吟遊詩人の唄

嵯峨信之を中心に好きな詩を気ままに綴ります。

そのまま行けよ/浜田裕介

2010-05-06 05:15:19 | 浜田裕介



― 4/18 四万十市会議員 浜田裕介 誕生。
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例えば道につまづいて 明けない夜が訪れて
でも大丈夫 そのまま行けよ
最初はただの石ころで 転がることも ままならない
でも大丈夫 そのまま行けよ
煩わしいいさかいや 避けられないトラブルや
絶えることない悲しみが この道の先転がっている
Wow そのまま行けよ そのまま行けよ
信じるままに その歩幅のまま

例えば今が最悪で あてが外れてばかりでも
そう大丈夫 そのまま行けよ
大したことじゃなくてなくていい
心に決めたことなんて
そう大丈夫 そのまま行けよ

立ち止まってもかまわない
あきらめたって別にかまわない
君が君のままでいる限り 間違いじゃない
裏切りじゃない

Wow そのまま行けよ そのまま行けよ
信じるままに その歩幅のまま

打ちのめされた夜の中 悪い夢で目を覚ました
でも大丈夫 そのまま行けよ
今夜そこに辿り着くまで 誰かをきっと傷つけた
でも大丈夫 そのまま行けよ

そろそろ腰を上げようぜ
ズボンの砂を両手ではらって
最初に口ずさんだメロディーを
その道連れに歩き始めよう

Wow そのまま行けよ そのまま行けよ
信じるままに その歩幅のまま

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浜田裕介HP http://www.soso-guitar.jp/hamayu/

My Space http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewprofile&friendid=1001173867

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この歌声が世界のどこかにいるあなたに届くことを願って・・・

ヒヤシンス/浜田裕介

2010-01-06 16:48:08 | 浜田裕介



工場の裏 どぶ川のほとり 儚く咲いた幻の花
8月の朝 高校野球 サイレンの音にうなだれる朝

小さな町 閉ざされた日々 彼女は何も選ぼうとはしない
教室から見下ろしていたのは 鉛色の閉塞の町
ある朝彼女は見つけた 机の隅の小さな落書き
慌てて塗りつぶして 周りを見渡す 小さなシミがゆっくり広がる

線路の脇 トタン屋根の下 可憐に咲いた幻の花
ペダルの音 軋むペダルの音 いつしか憶えた絶望の歌

街頭演説 群衆の告白 丸めた紙屑 60年の文字
タクシーの列 すり減った革靴 放置自転車 盲人信号のメロディー
ピンクチラシ 少女たちの目配せ 開かないドア 虐待の闇
口ごもる老人 ただ空を見上げる 当分降りそうもない薔薇色の空

工場の裏 どぶ川のほとり 儚く咲いた幻の花
8月の朝 痛恨の極み サイレンの音にうなだれる朝

グランド・ゼロ Shoe The Flag イラク派兵 テロ支援国家
保険会社のCM 自己責任 少年法改正 実名報道
公式参拝 反日感情 遺憾の念 不戦の誓い
安全保障 経済制裁 新しい歴史教科書 右向け右!

ひび割れた窓 染み付いた匂い 何度も割られる窓 母親の沈黙
頭を低くして息を潜めて ただやり過ごす 終わらない嵐
灼けたトタン屋根 窓のない部屋 テーブルの上折れたヒヤシンス
落書きの文字が彼女を押し潰す 「ここから出てけ この朝鮮人!」

