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わたしを離さないで(映画) -- イギリスの田園風景がとっても綺麗。でもそこには多くの悲しみと苦しみが。

2017-10-17 10:07:29 | 映画








原題  Never Let Me Go

言わずとしれた、カズオ・イシグロの小説を映画化した作品です。
u-nextで視聴。

クローンがオリジナルに臓器を提供する内容でまず思い出すのは、ユアン・マクレガーのアイランド/The Islandです。このアイランドの内容も臓器移植目的のためにクローンを製造、そしてオリジナルに何かあったらクローンから臓器摘出をする内容となっています。が、マクレガー演じる主人公がいろんなことに疑問を持ち、真実を知り、自分たちの権利を手にする、というSFアクションものでした。
ですから、楽しんで見ていられる内容。
ですが、この映画のラスト、オリジナルにクローンがとって変わるという設定に、恐ろしさを感じました。

が、この「わたしを離さないで」は「アイランド」とは一線を画すものです。臓器提供の話だけではなく、そこには何らかのメッセージが感じられました。







カズオ・イシグロさんによると、「クローンや臓器提供をテーマにしたかったわけではなく、長くは生きられない若者たちの“生”を描くことが主眼だ」と語っていますが、この映画を見終わった後に、イシグロさんが言いたかったことがずっしりと心に覆いかぶさるように感じました。

確かに、科学的に理解するには、この映画というか小説、おかしな内容にも思えます。

そのおかしく思った点は
  
 ①臓器移植のためのクローン人間がいるのに、社会が全く平穏に描かれている。何事もなかった、ないように描かれている。
 ②周囲の人間が、とっても平常心すぎる。
 ③どのようにクローンを製造したのかが、全く描かれていない。  
 ④臓器提供を何回もするって、誰に?オリジナルがそんなに病気なの?
 ⑤主人公たちが幼少時いたような施設がいくつも存在しているようになっていましたが、どれだけのオリジナルがクローンを作っているの?

などなど。科学的に考えると矛盾が多いです。
が、この映画は、SFではないのです。長くは生きられない若者たちの生を描いている映画なのです。

この映画を見て、私は病気で若くして死ぬ若者、というよりも、アウシュビッツなどに捕らえられてしまった若者などが頭に浮かびました。
「生きたいんだけど生きられない。どうしようもない運命。でもそれを自分の運命として受け入れる」

そのような重いテーマにもかかわらず、イギリスの美しい田園風景が心を和ませてくれます。と同時に、その美しい風景の裏返しで、登場する人々の絶望感を強く訴えているような気がしました。

綾瀬はるかさん主演の日本のテレビドラマはどうだったんでしょうか。
ドラマではこのような美しい風景が出てくる訳でもないと思うので、その辺りが残念かもしれません。まだ見ていませんが。

ということで評価は

🍎🍎🍎

です。



映画『わたしを離さないで』予告編


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