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自動車学

クルマを楽しみ、考え、問題を提起する

ホイールの深い話 その2

2012-03-28 03:38:31 | クルマをいじる
 鋳造と鍛造の違いについては前回の説明でおおよそ理解していただけたのではないかと思う。そして理解したうえで、さらにもう少し話を進めてみたい。

 簡単に鋳造、鍛造と区別したが、実際にはそれぞれより細かく数種類の製法の違いがある。つまり鋳造ホイールの製法にも種類があり、鍛造ホイールの製法にも種類が存在するのである。例えば鍛造並みの製法と称する鋳造アルミホイールがあったり、さらには鋳造ホイールと鍛造ホイールの中間に位置するような製法のアルミホイールも存在し、区分としてはこれも一応鍛造扱いされていたりする。メーカーが製法の特許を取得している場合があるのでここから先の具体的な説明はあえて控えることにするが、様々な製法が存在したとしても、やはり僕は本来の純粋な鍛造アルミホイールを強くおススメする。それは鍛造が強靭で、なおかつ粘りのある性質をも兼ね備えているからである。
 例えば、不注意によって路肩の段差に勢いよく乗り上げてしまった、とする。こういった場合、マグネシウムホイールや前述したような鋳造と鍛造の中間のようなアルミホイールの場合は割れてしまう可能性が高い。やたらと軽量をアピールする競技用のホイールなども注意が必要だ。ところが純粋な鍛造アルミホイールの場合はその粘りのある性質のため、割れにくい。割れずに曲がるのである。この割れると曲がる、のとではその後の対応が大きく異なってくる。ホイールが割れれば、そのクルマはもちろん走行不能に陥る。もし交通量の多い道路でこういった事態に陥れば後続車に迷惑がかかってしまう。さらにこれが走行中だったらどうなるか。もし走行中に何らかの強い衝撃が加わりホイールが割れてしまったとしたら・・・それは命に関わる問題となってくる。これに対して、ただ曲がった場合はとりあえずは走行可能、という場合が多い。タイヤの空気さえ抜けなければ、そのまま自走して帰ることも可能だろう。
 この知識はとあるタイヤ館の店長に教えていただいた。プロドライブの鍛造アルミホイールを購入する時に、ここだけの話、と教えてくれたのである。僕もホイールには様々な製法があることは知っていたのだが、その詳細についてはあまり知らなかった。教えてくれたことに対して僕が感謝すると、鍛造アルミホイールは値段が高いが、高いだけの価値がある、とその店長は笑顔で言っていた。なるほど、確かにそのとおりである。
 ついでになるが、鍛造アルミホイールには1ピース、2ピースなどの種類があるが、できれば1ピースを選びたい。1ピースが一番軽量だからである。2ピースというのはディスク面とリムを別々に作り、その後に溶接やボルトなどによって接合している。こうする理由はデザインの自由度が高くなるためなのだが、当然1ピースよりは重くなる。値段も2ピースのほうが高い場合が多い。

 マフラーなどにお金をかけるくらいなら、そのぶんをホイールにつぎ込んだほうがいいと僕は思う。スポーツカー、例えばフェアレディZやRX-7などに重くてデカい鋳造アルミホイールを履かせて走っている人をたまに見かけるが、こういうクルマを見るとなんだか短距離のウサイン・ボルト選手が鉄下駄を履いて走っている姿を想像してしまう。
 最後に今までアルミニウム、マグネシウムと書き記してきたが、正確に表現するとそれぞれアルミニウム合金、マグネシウム合金とするのが正しい。ただ、合金まで書き記すと合金の説明までしなければならない、と感じたためにあえて省いた。
 なにとぞご容赦いただきたい。