介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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第3554号 竹沢尚一郎『社会とは何か』(中公新書)

2010-03-09 21:29:41 | 映画・読書
twitterの世界をのぞくようになると、細切れの情報が押し寄せる感じがして、多少まとまったものを読みたいという気持ちになりますね。
さりとて、500ページくらいの本格的な研究書を相手にブログで紹介していくのは骨が折れますね。

社会とは何か

は、硬い本ですが、何とか目鼻がつく時間で読めそうだ・・そう思って買いました。


いつも思うことですが、刊行されてから僅かの時間ですが、ネット上には本格的な書評が多数でています。

その代表的なものを3つあげます。社会学の専門家からは必ずしも高い評価とはいえませんね。

山下ゆの 2010.02.04

チラシの裏 2010.02.14

つれづれと・・・ 2010.02.26

*         *         *        * 

以下は、私の読書メモです。

【社会学・社会思想史の読み物】
ルソーに関する記述が多い。鹿児島に来て大学院生のNさんから『エミール』などの面白さを教わった。1762年に出版されたこの本は、18世紀中に70版を重ねたという。p.58
「社会問題の発見」に、1793年のロベスピエールの発言があげられていた。p.65

【フランス式思考方法】
私は、偶然の機会があって、ドイツの社会保障を学んでいますが、その隣国フランスのことは言葉の壁もあって、ごく僅か知らない。著者の専門はフランスの社会学というわけでヒントになることが多い。外国人に対するフランス人のスタンスにはフランス特有のものがあるという説明には納得できた。p.152

【twitterとのつながり】
これは、とっぴと考えられるかも知れませんが、著者のいう方法(「来るべき民主主義」p.155)は、最近多少理解しかけてきたtwitterの世界との接点があるように思いました。
「たえざる討議を通じた」社会的連帯への参加。
*p.198 でも、意見の「多数性」「複数性」の重要さを水俣病の例で説明している。

【コミュニティという概念の多様性】
「コミュニティ」という言葉は、英語ですが、日本の社会福祉の世界でも好んで用いられていますね。(「コミュニティ・ワーカー」)
本著では、この用語・概念の多義性を指摘しています。p.166
それでいて、「システムからプロセスへ」という重要な箇所で「コミュニティの観点で」p.163、社会を見ていこうといっていたりして説得力が弱いですね。

【水俣病】
第5章で、社会連帯の例示として水俣病がとりあげられています。鹿児島は水俣が近いので水俣病への地域の関心が高く、現在も係争中の問題です。
1958年ごろ、厚生省(当時)が、有毒説を根拠なしとして退けたという罪は大きい。p.174

【湯浅誠】
巻末の文献表には、学者らしく、ルソー、スピノザ、フーコーなどの基本的な図書(翻訳)があげられています。その中に、湯浅誠『反貧困』(2008)を入れているのが興味深い。
p.230

    《総文字数 1563字》
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