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大家族・長期村の日々奮闘記

15年前の小学5年生


 長期村中盤期のとある日のこと・・・
 元小学校の自然学校の校門付近でウロウロとしている青年をまりこさんが見つけました。 知らない人を見かけた場合はすぐさま声をかけることが、スタッフ間の決まりことです。

「あっ、イエ怪しいものではありません。バイクで旅の途中です。ここに子どもの頃に来た場所があるかなと思って、確かめに来ました」

なんと、この青年Iさんは、15年前の第一回開催の黒松内長期自然体験村の参加者でした。当時は小学5年生!!
それはそれは!ようこそ!ということで1泊してもらいことにしました。

「今もやっているなんて、思いもしませんでした。なんか、変わってないなあ、あの時の記憶が蘇ってきます。僕の原点はここにありました」 なんとも嬉しい言葉です。

「会社を辞める決断をして、自分を見つめなすことにして、旅に出たんです。あの経験がなかったら、できなかったです」
「中高とちょっと悪い方向にも行きそうになったんですが、あの時一緒に参加した○○君とは親戚でもあるので、一緒にあの体験を思い出したりして、大きくそれることはなかったです」
「まだ続いていて、本当に嬉しいなあ」

嬉しい限りは私の方。やってきた者として、続けて来てホント良かったと、大冥利につきる言葉でした。

1回目から3回目の開催は今思えば・・、けっこう消耗しました。
長期村の開催は当初、文部科学省(同時文部省)が予算化し全国に子ども達を対象にした長期の自然体験活動を定着させようという試みから始まりました。 2週間以上の開催が条件でした。当時ロングな宿泊・キャンプ型を実施している団体は全国でも有るか無い位の極少数であり、何のノウハウも蓄積されていなかったのです。プログラムも食事も、子ども達との生活を共にした関わり方も、スタッフの集め方も、スタッフ間のチームビルディングも・・・すべてが試行錯誤の連続でした。

 時代はあの・・酒鬼薔薇事件という猟奇的な子どもが犯人だった犯罪がありました。それが長期村発祥の大きなきっかけの一つだったと私は推察しています。さすがの文科省も学校や行政の社会教育だけでは子どもの教育環境が整えることができない・・・、民間の様々な社会教育団体にも子育て環境づくりに参画してもらうおうと舵切りをしました。私たちのような団体や塾や習い事教室が「民間教育事業団体」と国の教育審議会「中教審」の答申で明確に位置付けられ、自然体験活動の意義が述べられました。これに応じて行政用語的にも自然体験活動が登場し施策予算化される道筋が作られました。ですから文科省も広報、予算にもチカラを入れて、全国をネットワークする自然体験活動推進協議会を組織させ、私も当初から参画しました。 その中のひとつの施策に子ども長期自然体験活動がありました。
3年目には全国で200箇所もの開催がされました。 

そして、私達の長期村にもさまざまなお子さんが来ました。私たちも鍛えられました。

 しかし、徐々に国の予算は絞られ実施団体は減少し、代わってその後手当された外郭団体の補助金も制限が多くなり、使い勝手が悪くなり、私どもでは6、7年前から資金的補助を受けることをやめて、参加者にご負担をかけるキャンプ経営をしています。 
 これが続けられるのも、毎年、人的運営協力者が現れ、数多くの、今では外国人ボランティアが参画できる仕組みづくりができたからだと思っています。

この仕組みを今後もどのように続けていくか・・・。
今、目の前の10歳の小学五年生が、25歳になる15年後・・・、

私はさすがに引退しているでしょう。死んじゃってるかもしれないなあ・・・。 

 しかし、彼のように訪れてくる人の「場」が続いていて欲しい。果たして30回目の長期村開催を記録しているでしょうか。
そのために、私ができることは何なのか・・・

そんなことを考えている朝です。 
長くなりました・・・。

そろそろ朝食です。外では子ども達が洗濯物を始末しています。

まずは、お預かりしているお子様方を無事に親御様の元にお返しすること。 これが今日の使命です。

村長

コメント一覧

Mirai's family
よい話ですね~
Marlinがお世話になったのが9年前の事。全国色々と調べましたが、当時長期キャンプ生活が体験出来るのは「ぶなの森自然学校」だけでした。「9才の子を1人旅させる」事には、祖父母は大反対、知人には「虐待」とまで言われ、海外の友人には“crazy”と言われる…
子離れ出来ない親御さんが多い今、私は未だに虐待親扱いされております(笑)

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