2011年/インド <日本初上映作品>
カラー146分
タミル語(日本語字幕)
監督・脚本:A. L. ヴィジャイ
製作:モガン・ナダラジャン
出演:ヴィクラム
サラ
アヌシュカ
アマラ・ポール
ナサール
2011年プサン国際映画祭で野外上映され、数千人の観客を感動の渦で包み込み、
会場にはすすり泣きがあふれたという噂のインド映画が日本上陸。
インド・タミル語圏で人気の実力派俳優ヴィクラムが、高く評価された演技で
主演し、親子の無償の愛と絆を描いた感動作。
障がい者問題や差別などの重いテーマを扱いながらも、ミュージカル的要素を
取り入れ、心温まる父娘のエピソードから終盤の法廷シーンまで、緩急をつけ
ながら一気に見せる演出が光る。
(第7回大阪アジアン映画祭公式カタログより)
* * * * * * * *
6歳の知能しか持っていないクリシュナは、妻バハヌとの間に子供を授かった
が、バハヌは出産後まもなく亡くなってしまう。クリシュナは娘に「ニラ(月)」
と名付け、チョコレート工場で懸命に働きながら子育てをし、幸せな日々を
送っていた。小学校に入学したニラを、自分の孫だと知ったバハヌの父親は、
「知的障がい者の元に子どもを置いておくのは危険」として連れ去ってしまう。
娘を奪還するべく、新米弁護士の助けを得て、クリシュナの法廷での闘いが
始まった・・・・・。
(第7回大阪アジアン映画祭公式カタログより)
* * * * * * * *
ここまで中国・台湾・香港映画ばっか観てきて、それ以外ではインドネシアの
『ビルの青い空』しか観てないので、他の地域の作品も観ようかなと思い、
『刀のアイデンティティ』の前に上映している本作をチョイス。
もうね、涙腺が大決壊!
この作品、『刀のアイデンティティ』までの時間潰し的な感じで、観に行った
ので、特に期待してはいなかったが、これは観て正解だった。
内容は大まかに3つのパートで構成されており、1つ目のパートは、
娘のニラを探して町をさまようクリシュナ。出会ったスリに人探しなら警察へ
行けと言われ、警察署に出向くも相手にされず、たまたま乗り込んだ囚人護送
車で裁判所に行き、そこで新米弁護士と出会う所あたりまで。
このパートは歌と踊りが、ふんだんに盛り込まれており、インド映画っぽい
内容だった。
2つ目のパートは、倒れたクリシュナの様子を見に来たクリシュナが働く
チョコレート工場の経営者の回想シーンで、クリシュナに娘が誕生するものの、
妻が出産時に死亡してしまい、ニラと名付けた娘と二人で、ニラが5歳になる
までの日々と、妻の父親に妻の死とニラがいることを知られて連れ去られる所
までを描く。
5歳のニラ(サラ)がまぁ可愛いこと可愛いこと。その上、演技も素晴らしく
ヴィクラムがQ&Aで彼女はジーニアスって言うのも分かるほど。
3つ目のパートでは、事情を知った新米弁護士が妻の父親からニラを取り戻し、
クリシュナと再会させようと燃えて、一転法廷サスペンスっぽい展開に入り、
相手側の有能弁護士との闘いを経て、無事、ニラを取り戻し、そしてラスト
へ・・・。
2つ目のパートで、クリシュナが周りのサポートを受けつつ、ニラを愛情
いっぱいに育てて、仲の良い二人をたっぷり描いていることで、3つ目のパート
の裁判シーンでの親娘の手話での会話や、その前の月を介して会話しようとする
親娘の姿にうるうるきて、最後のクリシュナが下した決断にもう涙が止まらな
かった。
上映終了後に、主演のヴィクラムによるQ&Aがあり、元々3時間近い作品
だったが映画祭用に2時間半ほどに編集しなおしたとか、5歳のニラを演じた
サラは撮影中もパパと呼んで懐いてくれたけど、その1つ下のニラを演じた
子役にはとことん嫌われて食べ物で懐柔しようとしたといった裏話をたくさん
話してくれて楽しいQ&Aでした。
生で見るヴィクラムはスタイルよくてイケメンだった。
追記:
本作品は、第7回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門でのグランプリ
とABC賞の2冠を達成。おめでとうございます。
ちなみに、来るべき才能賞は『ナシレマ2.0』のNamewee監督。
観客賞は『セデック・バレ』でした。
お薦め度:★★★★★(5/5)
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