Cafe SLOWHAND

珈琲と紅茶の小さなカフェのお話

水増しする

2013年02月24日 | 日記

きょうはポカポカしたいいお天気に恵ま
れて、もしかして春が来たのかと、かす
かな期待を寄せているレイラです。

さてさて、毎日毎日いろんなニュースが
新聞の紙面を賑わせているけど、きょう
はこんな記事が目に留まった。

ある町のお役所の偉い人たちが、国勢調
査の人口を水増ししたって話。
つまり、その町に住んでる人の数を、実
際よりも多いことにしちゃったってさ。

国勢調査ってのは、その国に何人の人が
住んでるかとか、どんな暮らしをしてる
かってのを調べる、法律に基づいて行わ
れる統計調査のひとつなんだって。

統計を調べるって作業は、大きく分けて
2種類あるらしい。
ひとつは、調査の対象となるものを全部
調べちゃう全数調査。もうひとつは、サ
ンプルを少しだけ取り出して済ませちゃ
う抽出調査。
ということは、国勢調査は、住んでる人
を全員調べちゃうから全数調査の方って
ことになんだね。

実はね、パパもママも毎日毎日、統計調
査をやっている。
ママは、ご注文を受けた紅茶を淹れると
お客さまにお出しする前に、点検の意味
で必ず味見をすんだな。
どなたの分も必ずそうする、そう全数調
査さ。
一方、エスプレッソやカフェ・ラテは、
お出しするやつそのものは味見できな
い。だって、コーヒーの表面の出来具合
も大切だから、スプーンですくうわけに
はいかないんだって。
だから、パパはというと、お仕事の合間
合間に、自分用にエスプレッソを淹れて
コンディションを見んだって。つまり、
パパの方は抽出調査ってわけだ。

ふうん、お役所でも喫茶店でも統計調査
ってものが役に立ってんだな。

ねえねえ、パパ。
ダメだよ、エスプレッソが入ったカップ
にお湯を加えちゃ!
それって「水増し」ってやつじゃない。
皆から叱られちゃうよ!

パパに聞いたら、実はこれ、パンチの効
いたエスプレッソをお湯で薄めて飲みや
すくした「カフェ・アメリカーノ」って
いう飲みもの。水増ししてごまかしてん
じゃなくて、うちの店の看板メニューな
んだって。

それにしても、町の人口を水増しすると
何かいいことでもあんの?
それって、身長が164㎝しかないのに
170㎝2㎜です!って言い張るのと同
じことじゃない。つき合っちゃうと、す
ぐにバレちゃう。
164㎝のまんまでいいのさ。
ねぇ、パパ。164㎝でいいよね。

164㎝を連呼するレイラの言葉が、ち
ょっと耳ざわりなパパなのです・・・。 

 


金の斧

2013年02月19日 | 日記

きのうも雨で、きょうも雨。
やだな~、と思いながら、針のように細
い雨が降り注ぐ、なまり色の瀬戸の水面
を眺めるレイラとパパです。

その水面を見ていたら、なぜかパパは古
い童話を思い出した。
それは「金の斧」というお話。

そう、正直者のきこりのおじさんが、誤
って大事な商売道具の斧を、暗い湖の中
に落っことしてしまい、湖の妖精が、金
の斧を差し出したにもかかわらず、鉄の
斧の方こそ自分のものですと言う童話。

そういえば、
ずっと前にこのブログで、おいしいコー
ヒー豆ができるまでには、生産地の人た
ちがどれだけ苦労しているかってのを描
いたドキュメンタリーのDVDを、ある人
に貸したっきり、返ってこなかったって
お話ししたよね。

実はね、こないだ突然、その借り主から
そのDVDが郵便で送られてきた。
「なんだ、覚えててくれたんだ」とパパ
は大喜び。
ところがね、送られてきたDVDは、パパ
が貸したやつとは別のものだったんだ。

