介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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知的障害のある人の自己決定・自立支援

2008-02-13 11:20:03 | 社会福祉
【高木教授他編著の第2章】
『障害者福祉の研究課題と方法』(学文社、2007)を読んでいます。

今日は、その第2章
知的障害のある人の自己決定・自立支援 p16-p31
です。

この章の執筆は、
福永 良逸氏です(九州大谷短期大学准教授)

【施設職員への調査】
鹿児島市内の施設職員を対象に、
16項目について、
・自己決定を支援しようとしたか
・実際に実現できたか

を聞いた。

・調査は、2003年7月に行われた。
・対象となった職員は、      (回答者)
知的障害者更正施設 3箇所 70人    62人
身体障害者療護施設 2箇所 50人    40人

*回答者 102人 (回収率 83.6%)

【調査項目】
以下の16項目。

食事の好み、おやつの好み、服装の選択、余暇時間の過ごし方
買い物の内容、外出の希望、起床時間、就寝時間
テレビ番組の選択、飲酒、喫煙、小遣いの金額
同室のメンバー、退園希望、部屋の装飾、男女交際

【本人の意思や希望を尊重するか】
上記の16項目について
「思わない」の比率は、殆どの項目で0%ないし一桁だった。

例外的に「思わない」が高かったのは、
・知的障害者についての「喫煙」   21.3%が 支援しない。
・身体障害者     「部屋の装飾」12.5%

【実際には支援できなかった】
上記のように、本人の意思を尊重することは、殆どの項目で「思う」が多かった。

それでは、実際にその意思を尊重できたのか?
知的障害者の場合をみてみよう。

起床時間  36.7%
飲酒    38.3
喫煙    45.0
部屋の装飾 36.7
男女交際  41.7

については、実際に支援することができなかった。

【困難にしている理由】
調査では、
意識と実際のずれをディレンマ度として表示しているが、ここでは省きます。

なぜ、困難なのかについて、「ディレンマ度」の高いものについて、
その理由を順にあげると、

起床時間については、 他利用者、時間、社会的常識
部屋の装飾      費用、他利用者、本人の能力
男女交際       能力、他利用者、安全性

があげられた。

【この章の意義】
概念としての「自己決定」が議論されていた時期に、実際に、職員に意識を問い、実際の支援状況を問うことによって、この問題の具体的な課題を浮き彫りにした。

「施設現場で試行錯誤を繰り返しながら必死で利用者と向き合っている援助者の取り組みがあった」(p30)




 
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