国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第一回衆議院 運輸及び交通委員会 第2号から転載 6話目

2012-12-27 07:25:51 | 国鉄関連_国会審議
おはようございます、本日は戦時中に統合した貨物自動車輸送について論じられています。
特に問題としているのは、白タクならぬ、白トラ【自家用車による有償運送】についても今後は取り締まる方向で進めるなどの記述が見られます。

こうして、当時の国会審議議事録を読んでいますと、当時の状況がぼんやりとではありますが、見えてくるものです。
今も問題になる白ナンバーによる営業行為ですが、当時も横行していたようで、厳しく取り締まると答弁されていますが、実際に中々こうした行為が減らないのが実情なのかなと思いますが、これは鉄道の話題とは直接関係ないので省略させていただくこととし、戦時中の地方の交通網については、この議事録から判断する限りでは、地方鉄道とバス事業を統合した例も等が書かれています。
統合自体は、燃料、タイヤが十分に手に入らない時代だったから、やむを得なかったと思われれます。
統合のメリットとして、予備品等の減少が図れたとされていますが、従業員の給与を含めた待遇が、統合したバス会社と鉄道会社で差があるようで、その辺をどうするのか、と言った質問がなされています。
これについては、運賃改訂を含めて、新しい給与基準に合わせたバス運賃も設定していくと答弁されています。

特定の場所におきましては地方鐵道を根幹といたしましてバス事業を統合したところもたくさんございます。從いまして、地方鐵道でバスを現在兼營し、また地方鐵道の資本の系統によりますバス會社も多くございます。地方鐵道とバスにつきましても、現在輸送の面におきまして、地方鐵道もバスも兩方とも資材その他の制約を受けまして、非常に困難な状態に相なつております。これを統合いたしまして、重點的に輸送の効果をあげていくということは、今後におきましても、目下のところ必要だと存じますので、兩方を關連させ、こういふ形態でやつていくことをただちにかえる考えはただいまのところ私どもといたしましてはございません。しかしながらお指摘のありました從事員の給與待遇の問題でございますが、これにつきましては今度の新しい價格體系に伴いまして、地方鐵道や軌道の運賃が改正いたされました。この際とりました給與の水準は、先般中央勞働委員會で示されました調停案に基く基準でございますが、やはり新價格體系の實施に伴いまして、バス事業につきましても運賃の改正を、遲れてはおりまするけれども、近く實施しなければならないものと考えております。その際にはやはり同じ水準による給與を基礎といたしまして、新しいバスの運賃を制定してまいるようにいたしたいと考えております。

さらに、最後の質問として、現在の電化状況を質問しているのですが、上越線の完成後は、高崎線や東海道線も計画としてはありますが、着手できていないと書かれています。

ちなみに、第1回運輸委員会が開催された時点で、上越線の高崎駅~水上駅間は4月1日には電化が完成、米沢~福島間は昭和24年4月29日に完成しています。
この委員会では、高崎・東海道線の電化を米沢電化以降に実施したいとしていますが、昭和24年のシャウプ勧告等により、新規の電化工事などは中止され、昭和22年度着手予定と書かれている高崎線の熊谷~上野間、については昭和27年に高崎から大宮まで開業、米原~大阪間の電化、(実際には米原~京都間)にあっては最後まで残り、昭和31年10月まで待つことになります。

米澤福島間、これは來年中に何とか完成いたしたいと思うておりまして、目下工事は繼續いたしておりますが、資材その他の點で審議の過程にあるというような状態であります。それから本年度着手豫定のものといたしましては、米原大阪間の電化、高崎線の熊谷上野間、この二線がございまするが、これは目下關係方面で資材の審議を受けておりまして、著手をいたしておりません。



