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Retro-gaming and so on

スキル制RPGとは?

「小説家になろう」とか見ると、「この素晴らしい世界に祝福を!」や「転生したらスライムだった件」から始まり、結構な数な転生モノ/ファンタジーで「スキル」と呼ばれる「能力」が取り上げられている。

ところでスキルって何?

昨今のゲームはあんま知らないし、オンラインゲームなんてとんでもねぇ、って感じなんで感覚的に既に時代とズレてるかもしれないんですが。しかし少なくとも、知ってる限りで言うと、殆どのコンピュータRPGに於いて、基本となってるのは「クラス」であって、「スキル」ではない。だから「このすば」やら「転スラ」やら、他の多くの「なろう系小説」で「スキル」と言う概念をどこから取ってきたのか知らない。
みんな「スキル」ってどれくらい知ってる?

そんなわけでちょっとまずはTRPGの歴史を紐解いてみよう。一応言っておくけど、僕自身は全然TRPGマニアではない。生涯でTRPGをプレイしたのは1回しかねぇし。ってなワケで知識不足なのは前提なんだけど、それでもかいつまんで話してみようと思う。
まずはTRPGをキャラクタ作成のシステムによって大まかに2つに分けてみる。実はこの2つの「混成」ってのも無いわけじゃないけど、その辺はほおっておく。それら2つとは

  1. クラス制RPG
  2. スキル制RPG
である。
実は、ドラクエから始まって、世の中にあるCRPGの殆どは間違いなく「クラス制」RPGである。クラス、つまり職業がキャラクタ作成のベースになってるRPG。これはRPGの始祖、Dungeons & Dragonsから続いている由緒正しいシステムで、経験値を稼ぎレベルを上げていけばそのキャラは自然と強くなっていくシステム。
もう一つのシステムがスキル制RPGで、こっちはコンピュータRPGでは実はあまり馴染みがないシステムだ。全部が全部そうではないが、大まかに言うと次のような特徴がある。

  • 職業とスキルは緩く結びついてる
  • 経験値が存在せずキャラクターレベルが存在しない
  • キャラの「成長」とはスキル(の成功率)が成長する事である
  • 経験値の代わりに「スキルポイント」的なモノがあり、経験値代わりにそれがスキルを成長させるようになっている
いずれにせよ、クラス制RPGだと「クラス」、つまり職業が重要で、プレイヤーがどういう職業を選ぶのか、と言うのが重要なシステムになってるが、スキル制RPGはあくまで「スキル」が重要であって、就く職業はそこまでゲームプレイに於いて強権的な存在ではない。とまぁこういう違いがある。

RPGはダンジョンズ&ドラゴンズ(1974年)から始まって、基本的にはクラス制を礎として発展してきたが、D&Dから4年後、ケイオシアム社からルーンクエスト(1978年)と言うTRPGが発売された。これが恐らく世界で一番最初の「スキル制」RPGである。


この「スキル制」はTRPGファンに衝撃を与えたらしいが、D&Dに比べると「コンピュータRPGで実装しよう」と言う動きはあまり出てこなかった。と言うのも、基本的には、1988年にAD&D公式のコンピュータRPGがリリースされるまで、D&Dに近いシステムでプログラムを組むのに、でさえ手こずっていたから、である。
つまり、当時の、「TRPGファンでありプログラマ」の立場で言うと、ルーンクエストのシステムはTRPGで遊ぶ分には斬新で面白いけど、プログラミング対象として見るとあまりにも複雑だった、と言う事だ。1988年、AD&Dを原作とした公式CRPGをリリースしたSSI(Strategic Simulations, inc)はAD&Dに対してこう発言してる。

他のRPGに比べるとシンプル

ここで言う「他のRPG」と言うのは間違いなく、ルーンクエストを始めとする「スキル制」RPGの事である。つまり、この時点で、「TRPGのシステムとしてはスキル制が流行ってた」と言う事の暗示でもある。そして、TRPGの流行りとCRPGの「システム」が乖離しはじめてた事の暗示でもあるのだろう。

80年代当時の米国では結構マジで、RPGのプログラマ自身がTRPGファンだったりしていた(Wizardryの作者、アンドリュー・グリーンバーグとロバート・ウッドヘッドもそうだった)。そして彼らは、複雑なルーンクエスト自体をプログラム出来ないにせよ、何とかして「スキル制」のエッセンスを自ら製作するRPGに持ち込めないか、試行錯誤を行う事となる。年代順にちょっと紹介してみようか。

・ファンタジー ジェルノアの章(1985年):

