熱が冷めているとなると戦略の変更が必要になる。ヤマハの中田卓也社長は12月末に行われた記者懇親会の場で、中国市場の今後について次のように言及した。

「教育一本足打法から、需要が伸びているエンタメや趣味向けなどへ軸足を移すことで今後の成長を実現したい。ピアノで培ったブランド力でほかの成長も支えられる」

中国市場での地産地消を実現していた製造拠点についても、輸出拠点として活用できるよう手を打つ。

市場はシナリオが崩れることを嫌う。従来のシナリオは、わかりやすく、かつ実績も挙げていただけに、ヤマハは急いで次の成長ストーリーを描き出す必要がある。

「欧米中日以外が成長ドライバーになる。地域の1人あたりGDPが5000ドルを超えると楽器の普及が始まるとみている。新興国でも都市部ではそのような地域が増えている」。中田社長はそのように持論を交えて新市場への期待を語った。

例えばインド。デリーやムンバイなどの大都市では1人あたりGDPが5000ドルを超えている。インドでは地域の伝統的な楽器の音を取り入れた電子楽器が人気で、すでに製造拠点を現地に置いている。

製品でいえば、楽器の中でもギターは成長が続く。ギター市場でのシェアはアメリカのフェンダー社に次いで世界2位。エレキギターの入門機の評価が高く、ギター売り上げは過去10年間の間に3.5倍に成長した。2022年度のギター売り上げは379億円で、楽器の売上高に占める割合は13%だ。

ヤマハのギター。過去10年で売り上げは3.5倍に成長した(記者撮影)

ギターは従来から戦略領域と位置づけられている。2014年にエフェクターなどを手がけるLine6社(アメリカ)を、2018年にはアンプを手がけるAmpeg(同)ブランドの事業を買収し周辺機器を強化した。

2023年にはヤマハが手薄だったクラシックギターで知名度が高いコルドバ社(同)も買収。今後は中高価格帯を強化し世界トップシェアを目指す計画だ。

国内での製造強化と次なる変化も

新興国とギターの2つは従前の戦略領域だが、次の一手といえる変化も表れている。

2023年12月22日、国内の楽器製造子会社ヤマハミュージックマニュファクチュアリングの吸収合併を発表した。本社との強い連携のもと、技術・技能の分散回避と継承、より柔軟な製造体制の構築が目的だ。

ヤマハはこれまで、コストや効率の観点から海外工場への工程移管を積極的に進めていた。しかし、現地労務費の上昇や円安で海外生産のメリットが低下。かつ中国で大きな市況変化があった今、新たな施策として国内のものづくりを強化する方針を打ち出した。

楽器製造は職人による手作業の工程が多い。サックスの朝顔は木槌で打って形を整える(記者撮影)

これまで、ピアノフレームについては生産工程をすべて中国に移管する計画で投資を進めていた。しかし、その計画を取りやめ同工程の主力を日本国内に戻すことを決めた。

国内製造子会社の合併は、国内で労働者を確保するための手立てでもある。「製造子会社よりも本社であるほうが、働き手にとって訴求力がある。好きな楽器を造りたい、という方々にやりがいのある仕事を提供したい」。中田社長はそのように狙いと抱負を話した。

ヤマハは世界で唯一、吹奏楽やオーケストラで使用される楽器のほぼすべてを自社で製造・販売している。楽器の盟主にとって2024年は大きな変化の年になりそうだ。

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No.8 ★ iPhoneの中国シェア、シャオミに抜かれて首位陥落 ファーウェイやHonorも背後に迫る

2024年01月27日 | 日記

36Kr Japan 編集部

202418

中国の調査会社BCIがこのほど、2023年11月(W44〜48)の中国ハイエンドスマートフォン市場のメーカー別シェアを発表した。米アップルの「iPhone」シリーズは、前年同期比で21%の減少となり、辛くも50%強を守った。23年1〜6月のシェアは67%に達していた。

多くの調査会社はすでに、中国市場での「iPhone 15」シリーズの予想販売台数を下方修正している。中国のCINNO Researchは、23年の販売台数は1000万台程度になるとの見通しを示した。

アップルが中国スマホ市場全体でもシェアを減らす一方で、国内メーカーの小米(シャオミ)、栄耀(Honor)、華為技術(ファーウェイ)の3社は着実にシェアを伸ばしている。23年12月4〜10日(W49)は、シャオミが16.3%で首位に立ち、アップルは15.9%で2位に甘んじた。Honorとファーウェイはいずれも15.8%とアップルに肩を並べた。

アップル、ファーウェイ、シャオミの出荷台数の推移(23年W41~W49)

米アップルの製品に詳しい「天風国際証券(TF International Securities)」アナリストの郭明錤(ミンチー・クオ)氏は、24年のファーウェイのスマホ出荷台数は23年の2倍近くに増加し、少なくとも6000万台になるとの予測を示している。

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No.7 ★ 2024年1月からUAEなど5カ国がBRICSに加盟

2024年01月27日 | 日記

JETRO  ドバイ発

2024年01月05日

(アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラン、エチオピア、エジプト、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)

アラブ首長国連邦(UAE)は、2024年1月1日にBRICSに正式に加盟した。同時加盟のサウジアラビア、イラン、エチオピア、エジプトを含め5カ国が新たに追加され、既存のBRICS5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)と合わせて加盟国は計10カ国になった。

今般の加盟国拡大は、2023年8月に南アフリカ共和国のヨハネスブルクで開催された第15回BRICS首脳会議で各国首脳が会合した際に合意されたもの(2023年8月25日記事参照)。今回、5カ国(注)が新たに加わったことで、世界経済の約28%のGDPを占める約28兆5,000億ドル規模になり、世界の原油生産量の約44%を占める経済圏となった。

UAEは、2023年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)の開催や包括的経済連携協定(CEPA)の拡大などに加え、BRICS加盟との積極的な全方位外交を推し進めている(2023年12月1日記事2023年11月27日記事参照)。国営エミレーツ通信WAMによると、シャクブート・ビン・ナヒヤーン・アル・ナヒヤーン国務相は「UAEがBRICSグループに加わったことは、世界中のすべての国の持続可能な発展を達成するための国際的かつ多国間協力への熱意の表れだ」とコメントした。

(注)2023年8月の第15回BRICS首脳会議において、UAEなどとともに新規加盟が承認されていたアルゼンチンは、2023年12月に就任したハビエル・ミレイ大統領が加盟を見送っている。

(清水美香)

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