介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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介護保険に現金給付の導入を(経済学者の提案)

2008-03-14 10:26:37 | 介護福祉
【日本経済新聞・経済教室】
昨日、3月13日付の「経済教室」(鹿児島版では、27面)では、

チャールズ・ユウジ・ホリオカ
という大阪大学教授の論文が出ている。
(マクロ経済学を専門とする。ハーバード大学で経営経済学の博士号)

経済学の素養を必要とする文面だが、無視できない提言なので、紹介します。
*普通、社会福祉関係の方は、日本経済新聞は読まないことが多いでしょうが、経済財政諮問会議や社会保障国民会議などをみても、経済の領域の発言は無視できません。

【介護保険に現金給付導入を】
・・日本の介護保険制度は、「現物給付」といって、介護サービスを専門職から受けることができるという方法です。
これは、医療保険の「現物給付」のシステムに従ったと考えられます(ブログ編集者前注)・・

著者の提案は、
・現物給付の他に、現金給付をもうける。
・その理由として、経済学でいう「モラルハザード」をあげる。世話できる家族がいても専門家に頼ろうとして、需要が膨らむ。
・これを補強するものとして、「介護する家族は、遺産をあてにしている」という調査結果を援用している。
・ドイツの介護保険では、現金給付を併用していることも参考にあげている。

【この提案の意義】
医療保険の場合と同じに、費用の増大を防ぎ、ひいては、制度を維持しようという意図は理解できる。

また、北欧などでも、家族による介護への金銭的な援助があったようだ。

【この案の問題点】
・2005年改正以降、現場に生じている状況からいって「モラルハザード」の起きることを心配するよりは、給付の必要以上の制限が問題になっていること。

・介護保険法創設の際にも、現金給付の議論が自民党からあり、結果的には、介護の社会化に逆行するとして退けられた経緯がある。

・ドイツでは、現金給付を選択する受給者が多く、結果として、介護の質の問題が議論になっている。(ミネルバ書房の『社会保障改革』2008で読んだとおり)

*写真は、鹿児島中央駅で。
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