恐らく一番最初にスキル制実装を試みたCRPG。発売はSSI(Strategic Simulations, inc)。
SSIは元々、名前が示すように「シミュレーション・ゲーム」、つまり、コンピュータ・ウォーゲームを専門に販売するソフトハウスだったんだけど、ぶっちゃけ、米国CRPGの進歩を語る時、欠かせない会社である。そういう意味でも非常に光栄(現・コーエーテクモゲームス)に似ている。
SSIは社内開発と共に、出版社としての役割も担っていて、ファンタジーも「持ち込み作品」だった。作者のTRPGマニアっぷりが効いてて、それもあって、「スキル制」の実装にたどり着いたのだろう。
日本でもスタークラフト社の移植でそこそこヒットしている。


ここで取り上げられたスキルは
  • ATTACK(攻撃)
  • PARRY(防御)
  • LISTEN(モンスター感知)
  • SWIM(水泳)
  • SPOT TRAP(罠感知)
  • DISARM TR(罠解除)
  • FIND ITEM(アイテム発見)
  • PICK LOCK(鍵解錠)
の8種類である。横に掲げられた数値は全てスキルの「成功率」を表している。
キャラクタは「強さ(Strength)」「知性(Intelligence)」等の「属性値」を持っている。いわゆるCRPG用語での「ステータス」だが、経験値を溜めて、レベルが上がってもこれら属性値は変化しない。変化して上昇するのは「スキルの成功率」の方である。
システム的に見ると、ファンタジーは、それまでのWizardry等に見られるD&D的なモノに初めて原始的なルーンクエスト的スキルシステムを組み込もうとした意欲作である。

・ウィザーズクラウン(1986年):

SSIのインハウスプログラマであり、TRPGプレイヤーだったポール・マーリィによるデザイン/プログラミングによる作品。日本未発売だが、その割には日本でも何故か知名度が高かった(電脳遊戯大全のせい?)。
それまでは、TRPG由来のCRPGはほぼ全て(当時の)D&Dの「簡易戦闘」を模倣していたが、この作品で初めて本格的な「タクティカルバトル」が導入される。元々RPGはウォーゲームをルーツに持つのでタクティカルバトルが正しいのだ。そのため、戦闘画面の見た目が、同じウォーシミュレーションを得意としていた光栄の「ドラゴン&プリンセス」に良く似ている。


そして前年に発売された同社の「ファンタジー」より遥かにスキルの数が増えていて、この辺は明らかにルーンクエストの影響だろう。だと思う。


  • 近接戦闘(Close Combat)
  • 剣(Sword)
  • 斧(Axe)
  • スピア(Spear)
  • メイス(Mace)
  • フレイル(Flail)
  • 弓(Bow)
  • クロスボウ(Crossbow)
  • 盾(Sield)
  • 戦闘勘(Combat Awareness)
  • スキャン(Scan)
  • 水泳(Swimming)
  • ステルス(Stealth)
  • ハント(Hunt)
  • 追跡(Track)
  • 応急処置(First Aid)
  • サーチ(Search)
  • 罠解除(Disarm Trap)
  • 鍵解除(Picklock)
  • 値切り(Haggling)
  • 毒治療(Treat Poison)
  • 病気治療(Treat Disease)
  • ターンアンデッド(Turn Undead)
  • 錬金術(Alchemy)
  • 運(Luck)
  • 古語(Read Ancient)
  • 魔法感知(Evaluate Magic)
  • 魔法成功(Cast Magic)
ファンタジーのスキル成功率は、TRPG用語で言う「パーセンテージロール」と言うモノが用いられているが、一方、ウィザーズクラウンはちょっと変わった計算方式を用いてるようだ。説明書によると、例えば「サーチ」スキルが74の盗賊がいるとする。こいつがダンジョンの壁の罠を探す。罠は(プレイヤーには知られていないが)隠蔽30である。この場合、罠の発見率は (74-30)/74 ≒ 59%になり、失敗して罠が発動する確率は41%になるように計算式が設定されてる模様だ。
そしてウィーザーズクラウンではやはりレベルは存在しない。キャラクターの成長は貰った経験値に従って「スキルを成長させる」システムになっている。ある意味、もっともルーンクエストに近いゲームシステムなのかもしれない(知らんけど)。

・ラプラスの魔(1987年):