パパが貸したのはね、お友だちが「コー
ー屋ずっと頑張れよ!」って、そのド
キュ
メンタリーを、手持ちの空のCDに
ダビン
グしてくれたやつ。
一方、突然送り返されたのは、カラー刷
のジャケット付きで、もちろんセロハ
ンに
しっかり包まれた未開封の新品だっ
たんだ
な。

パパはとっても複雑なのさ。
借り主は、借りたままになってること
が、
ずっとずっと気になってて、どこを
探して
も見つからない。困ったあげく、
わざわざ
新品を買って返してくれた。
なんだか、とっても申し訳ない気持ち。
パパが失くしたのは、こんなにピカピカ
金の斧じゃなくて、ダビングの鉄の斧
なの
に・・・って。

童話のきこりのおじさんは、妖精からい
だいた金の斧は作業には使わずに、小
さな
山小屋の神棚の上に、飾っているに
違いな
い。
いつまでも正直者でありたいという気持
を失わないように、って。

パパもね、DVDは開封せずにとっておく
だて。
ずっとずっと、真摯な気持ちでコーヒー
向き合いますって・・・。

 


飛び込む

2013年02月17日 | 日記

曇り空で寒々しい、明日から雨になるっ
て予報に、やだな~っと思うレイラで
す。

さて、パパたちがお店をはじめて早いも
ので3年が過ぎた。その間には、たくさ
んの人たちがお店に足を運んでくれて、
いろんな人と出会ったなと、パパたちは
しみじみ思ってる。

最近ではね、東京からある若い女の子が
この町に越してきて、ふらりとお店に立
ち寄ってくれた。
以来、たびたびお店に顔を出してくれて
いろんな話を聞かせてくれる。
東京っていう大都会から、この小さな町
にやって来て、さぞ物足りないだろうと
思いきや、いろんなところへ出かけて行
っては、そのたびに感想を報告に来てく
れる。すっごく前向き、積極的な子なん
だな。

パパはね、都会に長く住んだこともない
し、住めないタイプ。ずっと、ずっとこ
の町で暮らしてっから、いわば「井の中
の蛙」かもしんないね。

そんな井戸の中に、チャポンと音を立て
て飛び込んで来たその女の子。井戸の中
をスイスイ泳ぎ回ってるって感じなんだ
な。
田舎は何にも無い味気ないところ、って
はなっから思ってたら、きっとその中で
じっと動かないだろう。

実はね、井戸の中の水面は、どのくらい
の深さにあるのか、飛び込んでみないと
わからないらしい。
後ろ向きな人は、井戸の上から下を覗き
込んで、中は暗くて深い、二度と這い上
がれやしないと決めている。

ひと泳ぎしたその女の子はね、知ってん
だな。
井戸は、てっぺんまで満々と水をたたえ
てるってこと。
だからね、ピョコンと井戸を飛び出して
お庭に出たり、また戻って来たりできん
んだよ、きっと。

ねえパパ、その子の性格を見習いなよ、
いろんなところへチャポンと飛び込む姿
勢をさ。
えっ、やだって?
そうか、パパは「かなづち」だったね
・・・。 


時間がかかる

2013年02月14日 | 日記

なんとか穏やかな天気が続いてくれて、
なんとか穏やかな日常をおくっているレ
イラです。

さて、パパとママはきのう、ケーキがお
腹いっぱい食べられるという話を聞きつ
け、あるところへ出かけていった。
そこはね、大学の調理実習室。

そう、大学で製菓をお勉強した学生さん
たちが、卒業を前にその成果を(シャレ
じゃないよん)発表しようと、みんなを
集めて、自分たちがつくったケーキをご
馳走するって催しがあったんだって。

実習室には、大学の先生たちや、学生さ
んの保護者の人たちが集まってて、それ
に紛れ込んだパパたちは、手作りのケー
キやパン、コーヒーや紅茶をお腹いっぱ
いいただいた。
どれもね、心を込めて丁寧に作られてて
とってもおいしいかったって。

