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Retro-gaming and so on

魔界転生

度々見に行ってるブログを書いてる星田さんも往年の角川映画のファンの模様だ。
同好の士がいて嬉しいな。

往年(1970年代末〜1980年代)の角川映画は、邦画産業が斜陽になりまくっていた映画業界で唯一気を吐いてた、と言って良かった。予算不足でやたら「芸術的な」作品ばっかになってた邦画界で唯一と言って良い程、エンターテイメントに徹していた。
だから当時の映画評論家にはコテンパンにやられてたんだよ。評論家は「芸術的作品」を持ち上げ、アメリカ式の「ブロックバスター」を仕掛けた角川映画を一種敵視してたわけ。
そんな背景もあって、角川映画って収益を上げた割にはあんま語られて来なかったんだよな。「マジメな映画評論の対象」として扱われなかったんで、結果語り継がれてないわけだ。
そして、決定的になったのが、当時の角川を率いてた角川春樹のコカイン密輸に於ける麻薬取締法違反事件。正直言うと、これが「角川映画」の終焉だった。そして日本らしく、「麻薬取締法違反を犯したリーダーが」制作してきた映画群は人の口にのぼらなくなったんだな。元々論評の対象として怪しい扱いをされてた「角川映画」はリーダーの失脚によってますます日の目を見なくなったわけだ。
そして角川を追い出されてた弟の歴彦が角川書店の新しいリーダーになる。しかしながら、彼のブロックバスターの手腕はホラー文庫を仕掛けてホラーブームを起こそうとはしたが、それも全般的に見るとリングシリーズしか当たってなく、兄の春樹みたいな「天才的な」洞察力なんかは無いように思う。
そして以降はご存知の通りである。角川書店はかつての「硬派な小説出版社」だった頃の面影は見る影もなく、オタク御用達のしょーもない出版社になってしまった。ラノベのレーベルも買収に次ぐ買収で本当に儲かってるのか分からない。マンガ出版社としても三流であり、かつてのブロックバスターの「成功」なんざ影もカタチも無いように見える。
そして映画は作ってるんだか作ってないんだか良く分からん。
角川春樹の失脚によって「何だか良く分からんようになってしまった」のが今の角川書店で、角川映画の栄光は遥か過去のものなのである。

そんな中で今でも往年の角川映画に付いて語れる人がいるのは貴重なのである。

さて、それはさておき、星田さんは里見八犬伝がお好きな模様である。当然僕も大好きなんだが。
なかなか面白い事を書いていた。

ただあのオープニングの洋楽は毎回ズッこけそうになるので飛ばしてます。

これ読んだ時、僕は大爆笑していた(笑)。僕も飛ばしてんだよな(笑)。
誤解のないように言っておくけど、このオープニングになってる「White Light」ってのは良い曲なんだよ。僕はサントラのレコード買ったくらいなんで(笑)自信を持って言える。80年代的なシンセ・ポップとしての出来は悪くないんだ。
ただね〜。うん、不思議なんだけど、あの映画のOPには合わないんだよな(笑)。なんだろ「八犬士のテーマ」の割には尻切れトンボで終わるし、OP画像と合わないんだよなぁ。映画見てみれば分かるんだけど、OPは殆ど「出演者紹介」なんだけど全部静止画なんだ。あれとどう考えても曲としてのWhite Lightは合わない。浮いてるんだ。



結局さ、どんなに良い曲でも雑な扱いで映像と合わないと「良い曲と思えなくなる」と言う証明のようなOPになってんだよ(笑)。何だろ、図らずも「MTV的なミュージックプロモーションビデオ」と全く逆の例になってんだよな(笑)。なんつーんだろ、プロモとして考えると「史上最悪のミュージックビデオ」になってる、って言って良い(笑)。

さてさて。この角川映画「里見八犬伝」には、プロトタイプ的な角川映画があったのだ。
つまり、JACが中心となり、深作欣二監督に撮らせたエンタメ時代劇。
逆に言うと、この成功があった為、もっと予算を上げた里見八犬伝をこのタッグで撮らせたわけだ。
それがここで紹介する、里見八犬伝の二年前に封切られた山田風太郎原作の「魔界転生」(1981)である。

原作の山田風太郎って人は僕はあまり知らん。が、基本的に「小説界の巨匠」みてぇな名前だけど、実際問題徹底的にエンタメな人である。この人が書く小説はマンガで言うと白土三平であり、滅茶苦茶文章は読みやすく、「司馬遼太郎」みたいな格式高い小説として挑もうとしたら肩透かし食らう事間違いなしである。
何でんな事知ってるのか、と言うと、僕は里見八犬伝にハマっていて、原点となってる滝沢馬琴の現代語訳を初め、あれこれ翻案作品読みまくってたんだよな。
その中で、映画「里見八犬伝」の原作だった(本当の事を言うと、原作、と言うよかノベライゼーションじゃないか、とか思ってるんだけど)、ポルノ小説「新・里見八犬伝」を除き、一番面白かったのがこの山田風太郎版「八犬伝」だったんだ。「なるほど、これが山田風太郎って人の実力なんだ」とかビックリしてた。
元々そんなに時代劇読みたい、とか言う人じゃなかったわけで(SFとミステリが好きだった)、でもそんな僕が「山田風太郎って人は凄いな」と思うくらいの作家だったわけだ。
実際は山田風太郎って人はトンデモ時代劇な人なだけではなく、ミステリーも書いてた人なのよね。単にそういう時代劇の注文入って来たから書いてただけで、この人もう徹頭徹尾「エンターテイメント」の人なの。つまり司馬遼太郎なんかと違ってマジメな小説は書かない(笑)。実際ミステリーなんかも注文さえあればもっと書いてたんだろうねぇ。
んで角川映画でもこの「魔界転生」ともう一本、真田広之主演で「伊賀忍法帖」を映画化している。

