春うらら 駅へと向かう道すがら 空からねぎが 降ってきた いえ、ほんとうに。 先日、なんにも考えずに、ぼけぇっと街中を歩いていたら、いきなり、足元になにかがぼたりと落ちてきた。 いっしゅん、動物かなにかが落下したのかと思い、泣きそうになったが、見ると、恥じらうような白さがまぶしい 「ねぎ」 が一本。 見渡すかぎり住居はなさそうな、オフィス街の路上に、私は立ち尽くした。 なんでこんなところで? しかも、なんで空から降ってくるの? ひょっとして、天の恵みのねぎだろうか? とも思ったが、もちろん、拾ったり、匂いを嗅いでみたりなどはせずに、そのまま通り過ぎた。 いまさらながら、なんだったのかしら、と気になってきた。 たとえば。 ねぎが降ってきた地点の傍らの雑居ビル。 そこにオフィスをかまえる ある会社で、懇親会をかねたスキヤキ・パーティーが開かれることになった。 調理係は経理の女性。 「経理」 兼 「広報」 兼 「企画」 兼 「社長秘書」 のこの女性は、じつは社長の愛人でもある。 もうひとりの社員である営業の人が外回り中、スキヤキの仕込みをしていたのだが、社長と痴話げんかとなり、ついかっとなって、手元にあったねぎや白菜やえのきやしいたけなどを社長へ投げつけた。 ― もちろん、牛肉は投げなかった。 たまたま窓が開いていて、たまたま ねぎだけ窓の外へ出てしまった ... とか。 ― ああ、なんて発想が貧困なのだろう ! 「ねぎ殺人事件」 とか 「毒ねぎ攻撃」 とか 「かく乱ねぎ作戦」 とか? ― だめだ ! もっと、すごいことが思いつかないものか。 もっと、空想力をフルにはたらかせてさ。 (初出: 2004.3.10 再出: 2004.5.23) BGM: The Kinks ‘Big Sky’ |
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泣いちゃうじゃないですか!
中原中也とネギ…
コレですね。
「言葉なき歌」
あれはとほいい処にあるのだけれど
おれは此処で待つてゐなくてはならない
此処は空気もかすかで蒼く
葱の根のやうに仄かに淡い
決して急いではならない
此処で十分待つてゐなければならない
処女の眼のやうに遥かを見遣つてはならない
たしかに此処で待つてゐればよい
それにしてもあれはとほいい彼方で夕陽にけぶつてゐた
号笛の音のやうに太くて繊弱だつた
けれどもその方へ駆け出してはならない
たしかに此処で待つてゐなければならない
さうすればそのうち喘ぎも平静に復し
たしかにあすこまでゆけるに違ひない
しかしあれは煙突の煙のやうに
とほくとほく いつまでも茜の空にたなびいてゐた
中原中也は1937年没(念のため・笑)
気づいていただけてうれしいです !
中原中也、好きなので、引用してみました。
起こったできごとはフィクションなのですが、まるで中原中也だな ... と思って、タイトルを考えました。
中原中也、いいですよね~、ほんとに。
「起こったできごとはノンフィクション」です ...
ハイ。事実です ...
そうなんですか?!
やつらはねぎが主食なのかしら ...
太宰にケンカを吹っかけたひとですね、
程度しか存じません。
ケンカになるわけないのに・・・。
津軽対長州
チビ対猫背の長身
面白い絵ではありますね。
どちらも、相当しゃれっ気のある人、というイメージがあります。