国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第一回衆議院 運輸及び交通委員会 第2号から転載 5話目

2012-12-26 21:03:24 | 国鉄関連_国会審議
今回も 昭和22年7月7日の衆成重議院、国会審議の内容からアップさせていただきます。
まず、最初に引続き、成重議員が運賃値上げに関して、値上げ分による増収は、どのように処理するか質問しています。
これを受けて、苫米地運輸大臣は、下記のように答弁しています。

運賃値上げによる収入を、鐵道の固定資産に属する部面に使途するかどうかということについての大臣のお答えがちよつと不明確であつたと思うので、運賃の値上げによる収入を鐵道の固定資産に属する部面に使途することが妥當であるかどうかお答えを願いたいと思います。
その質問に対して、現時点では、値上げによる増収分は、インフレによる物価上昇で相殺されるので固定資本な度に使えないと答弁しています。
それを受けて、今は無理であっても今後はどうなのかと質問されて、将来的には行いたい旨を回答しています。

○成重委員 あるなしにかかわらず、精神を伺つておるわけです。今はないかも知れませんが、將來できるかも知れない。
という質問を受けて、下記の通り答弁しています。

○苫米地國務大臣 それは金としてはやつてよいと思います。ただ収支計算としましては、これはおのずから經理が違うわけであります。金の融通はやつてよかろうと思います。しかしこのことは損に立てるのではなく、經理上固定資産に振りかえる、經理の面では支出に立てるものではな苫米地國務いと思います。

その後質問に立った 矢野 政男議員が質問しています。
主要幹線の電化についてでした。

矢野(政)委員 簡單にお伺いいたします。第一に鐵道の電化の問題であります。聞くところによりますと、各地方において現在非常に輻輳混亂しております乗客の緩和、また現在議會におきまして重大問題になつておりまするところの石炭の節約、その面から考えまして、今日鐵道の電化の問題は非常に急を要する問題ではないかと考えるのであります。これに對して運輸當局はいかような御方針のもとにお進みになつておられるか。なお現在今年度中に施設されまする豫定線、また現在事業計畫中の線、また今年になりまして實現いたしました線等につきましてもお伺いいたします。

これについて、現在は工事が中断しているが、第3期・4期の発電所建設を行い、電化が推進されることで、最終的に動力費の削減に役立つため、何としても実現したいと言う答弁を行っております。

御質問のうち一番最初の鐵道電化の問題でありますが、これは先ほど申し上げました經營合理化の面からも強く考えておるわけでありまして、逐次石炭による輸送を電化していくという方向に努力したいと思つております。さてその電源の問題でありますが、直營の信濃川發電の工事も一期、二期はすでにできまして、第三期、第四期と繼續してかかるはずでありますが、今資材、資金その他の關係で實は停頓いたしておるわけであります。しかしながらこれは積極的な經營合理化の一翼でございまして、第三期、第四期のこの發電が十萬キロできる豫定でありますが、この完成の曉におきましては、石炭の量ばかりから申しましても百萬トンくらいにあたるようなふうに伺つておりますから、相當の石炭節約になると思います。また運送の操作の方面から申しましても、かなり經費が節約できると思うのでありまして、ぜひ電源の開發と、それから電化の問題につきましては、積極的に努力してまいりたいと存じておる次第であります。



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以下は、blog本文になります。


苫米地國務大臣(画像 Wikipedia)