カビ臭い部屋 物置の隅 健気に根を張る沈黙の花
何処へ行こう これから何処へ行こう 途方に暮れる ひこうき雲

I'm Mr.Moonlight / 浜田裕介

2009-09-29 00:50:24 | 浜田裕介



窓から忍び込む月灯りみたいに
君の隣にそっと寄り添う
会えない時間を早くうめたくて
少し駆け足で愛してるかな

外灯の下で君が立ち止まる
静かに笑って僕を惑わす
少し流れた風光を集めて
君の周りだけ少し明るい

君を困らせたくて
手を差し出したら
自然に受け容れられて
僕は又舞い上がる

君にもし哀しいことや
辛いことがあったなら
直ぐに部屋の窓をあけて
僕の名前呼んでほしい
I'm Mr.Moonlight

何から話そう 今日までの事を
上手く笑わせる 自信がないな
拾った猫のこと なくした女性のこと
でも今の気持ちだけ 上手く言えない

君が目を閉じて夜にキスする
二人は夜の底 漂うプランクトン
キレイな夜だね言葉にならない
ほら僕の仲間達も
君に見とれてる

悲しみを知って君は
怖いくらいにきれいになって
僕はただそんな君を
優しく照らしてたい

君がもし本当の事や
大事な事見えなくなったら
直ぐに部屋の窓をあけて
僕の名前呼んでほしい
I'm Mr.Moonlight

僕が君にかけた魔法は
明日も君を困らせるから
だから直ぐに窓をあけて
僕の名前呼んでほしい
I'm Mr.Moonlight

流星のターミナル/浜田裕介

2009-09-22 17:30:39 | 浜田裕介



『流星のターミナル』

流星のターミナルで僕が見送ったのは 
8才になったばかり あの子の背中だった
二学期が始まり 教室に置かれた
小さな白い花が 現在も胸にある

流星のターミナルで次に見送ったのは
銃弾に倒れたJohnの背中だった
YOKOと書き上げた最後の手紙は
ほんの数日前に僕にも届いてた

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで次に見送ったのは
全てに疲れ果てた友の背中だった
父親に電話で「がんばってみる」と
そう話したばかりの夜のことだった

流星のターミナルで次に見送ったのは
仮面を脱ぎそびれたあいつの背中だった
真夜中のファミレスで朝まで語り明かした
92年の初夏(なつ)伝説になった

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで次に見送ったのは
僕を一番愛した祖母の背中だった
青春などと呼べる季節も訪れず
彼女の星もまた静かに流れた

流星のターミナルで次に見送るのは
随分小さくなった両親の背中だろう
二十歳を過ぎた頃から照れくささばかりで
感謝もねぎらいも言えないままに

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで最後に待つのは
年老いて旅立つ僕の背中だろう
願わくはポケットは空っぽのままに
願わくはアルバムはあふれんばかりに

願わくは彼女はまだ 健やかなままに

万物流転/頭脳警察

2009-08-15 00:28:04 | PANTA



鏡の中から叫ぶ おまえの声 聞こえない
移り変る時代を捨て 唇も凍えてる
森の木々は朽ち果てて 季節まで売りつくし
獣は生血を求め 街路樹に身体を隠す

風が咲かす炎の花に 香しく 目を閉じて
おまえは霧の中にまで 釣糸を垂らしてる
形も色も匂いも 何もかも ないものと
戯れてるおまえを見て 哀しさを殺してた
神話をさまよう 一角獣 unicorn みたいに
Ah 転げ落ちていくよ どこまでも どこまでも
Ah 水を掴むように やるせなく そう万物流転

銀の馬車に乗り込んで 無意識の御者に問う
夜が明けるのはいつかと 月明りさえぎった
鏡の海を渡れば 水瓶の娘達
終末を舞いつづけてる 神殿の犠牲に
胸に隠したセラミックの刃
Ah 何にも変わらない それなのに それなのに
Ah 風を掴むような むなしさで ほら万物流転

一夜の酒宴のために 群狼の遠吠えを
肴に語り部の唄を かがり火に透かしてた
銀河に散る星屑が 俺の眼に降り注ぐ
新しい生命の為に 捧げようこの夜を
有限の未来を おまえと見たい
Ah 転げ落ちていくよ どこまでも どこまでも
Ah 気づかないふりして 今夜だけ そう万物流転
Ah 何にも変わらない それなのに それなのに
Ah 変わったふりしてる おまえのため ほら万物流転

