しばらく更新が滞っていたのでまとめて3冊ほど、食に関する本を。
そもそも、「食の愉しみ」をテーマに書かれた本ってのは、基本的に面白い! というのが私の持論です。
まず何より、書かれる動機がいい。
「私はこれが美味しいと思う!」「こういう食べ方が楽しいと思う!」という、ポジティブな動機で書かれた本がほとんどです。ゆえに自然と内容も明るくなりがちだし、読んでいるだけでこっちも楽しく、嬉しく . . . 本文を読む
森博嗣センセイと言えば、大学で研究者兼教育者として淡々と仕事をする傍ら、「あくまで作家は副業」と言い切りつつも、『すべてがFになる』で鮮烈なデビューを果たし、恐るべき執筆速度と持続力でその独特の森ミステリィの世界を構築し、他方、ミステリィの領域に限らぬ幅広いジャンルの著作をモノにしてきた、実力派の作家です。
私は既にミステリィの連続シリーズものを追うことは辞めてしまっていますが、それでもたまに . . . 本文を読む
前々から記事を書こう、書こうと思いつつ、ついつい先送りし続けてしまっていた一冊。
講談社現代新書、『大学論 いかに教え、いかに学ぶか』 大塚英志。
帯の煽り文は、『大学全入時代だからこそ改めて問う/体験的エッセイ/いま、大学でいかに学ぶのか』。いかにも「最近の大学について論じますよ」、といった風のタイトルであり、煽り文です。
しかし、まず最初に一言。
この一冊、タイトルに偽りあり。
. . . 本文を読む
正直言って、普段ならば一読して「あー面白かった」で本を閉じて終わり、良著ながらもブログ記事にはしない種類の本ではあるんですが……
先日の「新書」のススメ、「新書」のススメ・その2の好例として丁度いいかな、と思ってここで紹介することにします。
これは持論なんですが、たとえ自分の専門分野からは離れていても、教養として基本的なこと・最新のこと(最新に近い情報)を知っておくべき分野、と . . . 本文を読む
前々から勧めようと思っていて後回しになっていた一冊。
著者は、大阪大学の大学院の教授。ロボット工学の専門家です。
日本よりはむしろヨーロッパなどで有名な先生で、「世界の生きている天才100人」とかに選ばれてた人ですね。日本でも色々な番組で散発的に取り上げられることはあっても、いまいち実態ほどには知名度のない先生、という印象があります(ロボットとかの専門の世界ではともかく、一般社会への露出度 . . . 本文を読む
しばらく更新をサボってしまった。ううむ。
さて唐突ながら、私の最近の読書は、新書と文庫に偏ってます。
ハードカバーの本を腰据えてじっくり読む時間も取りたいんですけどねー。なかなかこれが難しい。隙間隙間の小さな時間を細切れで読書に当てようと思うと、どうしても持ち運びが簡単で内容も小さな単位でまとまっている、文庫や新書というチョイスになってしまう。
ただまあ、この「新書」というもの。
広 . . . 本文を読む
国道に関してはニコ動で初めて「酷道」という単語を知ったくらいの浅い趣味しかない私ですが、軽く冒頭立ち読みして即購入。
世の中には、奇妙な「国道」がたくさんあります。
まずこの本を開いて最初に目に飛び込んでくるのは、青森県は津軽半島龍飛岬にある「階段国道」のカラー写真。全長338.2メートル、段数362段の石段が「国道」。ちゃんと「オニギリ」と呼称される、角の丸い逆三角形の標識も立っていて . . . 本文を読む
昔から、意識の片隅に引っかかっていたことがある。
それは、何故ナチスは戦前のドイツであれほど受け入れられたのか、ということだ。
一般には、第一次世界大戦で大敗して気の遠くなるような賠償金を吹っかけられて、皆が希望を失っている時にナチスがつけこんだのだ……といった説明がされているように思う。ナチスは「ユダヤ人や外国などを敵視させることで」国を纏めたのだ、という理解も強いように思う。
実際、そ . . . 本文を読む
ちょうど同一作者の「テロリズムの罠」左巻・右巻を読んだとこだけど、まあ最初にオススメするならコレだろう。
作者は、鈴木宗男議員の事件に絡んで逮捕された元外務省の官僚。で、この「国家の罠」は、乱暴に言ってしまえば、その一連の事件を「逮捕された側」から語っているものだ。
もちろん、事件の当事者が、それも逮捕され起訴された者が自分で書いているような話だ。眉に唾つけて読む必要はある。
だけど… . . . 本文を読む
前に探してた「議論に関する本」の1つとして挙げていいかな、と思える本。
ちくま新書、出版は1年前。
著者は経済畑の人で、だからこの本に取られている材料も経済分野の話が多くなっています。この分野はその気になればデータを大量に集めやすく、しかし、その意味や評価については判断が分かれやすい。水掛け論的な無駄な議論がおきやすい世界ではあります。
そしてまた、経済の世界はもちろんですが、しかしそこ . . . 本文を読む