デジャヴ
デジャヴとは、既視感…ある事柄を体験した際にそれが以前にも体験したような感覚におちいること。
本作中のデジャヴとは、観客が作中で観た映像の中に謎のヒントが隠されていますよ…とタイトルで既にアナウンスしているとも読み取ることができる。
---<以下、ネタバレあり>---
海軍の祭典が催されている最中のフェリーがテロリストにより爆破され、多数の死傷者を出す大事故が発生。
事態を重く見た当局は、地元の敏腕捜査官(デンゼル・ワシントン)に対し、極秘裏に開発した最新鋭の監視システムへのアクセスを許可する。
この監視システム、超ハイテクにより世界中のあらゆる場所を屋内/屋外問わず見ることができるというスグレモノ。
しかし当然のようにデメリットがあり、約4日前の映像しか見ることができない上に、一度に見ることができる場所は1箇所、巻き戻しも不可(この理由は後に明らかになる)という限定条件付き。
つまり、的確に犯罪の痕跡を再生するには捜査員側に優れた勘や観察力が必要となるわけで、主人公が呼ばれたという訳。
このあたりの仕掛けは秀逸です。
過去を観察して、時には干渉しながら捜査を進めていくというアイディアを生かしたストーリー展開がいちいち面白い。
特にこのシステムの携帯装置(『ドラゴンボール』のスカウターみたいに装着する)を用いて、過去の映像を見ながら現実のハイウェイを爆走するカーチェイスはかなり燃えました。
個人的にはこのシーンだけで映画館で観た価値あり。
また、主人公が既に知っている事実と知らない事実、観客が知っている事実と未知の事実の見せ方が秀逸で、謎が30分後には解決したり、解決したと思っていた事柄が覆されたりするのが、よくできてるなと感心することしきり。
このあたりのシークエンスではデンゼル・ワシントンの一人ノリツッコミが楽しく、「これで過去が変わった?いやいや変わってないじゃん!」みたいなシーンが面白い。
脇役陣もみな良い演技をしてました。
中盤以降、この監視システムの謎が明かされてからは大どんでん返しが起こって物語が加速(これについてはばらさないのでご自分で確認を)。
アクションなど派手な見せ場が多くなる代わりに、それまでの過去と現在の視点を緻密に構築した世界観が崩れてしまったのが惜しまれる。
細かい突っ込みどころは多々あれど、スタイリッシュな映像とデンゼルの演技力でのりきった感があります。
そして時間を扱った作品には付き物のタイムパラドックス問題も力技で解決。
まあ娯楽作品なのでそのへんは致し方ないところかもしれません。
ラストシーンはハッピーエンドともバッドエンドとも取れるもので、ある意味将来への希望を感じされる余韻を残しており、なかなか良い。
なんとなく、『エネミー・オブ・アメリカ』っぽいな・・・と思っていたら監督&製作が同じコンビ(トニー・スコット&ジェリー・ブラッカイマー)でした。
嘘は大きいほど良い、という言葉通りに荒唐無稽なアイデアひとつでストーリーを作り上げたのがまず見事です。
観て損はまず無いと思われる力作なので、ヒネリの効いたアクション映画好きの方は是非どうぞ。
ありえないシチュエーションを構成するためにリアリティを追求しなければならない世界観にシビれるのかもしれない。
>伏線/謎が幾重にも張られ、
>それがきっちりと回収される物語
そういう話で一番完成度が高いと思ったのはロバート・ハインラインの『夏への扉』です。
特に「きっちり回収」が神のレベルでスカッする傑作。
機会があればぜひ。
伏線/謎が幾重にも張られ、
それがきっちりと回収される物語は気持ちがいいですね。
そこに時間軸を絡めるのも良いね。
藤子F氏や星新一のSFの世界観とか。
ところで、小休止の後、ブログ再開した感じね。
僕は未だ五月病気味ですよ。