39番目の夢/川村カオリ

2009-08-05 01:07:28 | Weblog



明日も友達に会えますように 
大好きな人と明日も会えますように 
君と僕とは違う人間だからなんてくい違いはない方がいい 
言葉が心の反対車線を走りませんように 
片想いが少しだけ伝わりますように 
泣く事が少なくなりますように 
泣く事が10000回あったら 笑う事が1000000回はありますように 
笑ってばかりで退屈になったら つらい事を少し下さい
水族館の魚がいつか海へ戻れますように
渚で彼らにあったら挨拶交わせるかな
動物園の動物が自分の国に戻れますように
盲導犬に星のありかがしっかりと見えますように

手を伸ばしても届かない夢に
僕のブーツにからまる現実
できるだけできるだけ近づきたいと
思う僕でありますように

成功した人をねたんだりしませんように 
ねたんだとしても自己嫌悪に陥りますように 
外国にしかない野菜を買うよりも
つくしんぼを探すのが好きで 人の傷みがわかっていられますように
一生唄がうたえますように 
唄が僕の人生をきっと超えますように 
初めてのライブ あの体の震えを忘れませんように 
僕が泣いたり怒ったりすることが何かにつながりますように
毎年四月にはきちんとタンポポが咲きますように
その綿毛のようにみんながフワフワと自由でいられますように
氷河期が来てもTシャツ1枚で平気な日がありますように

幾千万の溢れ出す夢に
この胸の中やせっぽちの現実
あきらめずあきらめず近づきたいと
歌う僕でありますように

全ての兵器が一瞬で消えますように
原子力発電所がなくなりますように
中国に平和が訪れますように
誘拐や強盗がなくなりますように
軽はずみなSEX その落とし子が減りますように
あの日のことを君が忘れてくれますように
「嫌いだ」と言った僕のことを忘れてくれますように
僕の記憶から消してしまいたいものが
この夢からさよならしてくれますように

この国が もっともっと好かれる国になりますように
誰にでも優しい国でありますように
死刑になる人もする人もいない方がいい
病気だってこの世にない方がいい
何の為に生きているかなんて一生わかりませんように 
死ぬまでわかりませんように 
死ぬまで

ゆるやかな法則/浜田裕介

2009-03-03 10:03:56 | 浜田裕介



誰かが歌う メロディーになじめず
自分だけの繭の中で 呼吸をひそめていた
強く握ったかたくなな拳
不器用なその掌でつつんでほどいた

僕だけがいびつな果実だと思ってた
だけどあなただけが 僕のありのままを抱きしめてくれた
僕とあなたの待ち合わせ場所は
この世界じゃなくてもいい  この星じゃなくていい
僕とあなたがつながったわけは
今すぐ解けなくてもいい 永遠に解けなくてもいい

音にならない 静かな唄があること
まなざしとぬくもりだけであなたは伝えた
思いがうまく届かぬ歯がゆさで
あなたを深く傷つけた 心と裏腹に

僕だけがあなたの王様と思ってた
繭の外にある世界を僕は今も少し怖いけれど
僕とあなたの待ち合わせ場所は
この世界じゃなくていい この星じゃなくていい
僕とあなたがつながったわけは
今すぐ解けなくていい 永遠に解けなくていい

僕だけがいびつな果実だと思ってた
だけどあなただけが 僕のありのままを抱きしめてくれた
僕とあなたの待ち合わせ場所は
この世界じゃなくてもいい この星じゃなくていい
僕とあなたがつながったわけは
今すぐ解けなくてもいい 永遠に解けなくていい

