仕事に就く

春が来た、お店のテラスでその確かな感
触に浸っているレイラです。

さあさあ、きょうは４月１日。
初出勤を果たした新入社員さんは、いま
ごろ初お弁当を済ませて、午後の仕事に
励んでることだろう。

そんなことを考えていたら、パパは自分
が初出勤したときのことを思い出したら
しい。
自分用のデスクを与えてもらい、必要な
筆記用具もいただいた。ペンや消しゴム
を、右の一番上の引き出しに並べて、
「ああ、ほんとうに仕事に就けたんだ」
と感動したんだって。
それからというもの、出勤したら毎朝、
まずその机の上を雑巾で拭いてから席に
着いていたんだって。

でもね、二十数年後、パパはその時の感
動も忘れて、仕事を辞めてしまうことに
なる。
与えられた仕事を十分にこなすことがで
きなくなった。
自分の能力のなさを感じた結果、選んだ
のが中途退職という道だったらしい。

そして今は、ママと一緒に喫茶店をやっ
ている。
途中で辞めた反省の意味もあんだろう。
パパは、毎朝まず決まった場所からお掃
除をはじめんだ。そう、お勤めしてたと
きと同じようにね。
そして、必ず定時に店を開けることにし
てんだな。
そんな当たり前のことを、繰り返すこと
に決めている。

きょうから初めてのお仕事に就いたみん
な、これからきっと辛いこともあんだろ
うけど、がんばって！
いやいや、あんまし頑張り過ぎないで、
気楽に行こうよ。
時にはさ、営業の途中でお茶すんのもい
いかもよ。
一服すると、発想の転換が図れて、いい
仕事ができるってもんだ。

だからさ、ときどき寄ってよ、レイラの
お店に。
誰にも言わないからさ・・・。