さて、この魔界転生。時代劇映画として見ると、「里見八犬伝」よりもっと様式化されてるカンジの映画なのだ。様式と言うか格式と言うか・・・なんだろね。
平たく言うと台詞回しが物凄く厳しい。「え?これってマジで1980年代の映画なの?」って思うくらいだ。里見八犬伝は現代語なのに、魔界転生はまるで1950年代の映画のような台詞回しなのである。
いずれにせよ「歌舞伎を観てるような」気分になるだろう。若い人が観てもすんなりセリフがアタマに入ってこないんじゃないか、って思う。
多分これ、狙ってやってんだよな。何故なら「トンデモ時代劇」だから(笑)。ネタで考えてみると里見八犬伝以上にトンデモなのだ(笑)。だからこそ台詞回し的には「往年(1950年代や1960年代の)の時代劇みたいにマジメなカンジで・・・」とかやったんじゃねぇのかな、とか思う。

さて、ストーリー。
徳川幕府によるキリシタン弾圧で、命を散らした天草四郎時貞。
ところが、キリシタンである筈の彼は魔界で悪魔ベルゼブブの力により現世へと蘇ってくる。
徳川幕府を倒す為、細川ガラシャ、宮本武蔵、宝蔵院胤舜、伊賀野カバ丸伊賀の霧丸の4人を魔人として復活させる・・・。

と言うのが大まかなあらすじ。「とんでも」だろ(笑)?
そう、単に娯楽に徹してる映画なのだ。

さて、魔人天草四郎時貞に立ち向かう正義のヒーローが、柳生十兵衛であり、演じてるのがまたしてもJACのリーダー、千葉真一である。この映画では厳然とした主役である。


対するもう一人の主演、悪の主人公が天草四郎時貞である。
演じてるのがジュリー、沢田研二である。



歌手としての沢田研二はともかくとして、俳優としてどうなのか、ってのは意見の分かれるトコだろうね。ただ、この時期、割に脂が乗り切っていて、テレビでも光源氏なんかを演じてたのを覚えている。
そう、この人、この時期、彼は色気が凄かったのだ。ハッキリ言うと、デビッド・ボウイ的な色気だよな。日本ではボウイ的な壮絶な色気を纏える人は彼しかいなかったと思う。

他の配役も凄い。
まずは魔人・宮本武蔵緒形拳


そして魔人・宝蔵院胤舜室田日出男である。


この辺は漫画バカボンドでお馴染みだろう。その辺のチョイスなのだ。

後に魔人と化してしまう千葉真一の父ちゃん役、柳生但馬守宗矩若山富三郎


今の若い人、若山富三郎とか知ってっかな〜。勝新太郎のお兄ちゃんなんだけど、当然名優だ。
っつーか、兄貴が三郎で弟が太郎とかどーなってんだ、って話なんだけどな(笑)。

あと、RPGのWizardryでお馴染み、侍の最強武器、村正を作ったヤツがこの映画には出てくる。刀職人村正、演じてるのは丹波哲郎である。


さて、この映画の見どころなんだけど・・・まずは例によっておっぱいだろうな(笑)。
っつーかおっぱいが見どころにはならねぇんだけど、ここまで映画からおっぱいが除外された時代になると映画でおっぱい出てきて当たり前の時代の作品を観ると、多分おっぱいがまずは見どころにならざるを得ないんだよ。当時の「フツーの映画」だと女優が「脱ぐ」ってのはフツーであって、さりとて「特殊な決意」も必要なかった。だって別におっぱいは珍しくなかったからね。隔世の感である。
この映画だとおっぱい出現率は里見八犬伝より上である。モブも脱ぐしな。


乳首丸出しなんで、乳首が見えないショットを探すのが大変なくらいである(笑)。
そして魔人・細川ガラシャ。演じてるのは佳那晃子と言う女優なんだが脱ぎっぷりが凄い。


直接に徳川を害する行動に出るのがこの細川ガラシャなのだ。偽名を用いて(お玉と名乗る)徳川家四代目将軍家綱の大奥に入り込み、見事家綱の寵愛を受ける事に性交、もとい成功する。いや、確かに性交してんだけどよ(笑)。
そして彼女がその後の明暦の大火に一役噛むのである。
いずれにせよ、佳那晃子の乳首は本体以上に出まくりである。スクリーン狭しと佳那晃子の乳首が暴れまくるのである。助演乳首賞をあげたいくらいである(謎

もう一つの見どころは、腐女子をますます腐らせる天草四郎時貞と魔人・伊賀の霧丸のキスシーンである。霧丸を演じてるのは真田広之である。



うん、当時もこのシーンって女子にきゃあきゃあ言われてたんだよ(笑)。
っつーかさ、腐女子って突然急に出てきたわけでも何でもなくって、昔っからホモセクシャリティって女子ウケが良かったんだ、って話なんだよな(笑)。
当時、新人で初々しかった若干21歳の真田広之とセクシーな沢田研二のキスシーンとか、女子が喜ばないわけないでしょ(笑)。
まぁ、今も昔も、オナゴの好みって変わらんのよね〜、と言うその確認には良い見どころなのではないか。

とまぁ、魔界転生。そこそこ面白いのでオススメである。
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