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雨月物語

2006-10-12 01:51:21 | 映画暮らし
Tと、先日に引き続いて恵比寿ガーデンシネマへ。
溝口健二監督の没後50年特別企画から、『雨月物語』を観てきました。
昔の名画をスクリーンで観られる機会は中々ないので楽しみにして行ったところ、立ち見も出るほど大盛況ぶり。

<あらすじ>

戦国時代後期、大商いをして金持ちになることを夢見る陶工の兄・源十郎と、侍になって立身出世することを目指す弟・藤兵衛の2人と、その妻の流転の運命を描いた作品。

貧しいながらも平穏な生活を望んだ妻たちの忠告を入れず、兄弟は近江の市へと陶器を売りに行く。藤兵衛は陶器を売った儲けで具足を手に入れ侍となるが、藤兵衛の妻・お浜は野伏りに襲われ、遊女へと堕ちてしまう。
一方の源十郎は謎の女・若狭姫に見込まれ、言われるがままに屋敷に住み着き官能の日々を過ごしていた。その頃郷里の村は襲撃を受け、源十郎の妻・宮木は落武者の手にかかり・・・。

登場人物のセリフから推測すると信長の死後、柴田勝家と羽柴秀吉が抗争しているあたりのようなので、天正11年(1583年)頃の近江一帯が舞台でしょう。
扱った作品がありそうで、なかなかない期間かもしれません。

まず感じたのが、時間の流れの表現の巧みさ。
序盤は連続ドラマの総集編を観ているようなテンポで進んでいくのに対し、中盤以降の幻想的な若狭姫とのシーンはゆったりと進んでいきます。
全体を通した時間経過を全く意識させないつくりになっていました。

また、活気ある近江の市の情景や、織物の美しさが印象的。
それぞれの人物の所作も見事でした。

古典作品ゆえ、弟の立身出世ぶりが急すぎるとか、若狭姫とその御付の婆様の行動が突拍子も無いとか、突っ込みどころは多々あります。
しかし、男女の営みにおけるある種の普遍的なテーマを扱っているせいか、50年前の作品であってもあまり古さは感じません。
むしろ上田秋成の原作が中国古典から影響を受けていることもあって、教訓話的な側面を強く感じました。
源十郎が怪異(若狭姫)と出会うくだりなどは、いかにも『聊斎志異』にありそうなお話です。
50年前の現代人がどのように受け止めたのかを考えるのも興味深いところ。

ラストで宮木の墓に手を合わせる源十郎に、草葉の陰の宮木が諭すように語りかけるくだりで、ぐっときました。
こういう古き良き作品を、どんどん映画館にかけてほしいものです。


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2 コメント

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Unknown (acco)
2006-10-12 15:22:40
50年前の映画なの?

すごいね!!それだけでも興味わくわく♪

内容もたまらなく気になるよ。

現代ドラマ観てるより、時代ものの方が観てて面白いって思うのよ。…チャングム観るよーになってから、益々そう感じるわ(笑)

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Unknown ()
2006-10-12 17:55:47
>ACO



昔の俳優ってなんか顔つきが本気っぽくて素敵。

歴史モノ好きとしてはこちらのワールドに足を踏み入れたことは喜ばしいです。

ま、私はチャングムには踏み込んでないんだけんども…
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