さて、ドラゴンクエストが発売されたのが1986年。その一年後の事である。

ハッキリ言うけど、国産RPGだと「ドラクエ以前」のRPGは殆どゴミと言って良い。プレイした僕が言うんだから間違いない(笑)。言い換えると、ドラクエの登場で、異様にPC用RPGもブラッシュアップされだしたのだ。要するに、それ以前だと、RPG作ってても「どういう風に作れば良いのか」あんま分かって無くって、その辺が「TRPGプレイヤーでもあるプログラマ/デザイナ」が作ってた、当時の米国産CRPGと国産CRPGの質的な差、として現れていた。ぶっちゃけ、ドラクエの登場まで、WizやUltimaの画面写真とか使って、見様見真似で作ってた、てのが国産RPGだったのだ。だから戦闘にも確率的な揺らぎが存在せず、ほぼ定数による殴り合いだとか、Poorなシステムが蔓延する事になる。
ところが、ドラクエの登場で「RPGはこう作れば良いのだ」と言う指針が示されたのだ。これが「PCゲームが先進性をもって市場をリードする」から「ファミコンソフトが市場をリードする」に初めて変わった瞬間だと思う。事実、ドラクエが出て以降のPC用RPGの質はメチャクチャ変化した。圧倒的に良くなった、のだ。


さて、この「ラプラスの魔」、ドラクエ「以前」のCRPGとドラクエ「以降」のCRPGを繋ぐ架け橋のような作品である。難易度自体は結構高いが、CRPGとしては「ドラクエ以降」らしく、かなりしっかりと作られている。
これが実は、いまやTRPG屋、あるいはカードゲーム屋としてそこそこ有名なグループSNEのデビュー作である。グループSNEはCRPG作りでデビューしてたのだ。
述懐に依ると、システム的にはWizardryに衝撃を受けて(PC上で動く日本語版「Wizardry」の発売は2年前の1985年)、Wizをルーツの1つとする。
もう一つのルーツが、当時、1986年に日本に紹介されたばかりの米国産TRPG、「クトゥルフの呼び声」である。要するに、簡単に言うと、当時ニューカマーだったTRPG「クトゥルフの呼び声」を簡易化してWizardryなシステムに載っけたCRPGが「ラプラスの魔」である。コンセプト的には割に安直と言うか(笑)、ミーハー的なアイディアで作られてる事は事実だろう(笑)。

ちょっとここでTRPG「クトゥルフの呼び声」に関して説明を入れておく。今だと「クトゥルフ神話TRPG」と言った方が通りが良いかもしれない。ニコニコ動画なんかでリプレイ動画がメチャクチャ人気があって、そのためあまり売れない(笑)筈のマニア向けのTRPGルールブックとしては異様な売上数を誇っている。
さて、この「クトゥルフの呼び声」ないしは「クトゥルフ神話TRPG」はルーンクエストの発行元、ケイオシアム社から出版されている。と言うか、ルーンクエストとクトゥルフ神話TRPGはシステム的に殆ど兄弟のような関係なのだ。
ケイオシアム社はルーンクエストの発売後、ルーンクエストの基礎部分だけ独立させて他のTRPGをデザインする際に使い回せるようにした。これを「ベーシックロールプレイング」システムと呼ぶ。「クトゥルフ神話TRPG」はこのベーシックロールプレイングを基本として設計されたTRPGである。従って、厳然たる「スキル制」TRPGである。
図らずもこのせいで、「ラプラスの魔」は日本のRPGとしては殆ど初めて「スキル制」を採用したCRPGになってるし、ぶっちゃけ、世界的にもかなり早い段階で「ルーンクエスト的なシステムを」採用しようとした意欲作になってしまった。
と言う辺りで「ラプラスの魔」のシステムに付いて。この後、このゲームを礎として「ゴーストハンター」と言うシステムをグループSNEは独自展開していくわけであるが。そこはそれで、グループSNEデビュー作の本作についてはやはり、元ネタの1つとなった「クトゥルフ神話TRPG」と比較していった方が良いだろう。
クトゥルフ神話TRPGも職業とスキルの結びつきは緩い。ただ、職業の数もかなりあり、スキルの数もかなりある。そんな中で「ラプラスの魔」はクトゥルフ神話TRPG由来の「職業」をかなり絞って、結果としてスキルの数も上手い具合絞っている。
ラプラスの魔で扱われてる職業は、Wizardryなんかに比べるとかなり少なく、次の5種類しかない。
  • 探偵
  • 霊能者
  • ジャーナリスト
  • 科学者
  • ディレッタント
これらは先にも書いたが、ぶっちゃけ「クトゥルフ神話TRPG」からぶっこ抜いてきた職業である。クトゥルフ神話TRPGだともっと職業があったが、取り敢えずこのCRPGを完遂するにはこれで充分、とデザイナーが判断したのだろう。
そしてラプラスの魔では、スキルを「買っていく」。職業によって買えるスキルが変わるし、または安くなったりする。これがラプラスの魔の特徴で、結果、職業の数は少ないが、キャラにバリエーションが付くように設計されているわけだ。
スキルには次のようなモノがある。
  • 武器(剣)
  • 武器(銃)
  • 格闘
  • 捜索
  • 医療手当
  • 機械操作
  • 交渉
  • 写真
  • 尋問
  • 謎解き
  • 心理療法
  • 精神戦闘
  • 精神捜索
  • 精神移動


