きのうも雨で、きょうも雨。
やだな~、と思いながら、針のように細
い雨が降り注ぐ、なまり色の瀬戸の水面
を眺めるレイラとパパです。
その水面を見ていたら、なぜかパパは古
い童話を思い出した。
それは「金の斧」というお話。
そう、正直者のきこりのおじさんが、誤
って大事な商売道具の斧を、暗い湖の中
に落っことしてしまい、湖の妖精が、金
の斧を差し出したにもかかわらず、鉄の
斧の方こそ自分のものですと言う童話。
そういえば、
ずっと前にこのブログで、おいしいコー
ヒー豆ができるまでには、生産地の人た
ちがどれだけ苦労しているかってのを描
いたドキュメンタリーのDVDを、ある人
に貸したっきり、返ってこなかったって
お話ししたよね。
実はね、こないだ突然、その借り主から
そのDVDが郵便で送られてきた。
「なんだ、覚えててくれたんだ」とパパ
は大喜び。
ところがね、送られてきたDVDは、パパ
が貸したやつとは別のものだったんだ。
パパが貸したのはね、お友だちが「コー
ヒー屋ずっと頑張れよ!」って、そのド
キュメンタリーを、手持ちの空のCDに
ダビングしてくれたやつ。
一方、突然送り返されたのは、カラー刷
りのジャケット付きで、もちろんセロハ
ンにしっかり包まれた未開封の新品だっ
たんだな。
パパはとっても複雑なのさ。
借り主は、借りたままになってること
が、ずっとずっと気になってて、どこを
探しても見つからない。困ったあげく、
わざわざ新品を買って返してくれた。
なんだか、とっても申し訳ない気持ち。
パパが失くしたのは、こんなにピカピカ
の金の斧じゃなくて、ダビングの鉄の斧
なのに・・・って。
童話のきこりのおじさんは、妖精からい
ただいた金の斧は作業には使わずに、小
さな山小屋の神棚の上に、飾っているに
違いない。
いつまでも正直者でありたいという気持
ちを失わないように、って。
パパもね、DVDは開封せずにとっておく
んだて。
ずっとずっと、真摯な気持ちでコーヒー
と向き合いますって・・・。