◆ダ・ヴィンチの手帳
この天才には奇妙なくせがあった。ポケットに手帳を持っていて、なんでもかでも、やたらにそれにかきこむのである。町をあるいていて、であった人の顔の特徴をかきこむ。お弟子がかいものにいってかえってくると、いちいち品物の値段をきいて、かきこむ。まったく、なんの役にもたちそうもないことまで、こくめいにかきこむのである。(梅棹忠夫著『知的生産の技術』)
おおよそ職業に関係なく、五感といわれる感性を生かすためには、余程の記憶力でもない限り、自分のアンテナでキャッチしたことがらを何らかの形で記録する必要がある。
その際、なんといっても手軽な道具は「手帳」。携帯しやすく、書きやすく、多少ハードな取扱にも応えてくれる、そんな手帳が重宝する。
◆師走のささやかな楽しみ
ストアジャパン読者の皆さんは、来年の手帳をお決めになりましたか。
マーケッター小太郎の、師走のささやかな楽しみの一つが、手帳選び。程よくくたびれた今年の手帳を胸ポケットにしのばせ
「使い慣れたこの手帳に勝る手帳は……」
などと考えながら、タウンウォッチングの合間に、何度となく手帳うりばを訪れる。いちねんも付き合うものだ、そう簡単には決まらない。
来年の手帳は果たしてどれに落ちつくやら。いつものことながら、この楽しみは年末ギリギリまで続きそうだ。
◆カレンダーうりばでのできごと
年末の文具うりばの双璧といえば、手帳コーナーとカレンダーコーナー。先日、渋谷の百貨店のうりばをのぞいてみた。六坪ほどの特設コーナーには、様々なカレンダーがところ狭しと並んでいる。谷内六郎画伯のほのぼのしたこぶりのカレンダーに見入っていると、隣から母娘の会話が聞こえてきた。
母「サラリーマン川柳が載ってるのない?」
娘「これ、ちょっとそれっぽくない?」
母「そうねぇ…」
娘「けど、うちにいくつ必要なの?」
問われて、指を折りながら母が数えだした。
母「リビングでしょ。台所、寝室…、あっ、そうそうトイレにもいる…」
娘「こんなのトイレで読んでたらハマっちゃうかもね…(笑)」
この母娘、結局は買わずにうりばを後にしたのであるが、ちょっと考えさせられた。
もちろん、うりばについて、である。
この時感じたことが手帳に書きとめてある。
・一家族でも、カレンダーが複数必要である
・場所によって目的や用途、大きさが違う
・カレンダーによって効果が違う
◆これを踏まえて考えてみる
カレンダーが必要となる主な居室をイメージしてディスプレイする。すると「あぁそうだ、ここにもいるなぁ…」という気づきが起こる。
目的や効果をPOPに盛り込んでみる。
例えば、スケジュール欄充実のものには「台所(冷蔵庫)にピッタリ!」「お子様の行事、出張など、家族の予定が一目でわかる!」とか。
うんちくやことわざ、川柳など読み物系のカレンダーであれば、「思わず笑える」「読んで心がいやされる」「知らず知らずに学力アップ」とか。いずれもうりばで選んでいるお客様を想定して言葉をつむいでみる。
自分がうりばで感じたことを大事にして。
◆果たして、いちねんの計は…
「いちねんの計なんて…そんな暇ないね」
年末年始も開店している皆さんからは、こんな声が聞こえてきそうです。確かに、一般の会社勤めのような休暇はないかもしれません。
ただ「ゆっくり机の前で瞑想し考える」だけがいちねんの計ではないんです。というより、むしろ、働いている現場で見聞きしている時にこそ、発想が湧いてくると思うんです。
さあ、いちねんの計をうりばに見つけてください。そして、その財産を活かしてください。
それでは、来たる年が幸多からんことを。
次回『小太郎がゆく』、乞うご期待!
この天才には奇妙なくせがあった。ポケットに手帳を持っていて、なんでもかでも、やたらにそれにかきこむのである。町をあるいていて、であった人の顔の特徴をかきこむ。お弟子がかいものにいってかえってくると、いちいち品物の値段をきいて、かきこむ。まったく、なんの役にもたちそうもないことまで、こくめいにかきこむのである。(梅棹忠夫著『知的生産の技術』)
おおよそ職業に関係なく、五感といわれる感性を生かすためには、余程の記憶力でもない限り、自分のアンテナでキャッチしたことがらを何らかの形で記録する必要がある。
その際、なんといっても手軽な道具は「手帳」。携帯しやすく、書きやすく、多少ハードな取扱にも応えてくれる、そんな手帳が重宝する。
◆師走のささやかな楽しみ
ストアジャパン読者の皆さんは、来年の手帳をお決めになりましたか。
マーケッター小太郎の、師走のささやかな楽しみの一つが、手帳選び。程よくくたびれた今年の手帳を胸ポケットにしのばせ
「使い慣れたこの手帳に勝る手帳は……」
などと考えながら、タウンウォッチングの合間に、何度となく手帳うりばを訪れる。いちねんも付き合うものだ、そう簡単には決まらない。
来年の手帳は果たしてどれに落ちつくやら。いつものことながら、この楽しみは年末ギリギリまで続きそうだ。
◆カレンダーうりばでのできごと
年末の文具うりばの双璧といえば、手帳コーナーとカレンダーコーナー。先日、渋谷の百貨店のうりばをのぞいてみた。六坪ほどの特設コーナーには、様々なカレンダーがところ狭しと並んでいる。谷内六郎画伯のほのぼのしたこぶりのカレンダーに見入っていると、隣から母娘の会話が聞こえてきた。
母「サラリーマン川柳が載ってるのない?」
娘「これ、ちょっとそれっぽくない?」
母「そうねぇ…」
娘「けど、うちにいくつ必要なの?」
問われて、指を折りながら母が数えだした。
母「リビングでしょ。台所、寝室…、あっ、そうそうトイレにもいる…」
娘「こんなのトイレで読んでたらハマっちゃうかもね…(笑)」
この母娘、結局は買わずにうりばを後にしたのであるが、ちょっと考えさせられた。
もちろん、うりばについて、である。
この時感じたことが手帳に書きとめてある。
・一家族でも、カレンダーが複数必要である
・場所によって目的や用途、大きさが違う
・カレンダーによって効果が違う
◆これを踏まえて考えてみる
カレンダーが必要となる主な居室をイメージしてディスプレイする。すると「あぁそうだ、ここにもいるなぁ…」という気づきが起こる。
目的や効果をPOPに盛り込んでみる。
例えば、スケジュール欄充実のものには「台所(冷蔵庫)にピッタリ!」「お子様の行事、出張など、家族の予定が一目でわかる!」とか。
うんちくやことわざ、川柳など読み物系のカレンダーであれば、「思わず笑える」「読んで心がいやされる」「知らず知らずに学力アップ」とか。いずれもうりばで選んでいるお客様を想定して言葉をつむいでみる。
自分がうりばで感じたことを大事にして。
◆果たして、いちねんの計は…
「いちねんの計なんて…そんな暇ないね」
年末年始も開店している皆さんからは、こんな声が聞こえてきそうです。確かに、一般の会社勤めのような休暇はないかもしれません。
ただ「ゆっくり机の前で瞑想し考える」だけがいちねんの計ではないんです。というより、むしろ、働いている現場で見聞きしている時にこそ、発想が湧いてくると思うんです。
さあ、いちねんの計をうりばに見つけてください。そして、その財産を活かしてください。
それでは、来たる年が幸多からんことを。
次回『小太郎がゆく』、乞うご期待!