生きるということ/嵯峨信之

2009-02-09 13:14:07 | 嵯峨信之
すべてが一回かぎりのものだ
遠くの野づら 空を掠める一羽の鳥 横切つた水路

さらにもう一度と思っても
再び同じことはくりかえさない

日は照っている
山なみも青くゆるやかにつづいている
小道を
バッタが跳ねた
木から葉が一枚舞い落ちる

ぼくは素直に生きようと思う
空気の教え 水の諭し 光の導きによって
木の葉 草の葉のそよぎとともに生きよう

ああ 人間は自己の影を越えて先きへ進むことはできない
日々 欣びは遠く 憂いは近い

でも
ぼくはたしかにいま生命の近くにいる

I was born /吉野 弘

2009-01-26 18:07:20 | 吉野弘
 確か 英語を習い始めて間もない頃だ。

 或る夏の宵。父と一緒に寺の境内を歩いてゆくと 青い夕靄の奥から浮き出るように 白い女がこちらへやってくる。物憂げに ゆっくりと。

 女は身重らしかった。父に気兼ねをしながらも僕は女の腹から眼を離さなかった。頭を下にした胎児の 柔軟なうごめきを 腹のあたりに連想し それがやがて 世に生まれ出ることの不思議に打たれていた。

 女はゆき過ぎた。

 少年の思いは飛躍しやすい。その時 僕は〈生まれる〉ということが まさしく〈受身〉である訳を ふと諒解した。
僕は興奮して父に話しかけた。
――やっぱり I was born なんだね――
父は怪訝そうに僕の顔をのぞきこんだ。僕は繰り返した。
――I was born さ。受身形だよ。正しく言うと人間は生まれさせられるんだ。自分の意志ではないんだね――
 その時 どんな驚きで 父は息子の言葉を聞いたか。 僕の表情が単に無邪気として父の眼にうつり得たか。それを察するには 僕はまだ余りに幼なかった。僕にとってこの事は文法上の単純な発見に過ぎなかったのだから。

 父は無言で暫く歩いた後 思いがけない話をした。
――蜉蝣(かげろう)という虫はね。生まれてから二、三日で死ぬんだそうだが それなら一体 何の為に世の中へ出てくるのかと そんな事がひどく気になった頃があってね――
 僕は父を見た。父は続けた。
――友人にその話をしたら 或日 これが蜉蝣の雌だといって拡大鏡で見せてくれた。説明によると 口は全く退化して食物を摂るに適しない。胃の腑を開いても 入っているのは空気ばかり。見ると その通りなんだ。ところが 卵だけは腹の中にぎっしり充満していて ほっそりした胸の方にまで及んでいる。それはまるで 目まぐるしく繰り返される生き死にの悲しみが 咽喉もとまで こみあげているように見えるのだ。淋しい 光りの粒々だったね。私が友人の方を振り向いて〈卵〉というと 彼も肯いて答えた。〈せつなげだね〉。そんなことがあってから間もなくのことだったんだよ。お母さんがお前を生み落としてすぐに死なれたのは――。

 父の話のそれからあとは もう覚えていない。ただひとつ痛みのように切なく 僕の脳裡に灼きついたものがあった。
――ほっそりした母の 胸の方まで 息苦しくふさいでいた白い僕の肉体――。

西院駅/浜田裕介

2009-01-20 14:24:44 | 浜田裕介
地下から吹き上げる風が少し冷たい10月
信号待ちの人込みの中 僕は上着を羽織る
そう言えば君はあの頃君はボサノバなんかに目覚めて
ジョビンや小野リサのことばかり 僕に質問したね
91番のバスを待つ僕は どんな風だろうか?
急ぎ足の街の背中ばかり 追いかけてる気がする
僕にとっての1秒 君にとっての永遠
何を奪い 何をあげられたの
もう誰にもわからないけど
ドーナツ屋に寄り道して
気まぐれにいくつか選び
電車の中で読んでた 新聞をくずかごに捨てる
91番のバスはまだ来ない 渋滞は続いてる
あの日君は何を言おうとしたの?
さよならの前に
君にとっての真実 僕にとっての言い訳
何を見つけ 何を失ったの?
もうどうでもいいけど

91番のバスはもう待たずに 歩いて帰ろう
あの時君が暮らした部屋の窓も
目をそむけないで
僕にとっての日常 君にとっての溜め息
何を壊し 何を縛り合ったの?
もうどうでもいいけど



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