介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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介護保険がいま遭遇していること

2007-12-12 12:00:12 | 介護福祉
【全体像は】
「介護保険いついての論文は多いが、法改正等の状況を
前提に制度の全体像を論じているものは少ない。」
(平岡公一、お茶ノ水女子大教授。『社会福祉学』48-3、p168
(日本社会福祉学会の「学界回顧」で。国際比較の視点でこの点を論じた
斉藤弥生2006『自治総研』32-11、p30-p54を重要な論文としてあげている・・・私は、まだ、この斉藤論文は読んでいません。)

【岩清水日記】
このところ、シリーズで、現場の立場から
介護保険2005年改正の総括を行っている。
(1)12/06
(2)12/08
(3)12/11
(4)12/12

*京都府下の某市の地域包括支援センターに勤務する社会福祉士。
私のこのブログのBOOKMARKからアクセスできます。

【最初に甘い言葉を】
ドイツでは、介護保険を作るとき、最初に保険料をとり、遅れて
給付を開始している。また、あらかじめ「部分保険」と説明している。
これに対して、日本では、制度の創設当初は甘く、しばらくして漸く定着しかかったころに給付抑制を行った。
これは、彼我の政治文化の相違というべきだが、年金制度などにも
この「最初は甘く、あとになって本音を」というスタイルがうかがえる。

【民間の知恵はどこへ】
昔、役所などがあてにならないころ、高齢者を抱えた家族は、近くの
特別養護老人ホームなどへ相談に出かけた。これが、「在宅介護支援センター」
の沿革的な原点でした。それが、今は、「地域包括支援センター」となり、
形式的には、公的な色彩が強まったように見えるが、実態は、「岩清水日記」が指摘するとおり。

【専門職はほんろうされる】
専門職は、給付抑制の役割をになうことになってしまいました。
ホームヘルパーについで、ケアマネジャーも当初の専門職としての可能性をつまれつつあります。医療職とのアナロジーによる専門化によっていまは利用者から近いところにいる人が利用者から引き離されかねません。

【細かな認定】
「岩清水日記」で指摘されているとおり、ただでさえ細かい認定基準が
さらに細かく指示され、悪い意味での「保護基準の運用」のような弊害が出てきています。

【活路】
地方においては、高齢化への対応はまったなしです。
青臭い教科書的な言い方ですが、やはり、基本の路線(法制度と予算)は、
政治の世界から問題の是正へと進んでほしいです。

「・・・日本人が無議の習慣に制されて、安んずべからざるの穏便に安んじ、
開くべきの口を開かず、発すべきの議論を発せざるのを驚くのみ。」
(福沢諭吉『文明論之概略』第5章、岩波文庫本、p117-p118。)

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2 コメント

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政治家の仕事 (岩清水)
2007-12-12 22:42:21
斉藤弥生先生の論文ぜひ読みます。
政治家の責任の大きさを感じています。
現状では、官僚が作った法案が国会を通過し、
細かな部分は、政令や省令になるわけですから、
まさに行政立法です。
それでも、期待できる議員がいるのは確かです。
前出の斉藤弥生先生の夫君、山井和則議員の行動力は
特筆に価すると思っています。
介護保険制度の「最初に甘い言葉」の後に苦い飲み物を飲まされている被保険者に、これからもっと苦い思いをしなくてはならないなんて誰がいえるのでしょうか。
このままでは次の法改正には、さらに制限がかかるでしょう。
非常にまずい対応ですね。
ビジネスでこれをやると間違いなくつぶれます。
若い議員に期待 (bonn1979)
2007-12-13 06:16:12
後楽園
ではありませんが
政治家は
「先に憂い、あとで楽をする」
ことを信条にしてほしいです。
今の日本の政治は
グリーンスパンの言う
「大衆迎合」です。

昨日
テレビで
年金問題を追及する
山井議員を見ました。

斉藤弥生さんと
共著の北欧報告は
素晴らしかったです。

視点が
はっきり
日本に向けられていた。

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