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第1698号 【OECDワ-キングペーパー2005年】所得再配分と貧困

2008-10-12 15:06:56 | 経済
OECD(経済開発協力機構)の「社会・雇用・移民」班

ワーキングペーパーNo.22 1990年代後半の所得再配分と貧困

は、専門的な報告ですが、日本の状況を国際的な視点で見るのに貴重なデーターが含まれています。
*このデータを使用した論文はある(後藤道夫、2008)が、全訳はまだないようだ。

原題は、
Income distribution and Poverty in OECD Countries in the Second Half of the 1990s

OECD SOCIAL, EMPLOYMENT AND MIGRATION WORKINGPAPERS 2005  

で、著者は
Michael Forster と
Marco Mira d'Ercole です。
*80ページあります。

幾つかの分析をみてみましょう。

○ ジニ係数といって、その国の所得格差を示す指数があります。OECDの平均値は30.6%です。
0に近い国は平等度が高く、1.0に近い国は不平等度が高い。
*この指数の元になる所得の統計値など技術的な課題もあり、さまざまなジニ係数が発表されていますが、
平等・不平等を示す統計としてよく使われます。

・26%前後でジニ係数が低い国  デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウエー、オーストリア、チエコ、ルクセンブルグ、オランダ

・27%~30.5%  カナダ、スペイン、オーストラリア、ハンガリー

・31~36%  アメリカ、イギリス、ギリシヤ、ポルトガル、ポーランド、日本

・45%    メキシコ、トルコ

→p.10に棒グラフ
*平均値は、メキシコとトルコを除くと29.4%になる。
 日本は、31.4% (p.61の統計表)

○ 1990年代後半から2000年までに家計の所得はどの程度増加したか?
 これを所得10分位の代表的な箇所ごとに比較しています。(年平均所得の伸び)

        下から2番目の所得階層 真ん中(6番目階層) 上から第2階層
スウェーデン    1.3%        2.7%        4.5%
イギリス      2.3         2.6         3.6
アメリカ      0.7         0.9         0.5
ドイツ       0.4         0.7         0.6
日本       ▲1.9        ▲0.8         0.0

OECD 20ヶ国    1.6         2.0         2.1   
*この時期、日本だけが、所得が伸びていない。しかも低所得層の減少が大きい。
p.18の表3

○ 社会支出が高い国は相対的貧困率(貧困者の割合)が低い
これは、考えてみると、当たり前ですが、
社会保障支出から医療費と年金を引いたもの(社会サービスや社会手当)がGDPに占める割合と貧困率の関連を見ると、きれいに逆相関しています。
p.29の図13
*日本は、社会支出が低く、貧困率が高いグループです。 
 
      社会支出   貧困率   (グラフから読んだ概算値です)
日本     2%以下    13%

デンマーク  13%      5%


*写真は、加計呂麻島の夕景。
奄美・加計呂麻島なんでもありBLOGの10月10日の記事からお借りしています。


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