学生さんたちは、この春に卒業して、ケ
ーキ屋さんやホテルに就職する。
聞くところによるとね、そういった職人
さんの仕事場は厳しくて、とっても辛い
日々が続くんだって。
毎日毎日、キッチンをお掃除したり、皿
を洗ったりするだけの繰り返し。材料に
触れるとしても、せいぜい卵を割る作業
くらい。ひたすらひたすら割るんだよ。
だからそこには、忍耐ってのが必要なん
だってさ。

でもね、先輩たちに言わせると、この過
程がとっても大事なんだって。
何度も何度もやってると、ある時、それ
が辛くなくなる。辛いのを通り越して、
何にも考えずにそれができるようになる
時が来んだって。

おいしいケーキを焼けるようになるまで
には、いろんな経験と長い時間がかかん
だね。きっとそれは、珈琲や紅茶も同じ
なんだ。


パパの大好きな「いいことを書いてある
本」
ケーキでお腹いっぱいになった帰り道、
パパはその本に書いてることを思い出し
ていた。

目標を定めたら、あわてず確実に、
ゆっくりと取り組みましょう
すぐに出来てしまったものは、
すぐにダメになってしまうものです・・ 


出せないとき

2013年02月09日 | 日記

きのうは急に冷え込んで、朝の散歩道の
水たまりには、氷が張っていた。
うっかりその上を歩いてしまったら「ト
ムとジェリー」の猫の主人公トムみたい
に、あんよをフル回転させても進まない
マヌケな犬になってしまっただろうと、
そのかっこうを思い浮かべて一人で思い
出し笑いをするレイラです。

さてさて、きょうも飲食業のお話。
パパとママの知り合いの人が、先日とあ
るエスプレッソのおいしいお店に行った
ときのこと。
その人がお店に行ってエスプレッソを注
文しようとしたらね、
お店の人が、
「きょうは思ったようなエスプレッソが
淹れらんないからお出しできません」
って返事が返ってきたらしい。
すごいプロ意識に感動したってお話を聞
かせてくれた。

でね、レイラも「ほ~っ」って感心して
たら、パパとママは意外なことに、
それってどうなの???って疑問視して
る。
だって、せっかく遠くから一杯のエスプ
レッソを飲みに来たんだ、淹れたげれば
いいのに・・・って。

結果、その人の感動に水を差すようなコ
メントをしてしまったパパは、そのこと
がずっと気になっていた。
そして、よくよく考えてみるとね、その
お店の人は、本当にすごい人なんだなと
思えてきた。

思うようなエスプレッソが淹れらんなか
ったその時の理由は、聞いてみないとわ
かんないけど、仮に、
100のおいしさを持っているだろう珈
琲豆がそこにあるのに、どうしても80
の良さしか引き出せないからダメとか、
80以上のおいしいエスプレッソを提供
したいのに、豆のコンディションが悪す
ぎて、どう頑張っても75のおいしさし
か引き出せないからダメとか・・・。

何れの理由にしても、パパが感心するの
はね、その人が、
そこにある珈琲豆のおいしさが、100
だとか80だとかがわかる人だってこと
あるいは、その持ち味を80とか75し
か引き出せてないってことがわかる人だ
ってことさ。

そう考えると、パパは疑問視したことを
反省してる。
幸か不幸か、パパは豆の持ち味を十分引
き出せてるかどうかわからないと言って
いる。60だとか、70だとか。
だってさ、エスプレッソをお勉強してま
だ何年も経ってない。先生から言われた
とおり操作をして、液体の流れ方や表面
の色合い、時間やタイミングを基準に考
えてる段階だからさ。

でもさ、エスプレッソの本質がわかって
しまうと、どうしても出せないってとき
があるんだろうね。

パパにはその時が来るの?
そう、出せないってとき。
でも、果たしてそれがいいことなのか悪
いこ
となのか・・・複雑だね、パパ。