かなりの部分が「クトゥルフ神話TRPG」由来である。っつーか、ベーシックロールプレイング自体が結構緩く作られていて、自作スキルなんぞも付け加えて構わんようになってるんで、その辺はどうでも良いのだ。
ラプラスの魔で言う「経験値」は、金の代わりに「スキルを買う為のモノ」として機能する。それによってスキルのレベルが上がるようにラプラスの魔は設計されている。そして便宜上キャラクタレベルは、「スキルレベルの最大値」と等しくなるようになっている。これはフツーのクラス制RPGに慣れた人用の表現だが、本質的には「ラプラスの魔」ではスキルのレベルが重要なんだ、と気づくには難くないだろう。

・Wasteland(1988年):

このゲームは日本未発売なんだけど、なかなか面白いルーツがある。このゲームのデザイナは実はトンネル&トロールスと言うTRPGのゲームデザイナ(他にも日本未発売のMercenaries, Spies and Private Eyesと言うTRPGもデザインしたケン・アンドレ)とSF作家(マイケル・スタックポール)がタッグを組んでデザインしたCRPGである。

このゲームではIQ(知性)と取得出来るスキルに密接な関係があるように設計されている。IQが低いと得られるスキルの数が限定されてるが、IQが高ければ高いほど、得られる可能性があるスキルの数が増えていく。
  • IQ 3:
    • 格闘(Brawling)
    • 登攀(Climbing)
    • 装填(Clip pistol)
    • 短剣術(Knife Fighting)
    • 闘拳術(Pugilism)
    • ライフル(Rifle)
    • 水泳(Swimming)
  • IQ 6:
    • 投げナイフ(Knife Throwing)
    • 直感力(Perception)
  • IQ 9:
    • アサルトライフル(Assault Rifle )
    • 対戦車兵器(AT Weapon)
    • サブマシンガン(SMG)
  • IQ 10:
    • アクロバット(Acrobat)
    • ギャンブル(Gamble)
    • 鍵解除(Picklock)
    • 静粛性(Silent Movement)
  • IQ 11:
    • 信頼度(Confidence)
  • IQ 12:
    • 器用さ(Sleight of Hand)
  • IQ 13
    • 危険物取扱(Demolitions)
    • 偽造能力(Forgery)
  • IQ 14
    • 警報解除(Alarm Disarm)
    • 政治力(Bureaucracy)
  • IQ 15
    • 爆発物解体(Bomb Disarm)
    • 医療技術(Medic)
    • 金庫破り(Safecrack)
  • IQ 16:
    • 暗号技術(Cryptology)
  • IQ 17:
    • 冶金術(Metallurgy)
そして、キャラの成長は「スキルレベルが上がっていく」事によって成されていく。

とまぁ、これが大まかに90年に入るまでに「スキル制を試みた」RPGの(殆ど)全てである。1990年に入ると、Wizardry Bane of the Cosmic Forgeがルーンクエストに(恐らく)影響を受けた「スキル制」を導入した。ぶっちゃけ、最初にそのシステムを見た時は何がなんだか良く分からなかった。多分そういう人が多かったんじゃないだろうか。今までD&Dやってたのに、急にルーンクエストになった、的な戸惑いをBCFは連れてきたと思う。多分メジャーどころで、多くの人が「スキル制」と対峙した初めてのゲームとなったんじゃないか(だからこそ当時の日本では評判が悪かった)。
この年、日本ではダイナソアと言うスキル制RPGが出て、米国でもMegatravellerと言うTRPGを原作に持つスキル制RPGが出ている。

とまぁ、これが「ルーンクエストに影響を受けつつ」スキル制を実装してみたCRPGの初期の歴史なんだけど。実はもう一つのスキル制のCRPGの流れがある。
それはつまり、ルーンクエストでは

・キャラクタレベルが成長を表すのではなく、スキルが成長する

と言うシステムなわけだが。これをもうちょっと上手く解釈出来ないか、と言う流れが80年代後半に出てきている。つまり、

・スキルを使えば使う程、自然と「習熟」出来るシステムに出来ないか?

