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傑作映画『フェイス/オフ』の哀愁

僕は、自分の好きな映画は
ほぼ全てDVDを買って持っているのだが、
僕の好きな映画ベスト10に入る映画で
『フェイス/オフ』だけDVDを持って
いないことに気が付き、先日ついに購入した。



DVDを改めて観賞したが、やっぱり素晴らしい作品!
この映画は1997年に公開されたアクション映画で、
あの白いハトと2丁拳銃がトレードマークの
ジョン・ウー監督の出世作。
でも、この映画ただのアクション映画では無い。
確かに純粋にアクション映画としても超一流なのだが、
その裏には僕の大好きなテーマでもある
“アイデンティティーの入れ替わり”が見事に
結実した傑作なのである。



実際にはありえないストーリーだが、
とてもうまい絶妙な設定になっている。
FBI捜査官のショーン・アーチャーは、
テロリストのキャスター・トロイの
行方を6年前に息子を殺されて以来
執念深く追っていたが、やがて
彼が弟とともに空港から逃亡を図るとの
情報を掴み、罠を張って激戦の末逮捕する。



ついに宿敵を逮捕したアーチャーだが、
キャスターがロサンゼルスに細菌爆弾を
仕鰍ッていたことが判明。キャスターは植物状態、
彼の弟ャ宴bクスは兄しか信用せず、
爆弾の在り処を聞き出すことができない。
苦慮した末アーチャーはキャスターの顔を自分に
移植してキャスターになりすまし、
ャ宴bクスが収監されている刑務所に入獄する。
しかしそこにキャスターがアーチャー
の顔を付けて現れた。



キャスターは麻酔切れとともに蘇生し、
医者にアーチャーの顔を自分へ移植させたうえ、
すべての関係者を抹殺してしまったのだ。
彼は自分で仕鰍ッた爆弾を(アーチャーとして)
自ら解除し英雄となっていた。刑務所を出ることもできず、
自分の顔や地位、家族までも奪われたアーチャーは、
キャスターを再び仕留めようと孤立無援を
覚悟で脱獄を企てる。



アーチャーに扮するのはジョン・トラボルタ。
そしてトロイに扮するのはニコラス・ケイジ。
2大スターを迎えて豪華な作品となったが、
この映画が秀逸なのは、お互いに顔が入れ替わる
ことから起こる哀愁の物語にある。
実際にはあり得ない設定なのだが、
アーチャーとトロイがお互いに顔を入れ替えることで、
善と悪が交錯するという何とも絶妙な展開になって行き、
特にアーチャーは自分の息子を殺した最も憎むべき
トロイの顔に自らなってしまい、絶望の底に
突き落とされるが、その苦悩する姿を
ニコラス・ケイジが何とも見事に演じている。



お互いに顔と性格が映画の途中で入れ替わる
という設定は何とも演じるのが難しいと思うが、
二人とも素晴らしい演技を見せる。
少し設定は違うが、刑事とマフィアが入れ替わって
潜入捜査をする『インファナル・アフェア』、
そしてその日本版リメイクドラマとして
素晴らしい出来映えだった『ダブルフェイス』
とも共通するものがある。



そしてジョン・ウーらしいアクションも満載で、
映画の冒頭からグイグイと引き込まれて行く。
特に2丁拳銃をぶっ放す多くのシーンは圧巻。
そしてクライマックスのボートチェースも迫力満点である。

アーチャーの妻役にはジョアン・アレン。
見た目に実年齢よりも老けた印象があるが、
この映画では落ち着いたキャラクターで映画に
見事なリアリティーを引き出すのに一役買っている。



またアーチャーの高校生の娘役にはドミニク・スウェイン。
とても美しい、如何にもアメリカ人らしいキュートな女優で
『ロリータ』のリメイクで話題を呼んだが、
この『フェイス/オフ』以降は残念ながら
パッとした主演作が無いのは残念である。



この映画のDVDを久しぶりに見て、
やはり改めてこの映画の素晴らしさを噛み締めてしまった。
如何にもジョン・ウーらしいアクション
満載のエンターテインメントに仕上がっているが、
一方で入れ替わるアイデンティティーに苦悩する、
その何とも切ない人間ドラマに思わず
感情移入して感動してしまう傑作である。
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