以下は、blogの本文になります。****************
○郷野政府委員 戰時中統合いたしました貨物自動車運送事業のその後におきまする處置の問題、新規免許の問題などに關連いたしまして、ただいま私どもがどういうふうに考えているかということを申し上げてみたいと存じます。
 戰爭中、貨物自動車の運送事業につきましても統合を急速に進めまして、資材の不足、特に車輛、燃料、タイヤなどの不足に對應いたしまして、重點的な必要な貨物輸送を確保して、また經營の合理化をできるだけはかつて、企業としての存立の基礎もこれを維持してまいるという考え方からやつてまいつたのでございまするが、終戰後の今日におきましても、自動車の車輛、燃料、タイヤなどの資材の一面におきまする困難な點はあまり變りがないのでございます。最近特に燃料、タイヤの關係におきまして、輸送がその面から逼迫を告げているような状態に立ち至つております。この點につきまして強力な對策を講じてまいらなければならないと存じまして、關係の向きと打合わせてやつております。なおこの逼迫した情勢は當分の間續くものと考えております。從いまして統合いたしましたこの貨物自動車の經營の形態は、原則といたしまして當分の間維持してまいりたいと考えております。新規の營業に對しましても、今後一定の基準を設けまして、必要に應じてなお關係の業者の意向も聽きまして、具體的に實情に合つたような措置の講じていけるような途も開きたいと考えまするが、當分の間はそういうことで進みたいと考えております。
 なお自家用車の營業類似行為の取締りにつきましてはお話がございました。自家用車はもともと特定の事業のために必要な物資を輸送する目的でございまして、これが營業類似行為を行いますることははなはだ本來の趣旨にも反しまするし、業界の秩序を亂すことにもなりまするので、この點につきましては從來ともその取締りに努力をしてまいつたのでございまするが、今後におきましても、一層この面につきまして取締りを巖重にいたしまして、營業類似行為、これは代價を得て輸送するということに限らず、將來は立法の根據も求めまして、車輛を代價を得て貸し渡すというようなことまで取締つてまいりたいと考えます。それと同時に自家用車といたしまして重要な生産その他配給の仕事をやつておりまする面におきましては、本來の目的に十分副つた働きのできるような仕組の建て方は同時に考えてまいりたいと存じておる次第でございます。また一般の貨物運送事業者につきましても、必要な面につきましてはトラツクの場合には専属配車もするというくらいな考え方で、十分に輸送を確保していくことも同時に今後勵行させてまいりたいと考えております。
 なお最後にお話のございました私鐵とバスの關係でございますが、これも戰爭中バス事業を統合いたしまする際に、特定の場所におきましては地方鐵道を根幹といたしましてバス事業を統合したところもたくさんございます。從いまして、地方鐵道でバスを現在兼營し、また地方鐵道の資本の系統によりますバス會社も多くございます。地方鐵道とバスにつきましても、現在輸送の面におきまして、地方鐵道もバスも兩方とも資材その他の制約を受けまして、非常に困難な状態に相なつております。これを統合いたしまして、重點的に輸送の効果をあげていくということは、今後におきましても、目下のところ必要だと存じますので、兩方を關連させ、こういふ形態でやつていくことをただちにかえる考えはただいまのところ私どもといたしましてはございません。しかしながらお指摘のありました從事員の給與待遇の問題でございますが、これにつきましては今度の新しい價格體系に伴いまして、地方鐵道や軌道の運賃が改正いたされました。この際とりました給與の水準は、先般中央勞働委員會で示されました調停案に基く基準でございますが、やはり新價格體系の實施に伴いまして、バス事業につきましても運賃の改正を、遲れてはおりまするけれども、近く實施しなければならないものと考えております。その際にはやはり同じ水準による給與を基礎といたしまして、新しいバスの運賃を制定してまいるようにいたしたいと考えております。
從いまして、この兩者の間の待遇の均衡と申しまするか、そういう點は、今日の考え方におきましては差異はなくなるわけでございますが、しかしながら事業の經營の収支の状態その他の實際の仕事の差異によりまして一部の差異は殘るものと考えております。
 なおただいま大臣からお話がございましたが、道路運送全般の問題につきまして、從來の自動車交通事業法は、すでに制定させられましてから十數年經ちますし、最近の新しい民主國家建設の上から見まして改正を要する點もあると考えられるのでございます。第一に、從來の法律におきましては免許の基準などについても、積極的にはつきり規定いたしたものがございません。また運送契約の約款などについてもはつきりしたものがございませんので、荷主側においても、業者にどこまで責任をとつてもらうかということについての限界がはつきりいたしませんし、また業者にとりましても、責任の限度が不明確で、お互いに工合が惡いという點もございます。また小運搬の仕事につきましてただいまのところ府縣令しかないのでございまするが、これも新憲法の實施に伴いまして近く効力を失うというようなこともございまするので、これらの點を總合いたしまして、なお先ほど申し上げました自家用車の取締りなどの考え方もここに織込みまして、新しい法律の規定ができるのではないかというふうに私ども考えているような次第でございます。
○矢野(政)委員 御説明でよく了解いたしました。電化の本年度の實施中または計畫中のものを伺つておきたいと思います。
 なお省營バス及び省營トラツクの今年度中に計畫になつております點を伺いたいと思います。
○伊能政府委員 電化につきましては、昨年度から繼續中のものといたしまして、上越線の長岡石打間、これは秋には完成の豫定でございます。それから繼續中のものといたしまして、御承知のごとく、米澤福島間、これは來年中に何とか完成いたしたいと思うておりまして、目下工事は繼續いたしておりますが、資材その他の點で審議の過程にあるというような状態であります。それから本年度着手豫定のものといたしましては、米原大阪間の電化、高崎線の熊谷上野間、この二線がございまするが、これは目下關係方面で資材の審議を受けておりまして、著手をいたしておりません。この四線のうち二線は昨年度からの繼續工事で著手中でありまして、新たなる二線がまだ未著手の状態でございます。

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