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【とりあえず行ってみた】あれ? パナソニックのカーナビ、役に立たなすぎ……?

2021年01月11日 01時26分21秒 | 日記・雑記
 先月は行き損ねたので、本日三木の古式鍛錬の小刀部会にお邪魔してきました。
 どうも手持ちのデジカメが古すぎるらしく、前回のスマホ写真のほうがだいぶましという絶望的な状況です。でも役に立つお話も聞けたので、とりあえず備忘録的にうp。


 作業の工程表の全景。


 地鉄となる軟鉄と鋼。鋼を地鉄の中央に置いて鍛接し、叩き延ばしてから中央を鏨で斜めに切断します。
 実際にはこの状態に火に入れるのではなく、長い角棒状の地鉄の先端附近に鋼を置き、その状態で火に入れていました。
 余談ながら、鞴を動かしてるのは高島屋でお目にかかった永尾かね駒製作所、肥後守の製造工房の五代目でした。


 地鉄の中央に鋼を載せた状態。


 叩き延ばした後の鋼材と、それに鏨で切れ目を入れたところ。最終的な製品はこの鏨のカットと逆の方向に仕上げられています。


 この写真だとわかりにくいですが一番左の段階では鋼のカット方向と鋼材の二挺取りのカット方向が逆になっています。これを起こし・・・、刃の角度を逆にして製品にします。左から二番目は起こされたあとです。
 今回は鏝に比べると細々した作業工程が多く、また三回しか実演が行われなかったので写真はあんまり撮れませんでした。


 写真ではわかりにくいですが鋼材は鋼を手前にして弓形に反らされており、鋼側をわずかではあるがへこませる裏漉きの作業がやり易い様になっています。
 ブログ上の写真で見えるかどうかわかりませんが、一番左の展示は鋼がこちらを向いているため地鉄と鋼の境界線が識別出来ます。
 真ん中は表裏ひっくり返したもので、その次が焼き入れ工程を経たもの。

 
 実際には焼き入れと仕上げの間に焼き戻し、二百度程度まで熱した状態で自然冷却することで靭性を回復させる作業があるのですが、ここでは省略されています。
 お話を聞かせてくれた職人さんは刃先が硬すぎて使いにくいため、五ミリくらい一気に削り取ってからあらためて刃をつけ直すって言ってました。
 切り出し小刀は通常――二枚と呼ぶのかは知りませんが――片側に鋼が剥き出しになっており、肥後守の様に鋼を地鉄ではさみ込んだ構造にはなっていません。そのため、槍型ではない切り出し小刀は必ず利き手による違いが出てきます。
 なお、鍛接を行う理由は全鋼は砥ぎにくいとか鋼をケチったからだとか、はたまたそのほうが剛性が出るからだとか諸説あるみたいです。



 前回は無かったもの、切断用の鏨。


 金床。前回とは金床自体別物の様子。鏝部会もそうでしたが今回もかなり低く、相槌を打つ人がかなり大変そうでした。


 地鉄の角材。このまま先端附近を火に入れて作業します。


 地鉄に鋼を載せてるところ。
 つまり鋼の中心から地鉄の先端までの二倍程度の長さしか、一度には使わないということですね。
 粉状のものは接合材で、鉄の粉末と高純度のホウ酸からなっているそうです。こういった片側にしか刃をつけていない刃物は通常利き手による区別があるんですが――後藤さん追跡中の泉信一君も右手用の鉈を左手で使って、「切れない」とぼやいてましたね――、左利き用のものは鋼の向きが逆になるんでしょうね。
 なお、青紙とか白紙という安来鋼の名称は鋼材の種類を識別するためのタグの色に由来するそうです。


 画質良くないけどこれが接合材です。




 鍛接された鋼材の打撃による展延と鏨で切断する図。ほんと画質悪い。
 先ほどの厚み一センチくらいはありそうな地鉄がここまで薄くなってるわけですね。



 これが起こしの作業中。綺麗に刃の向きが逆になってましたが、細かな作業なのでなかなか写真が撮れませんでした。


 これは尻尾側。鋼を鍛接されてる側をはっきりさせるために、適当に叩いて曲げるそうな。





 これは二回目かな。






 これも起こし作業中。


 これは火に入れられた鋼材。鏝部会は奴床で掴んだままでしたが、今回は始終奴床からはずして火に入れてましたね。

















 今回はぜひ鍛接の工程が見たかったので行ってみましたが、やはり実作業を眺めてるのは面白いです。こういうのがあるのと無いので、描写の厚みが全然違ってきますので。

 そういえば、こういった刃物でも焼き入れのときには土を塗るそうです。秘伝とかあるのかと思ってたら、そうでもない様子。
 土は砥石の粉で、主な目的は最初に水に触れる先端に近い部分と後方の硬化度合いの均質化を図るためだそうです。それでもやっぱり先端は硬すぎて、先の職人さんは上の展示写真の生仕込みの段階ですでにされてる刃付けの前の大雑把な削りグラインドをせずに焼き入れしてもらうこともあると言ってました。完全な板状で硬化した後の鋼材に刃付けするのは面倒臭いからと嫌がられるそうですが。
 そういうお話をしてたので、あの職人さんはもしかすると鍛冶職人ではないのかも。
 でも土の盛り方よりも水の温度管理をちゃんとすべきじゃね?みたいな話もしておられたので、やっぱり鍛冶職人なのかなあ。ぶっちゃけ流水が絶えず流れ込んで、焼き入れで温度の上がった水が随時入れ替わるもしくは冷却される環境のほうがいいんでしょうね。



 あと、参考までに切り出し小刀を道の駅で実際に買って帰ったんですけど、展示品と違って鋼の境界線が直角に入ってました。二挺取りをしてたのなら、変形四辺形ではなく短冊状の長方形の鋼を使ったということですね。
 鋼を斜めにカットするのは刃の角度とそろえることで砥ぎべりしていっても鋼を無駄なく最後まで使える様にだと思うんですけど、これだと最後まで使いきれませんね。
 三木の伝統的な製法は斜めカットらしいので、これは違うのかも。だとしたら残念だのう。


 実はこれが一番欲しかったり。

 あとは地鉄の塊を使ったペン立てとか。鈍器によさそうです。

【業務連絡】
 ゴリラのカーナビって、なんでわざわざ幹線道路を避けて狭い道でナビゲーションしようとするんでしょうね。
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