おやすみなさい願望

朝 目が覚めると
ぼやける意識の中で
悲しくなるんだ


生きてる


昨日寝たときと同じ格好
昨日寝たときとと同じ体制
渇いて跳ねた髪
昨日と変わらない ぼく
後悔するんだ


死んでない


起き上がるのは
いつも億劫で
頭が完全に覚醒して
世界を認識するのを避けたくて
逃げたくて


おやすみ


おやすみ


おやすみなさい


誰かに言ってほしくて
ぼくが いつまでも寝ること
許してほしくて
でも誰にも会いたくなくて


そんなとき 踊るんだ
ぼくの頭の中で
ちっちゃいおじさんが
ラーメンの上で
オムライスの上で
必死に

踊るんだ
それが
ちっちゃいおじさんのお仕事だから
生活の為に がんばるんだ


♪アィセ ♪アィセ
♪ヨィセ ♪アィサ


歌いながら 踊るんだ
ぼくに向けて
ちらちらと
ぼくの様子を伺いながら

息を荒くして
汗をかいて
最後に お辞儀する


ぼくの目を見て
「風邪ひいちゃいかんぞ」
「残さず食べるんだぞ」
いつも 何か 一言ずつ
少し笑いながら
声を掛けてくれる


おやすみ願望は
いつでも健在で
でも おじさんが踊るから
ぼくは 今日も
起きてしまった















今日は学校。
まんどくせ。