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クリエイティブが大好きなのに、なぜか商社マンになってしまった私のマニアバース!

手塚治虫の代表作『0マン』を読んでみた!

2020-06-30 21:09:00 | 漫画/アニメ
手塚治虫が自身でも代表作と語っている『0マン』という作品がある。1959年から1960年にかけて、『少年サンデー』に連載され、当時人気のあったSF漫画である。僕の生まれる前の作品だが、手塚作品としてはちょうど中期に差し鰍ゥった頃、年表で言うと先日紹介した『エンゼルの丘』や、有名な『魔人ガロン』や『鉄腕アトム』の連載とも同時期に描かれた作品で、まさに脂の乗った時期であった。



僕はこの作品の存在は知っていたのだが、実は今までちゃんと読んだことが無かったのだ。手塚治虫ファンとしてそれは失格だと思い、かなり遅まきながら今回『0マン』の漫画を2種類買い漁り、ようやく読み始めた。

まず手に入れたのが、なんと1965年(昭和40年)に鈴木出版から出版された『手塚治虫全集』のもの。当時の初版にて、今これを手に入れることはかなり難しい代物だが、ラッキーなことにかなり状態の良いものをちょうど見つけることが出来て、しかもかなり安価にゲットすることに成功。余談だが、この鈴木出版の『手塚治虫全集』は全10冊なのだが、何故か『鉄腕アトム』が1冊だけで、10冊のうち7冊が『0マン』という構成なのだ。この7冊を今回ゲットしたわけだ。表紙の絵柄やデザインもかなり秀逸で、見ているだけでとても楽しい。



もう一つ購入したのが、サンコミックスの4冊バージョン。こちらの方が読むには良いサイズなので、こちらを今読んでいるところだ。鈴木出版バージョンは少しサイズも大きく、希少価値もよりい高いので、主に観賞用である。



『0マン』は、シッモフある人類・0マン族と、人間との対決を描いた作品。インドの奥地で日本人に拾われた赤ん坊は、リッキーと名付けられ、東京で育てられる。リッキーは生まれながらに大きなシッモェあり、力も知能も人間を越えた、リスに近いルックスの0マンという生物だった。実の両親にあったリッキーは、0マン族がヒマラヤの地下に国を作って暮らしており、2万時間後に人間は滅び、0マンの天下になると聞かされる。リッキーが訪れた0マンの国は、大僧官という人間嫌いの独裁者に支払いされ、東京は、手下のエンマ大王によって人間支配の前線基地となっていた。しかし、人間に育てられたリッキーは、0マンでありながら人間の為に力を尽くそうと活躍するようになる、という物語だ。





このリッキーという主人公キャラがとても可愛く描かれており、如何にも手塚治虫らしい可愛いタッチの絵柄である。中期の後半から、漫画界にも劇画の波が押し寄せ、大御所の手塚治虫も時代に合わせて絵柄などを少しずつ変えていきながら、悩む時期も過ごすのだが、この『0マン』が描かれた頃は、まだオリジナルの丸っこくて可愛いタッチが楽しめる。



またSF冒険ものではあるが、0マンと人間の対決により、人種問題やリッキーの自己アイデンティティーなどにも焦点を当てたテーマも見事である。アイデンティティーに悩む主人公という設定は、手塚治虫作品にも頻繁に登場するに、その代表例が、ロボットと人間の間で苦悩する鉄腕アトムである。そして、この『0マン』にも、そのテーマが脈々と受け継がれている。今振り返ると、何とも先取りしたテーマ設定であるし、手塚治虫作品の奥深さを痛感してしまう。



今読んでもかなり楽しめる内容だし、可愛いタッチながらも骨太な物語は、さすが手塚治虫の代表作と言えるような作品だと感じた。もし興味のある方は、ぜひ一度読んでみられることをおススメしたい。



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