梅雨に入ったと言うけれど、けさもなん
とかお天気はもちこたえている。
ちょうどいい具合の気温で、パパと一緒
に歌を歌いながら歩いて出社したレイラ
です。
けさの通勤コースはいつもとなんだか違
う感じ。
なんだかね、いつもより人の気配が少な
いような気がする。
なんでも、どこかの国でサッカーの大き
な試合が開かれているらしい。だから、
お家の周りをのんびりお散歩なんてして
る場合じゃないんだね。
みんなお家に閉じこもって、サッカーの
試合を観ているから、お外には人が歩い
てないってわけだ。
そのむかし、あるラジオドラマの放送が
始まると、銭湯から人がいなくなったと
いう話を聞いたことがある。
のんびりお風呂なんて入ってる場合じゃ
ない、早くお家に帰ってラジオのスイッ
チを入れなくっちゃ！ってわけだ。
そんな伝説をもつドラマのタイトルは、
「君の名は」。
主演のヒロインは「岸恵子」という女優
さん。
そう、岸恵子といえば、知らない人はい
ないってくらいの大女優だ。
その岸恵子という女優。
わだ若く、かけ出しだった頃、誰かに尋
ねられたことがある。
「あなたは将来、どんな女優さんになり
たいのですか？」
するとね、彼女はこう答えた。
「岸恵子という女優になりたい」
つまりね、目標は岸恵子といえば知らな
い人はいない、ってくらいの大女優にな
ることだったんだろう。
ただそれは、自分の個性が活きた演技が
できる女優であり、自分というものが目
標なんだから、ハードルは自分で上げて
いき自分で越えるしかない。
すごく厳しい目標を掲げたんだね。
町から人の気配がなくなるほど人気の高
いサッカーというスポーツ、そして一世
を風靡するラジオドラマ。
本屋さんにもコンビニにも、スーパーに
も人が誰もいない。
みんな、パパたちのお店に行ってんだ！
ってくらいになるまで頑張んなきゃね。
そう、パパたちが目標とするお店は、
「SLOWHAND」ってお店なんだから
さ・・・
怠惰な毎日を送ってばかりで、ブログの
更新がおろそかになっていたことを反省
し、怠らないようにと、きょうもブログ
を書いているレイラです。
さて、こないだパパたちは、法事がある
ってんで、出かけて行った。
お座敷の畳に座り、お坊さんにお経をあ
げてもらい、仏壇に向かって手を合わせ
てお祈りをした。
そのお坊さん、お経のあとにはいつも大
事な大事なお話しをしてくれる。
この日はね、仏壇に向かう姿勢について
話してくれた。
人は皆、仏壇には花をたむける。
その花はね、白い花じゃないといけない
とか、高価な花じゃないといけないとか
一切決まりはないらしい。
肝心なのは、毎日必ずお水を換えて、生
花を差してあげることなんだって。
そう、道端に咲いているペンペン草でも
個人が好きだったんなら、真っ赤なバラ
でもいいらしい。
大切なのは、毎日お水を換えてあげるこ
と。だからね、できれば造花じゃないほ
うがいいって。
そう、お水を換える必要のない造花は、
便利だけれど、つまりは、ご先祖様を放
っておきますよ、って気持ちの表れなん
だってさ。
お坊さんのお帰りを見送りながら、そう
か、なるほどね、とパパはすっごく感心
し、同時にすっごく反省したらしい。
ところで、うちのお店、エスプレッソに
興味がある人がたくさん訪ねてくるんだ
ね。
特にね、ミルクで模様を描くラテアート
に対する関心は高く、どうやって描いた
らいいのか、みんな疑問があるらしい。
そんなとき、みんなはエスプレッソにミ
ルクを注ぐパパの仕草を動画に撮ってい
くんだな。
もちろんパパは、撮影されたって一向に
構わない。そう、顔さえ写んなきゃね。
でもさ、パパはいつも思うんだって。
パパがやってるレベルはね、そんな動画
に撮るほどの技術でもないし、ラテアー
トをやる映像なんて、ネットにばんばん
あふれてる。
そう、もっともっとレベルの高い世界的
なバリスタの技が公開されてっから、わ
ざわざパパのなんて撮るこたないのに、
ってね。
それはまるで、めったに来ない外国のミ
ュージシャンのコンサートに行って、ず
っと大型スクリーンの方ばっか見てるの
と同じじゃないの。
豆粒くらいにしか見えないけれど、でき
れば本人、現物をみた方がいいんじゃな
い？って。
そう、
ラテアートやりたいんだったら、いつで
も自由にお店においでよ。いつだって、
何回だってパパはやったげる。そうする
ことがパパの喜びだし、楽しんでるし、
パパの技術も少しずつだけど上がるだろ
うし。
撮った動画はさ、自分のお部屋で何回も
繰り返し見れっから、便利っちゃ便利だ
ね。
でもさ、パパはこう思うんだ。
動画に撮るってことは、
しばらくパパのお店には来ませんよ、っ
てことなの？って・・・。
暑くもなく寒くもなく、とテラスで怠惰
な毎日を送っていたら、ブログの更新も
忘れてしまい、いつの間にやらカレンダ
ーは６月。季節は、うっとおしい梅雨に
入っていた。
雨が降るとテラスでのお昼寝はお預け。
しばらくは、クレートの中で過ごすこと
になるレイラです。
さて、 このところパパの気になる話題は
というと、どこかの市長さんが、建設業
者の社長さんに工事の入札情報を漏らし
て、こっそりお金をもらっていたという
事件のこと。
国や自治体が公共工事をやる場合は、入
札という手続きを経て、工事を請け負う
会社を決めるらしい。
公共工事だからね、不正があってはダメ
でしょ、だからちゃんとルールを決めて
どこの会社も平等に工事を請け負うチャ
ンスが得られるようになってんだって。
もちろん、他社より安い金額で工事を請
け負います！って言ってくれる会社にお
願いした方がいいに決まってる。
でもね、あんまり安過ぎで請け負うと、
シッカリとした工事ができないかも知ん
ないってことで、この金額より安い金額
で入札すると失格になります！ってライ
ンが決められてて、これを「最低制限価
格」っていうんだって。
この市長さんはね、どうやらこの最低制
限価格ってのを、社長さんにこっそり教
えたらしい。これは悪いことだね。
社長さんが悪いことをした会社は、これ
からしばらくは公共工事が受けらんなく
なるだろう。
現場で汗水流して働いてる社員のみんな
は、きっと仕事がなくて困るだろうな。
きっと家族もいるし、ワンちゃんも飼っ
てるだろう。
動物病院へも連れてけない、ドッグフー
ドもあげらんない、ってことになっちゃ
うんじゃないかと心配だ。
市長さんとグルになり、薄暗い会議室で
密かに悪いことを企んだのは社長さん。
きっと現場の社員さんたちは、事件のこ
とは何にも知らなかったんじゃないのか
な・・・。
レイラは、パパとこの事件のことを話し
ながら、映画の有名なセリフを思い出し
ていた。
事件は現場で起きてるんじゃない！
会議室で起きてるんだ・・・？？？