と言う試みである。

・ダンジョンマスター(1987年):


アメリカではとんでもないブームを巻き起こしたRPGである。今現在ではむしろ「アクションRPG」に分類されているが、出た当時は「リアルタイムRPG」と呼ばれていた。今後はこのカタチがCRPGの主流になるんじゃないか?と思われた程である。
ダンジョンマスターでは、各プレイヤー毎に4つのスキルが設定されている。それらは

  • 戦士
  • 忍者
  • 僧侶
  • 魔術師
で、これらを使って「鍛えていく」とスキルレベルが上がっていく、と言う設計になっている。当然、キャラクタとしてのレベルなんかなく、スキルレベルが全てに於いて優先されているデザインとなっている。

・ファイナルファンタジーII(1988年):



ダンジョンマスターより遅れる事1年、3Dと2Dの違いはあれど、ほぼダンジョンマスターと同様のシステム(いや、実はもっと高度な?)をファミコン上で再現したゲームがあった。それがご存知、ファイナルファンタジーIIである。

ファイナルファンタジーIIは「経験値やクラス、レベルを持たないRPG」と宣伝されているが、むしろ実体は、ルーンクエスト的なRPGのスクエア的解釈、って考えた方が合点が行くんじゃないか。実際、実は当時のスクエアはそれなりにTRPGファンが多くて、ファイナルファンタジーIはAD&Dへのオマージュ、と考えるとIIはルーンクエストへのオマージュ、だと考えて妥当なんだと思う。
ぶっちゃけ、このゲームにおける「熟練度」とはスキルの事に他ならない。ルーンクエストのスキルシステムをファミコンユーザー向けに「分かりやすく」提示しようとした意欲作が本作、ファイナル・ファンタジーIIである。
その野望が成功したか失敗したかは置いておいて、スクエアのスクエア的解釈の「ルーンクエスト的ゲームへの挑戦」はファイナルファンタジーの冠が外れても続いていくのである。

・魔界塔士Sa・Ga(1989年):


ファイナルファンタジーIIのシステム的な続編が本作である。ここに至って、アメリカの多くのRPGにおける単発的な「スキル制への挑戦」ではなく、シリーズとしての「スキル制への挑戦」がスクエアに於いて試みられる事となる。
当時のスクエアって凄かったのねぇ・・・・・・。

・ロマンシング サ・ガ(1992年):


ついつい「フリーシナリオ」に目が行ってしまうが、ある意味、「スクエア的解釈のルーンクエスト型スキル制CPRG」の完成作が本作である。
そしてこの流れはプレステのサガ フロンティア(1997)に受け継がれていく。


・グランディア(1997):


Lunarシリーズで有名なゲームアーツがPlayStation用にリリースしたRPG。このゲームで言う、武器・魔法毎の経験値とその成長システム、と言うのは要するにやっぱりルーンクエスト由来の「スキル」なのは間違いない。

とまぁ、駆け足で見てきたが、D&Dの「クラス制」に比べると知名度的には劣るが、ルーンクエストやベーシックロールプレイングがそこそこCRPGに部分的に影響を与えてきて、発展させてきた、って事がお分かり頂けたんじゃないか、と思う。
と同時に、「スキル制システム」はぶっちゃけ実装がメンド臭い(笑)。が、ここ数年、それでもベーシックロールプレイング「自体」をプログラムしてゲーム化したい、と言う試みが行われてはいる。1つはコンピュータで扱えるメモリがかつてと比べるとクソみたいに増えたから、って事が言えるだろう。クラス制に比べるとスキル制RPGはどう考えても多量のメモリを必要としかねない。

・クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女(2015):



Alchemy Blueによる同人ゲームである。当然、ケイオシアム社にライセンスなんざ取ってない・・・がビックリした。結構クトゥルフ神話TRPGのルールブックに忠実にゲームが作られている。
表現はファミコン、ただし、中身は「現代のコンピュータ」じゃないと不可能なプログラムである。


なお、Alchemy Blueからは同システムで2本続編が出されている。

・Call of Cthulhu(2018年):

おっくれに遅れていたが2018年に「クトゥルフ神話TRPG」公式のCRPGがリリースされた。「ラプラスの魔」とプレイし比べてみるのも一興だろう(笑)。

そして、なんと、やっとこさ「ルーンクエスト」の公式CRPGが開発されはじめた、との事である。RPGファンではあってもTRPGをやった事がない、僕みたいな人。名前は聞いた事あるんだけど「ルーンクエスト」とか見た事ねぇ、みたいな人がやっとコンピュータ上でルーンクエストをプレイ出来る、との事。
果たして、真のスキル制RPGはどんなモンなのか・・・・・・?結構期待は高まっている。マジで。
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