○成重委員 大體了承いたしましたが、第二の點の運賃値上げによる収入を、鐵道の固定資産に属する部面に使途するかどうかということについての大臣のお答えがちよつと不明確であつたと思うので、運賃の値上げによる収入を鐵道の固定資産に属する部面に使途することが妥當であるかどうかお答えを願いたいと思います。
○苫米地國務大臣 今のお話は収入が相當過分にあればそういうことやつてよいと思いますが、さつき申し上げるように現在の値上げによつて生ずる収入は、おそらく物價の高騰、その額と大差がないのだろうと思います。從つて固定資本でやるというほどの餘裕がないのではないかと思うのでありますが…。
○成重委員 あるなしにかかわらず、精神を伺つておるわけです。今はないかも知れませんが、將來できるかも知れない。
○苫米地國務大臣 それは金としてはやつてよいと思います。ただ収支計算としましては、これはおのずから經理が違うわけであります。金の融通はやつてよかろうと思います。しかしこのことは損に立てるのではなく、經理上固定資産に振りかえる、經理の面では支出に立てるものではないと思います。
○高瀬委員長代理 通告順によつて發言を許可いたします。矢野政男君。
○矢野(政)委員 簡單にお伺いいたします。第一に鐵道の電化の問題であります。聞くところによりますと、各地方において現在非常に輻輳混亂しております乗客の緩和、また現在議會におきまして重大問題になつておりまするところの石炭の節約、その面から考えまして、今日鐵道の電化の問題は非常に急を要する問題ではないかと考えるのであります。これに對して運輸當局はいかような御方針のもとにお進みになつておられるか。なお現在今年度中に施設されまする豫定線、また現在事業計畫中の線、また今年になりまして實現いたしました線等につきましてもお伺いいたします。
 次に省營自動車の問題でありますが、これは先ほど佐々木委員からお尋ねがありまして、多少重複する點は御了承願いましてお伺いいたすような次第であります。
 過去を考えてみますと、昭和の初年におきまして、地方廳において主としてバスの一路線一營業主義という方針を立てまして、どうしても大衆交通機關である自動車につきましては、一つの路線をいくつもの業者がやつておつたのでは振興も發展もできないという見地からいきまして、一路線を一營業者に買収統合させるという方針をとりまして、昭和七、八年ごろから十年頃にかけまして、全國的にこれは行われたのでありますが、それと前後いたしまして、昭和十一年ごろからと思いますが、たまたま實現いたしましたのが省營自動車の問題であります。せつかく一路線一營業でなければ進歩發展ができない、また運賃も安くし、車輛もりつぱなものを使わなければなけないというような行き方のために統合買収いたしまして、まずこれによつて賃金も安く、そうして車輛も綺麗なものをもつて利用者の利用希望に副うような營業ができるというときにあたりまして、省營自動車が現われてまいりました。當時の省營自動車の方針を伺いますと、民間業者のできないところを開拓してやるのだというような方針でありました。私ども國の經營といたしましては、まことに當然な行き方であると考えておつたのでありますが、その當時私ども一部に關係しておりましたので、非常にこの省營自動車の實現ということに對しまして期待をもつてまいつたのでありますけれども、その方針に反しまして業者が地方廳の要求に應じまして買収等もいたしまして、せつかく一路線について、しかもりつぱな營業ぶりを續けておるというその路線に對しまして、計畫をされたという當初の状態であります。しかしこれは何かの事情により、一、二の關係によつてやるのであろうというようなことで見ておつたのでありますが、その後全國的にまたがりまして、いずれも民間業者の開拓した、しかも乗客の多いところの中心の線にこれをやるというような状態で續いてまいりまして、全國の業者は非常にこれに對しまして反對の氣勢をあげまして、陳情もし、お願いもいたしたのでありますが、その後次々と實施されてまいつたのであります。戰爭中になりましてから一時中止になつておつたのでありますが、終戰後さらにまた全國的に路線の計畫がありまして、その實施にあたるという状態になつたのであります。この點につきまして先ほど田中政務次官から佐々木委員の質問に對しまして、民營と省營において摩擦を起すようなことはさせないようにやるというような御答辯でありましたが、たまたま聞くところによりますと、最近殊に進駐軍の拂下げ車輛をもちまして、これはトラツクの部分にはいりますが、各地區々に省營の計畫ができております。御承知のように戰爭中は業者は國の方針の通りにやつてまいりました。しかるに終戰となりましてから、今度は仕事をやるのだということで、しかも進駐軍の拂下げ車輛をもつてそこここに運營されるということは、業者を非常に壓迫をし、業者は非常に現在不安な状態にあるわけであります。この點につきましては、もちろん省でやる必要があるとしますれば、まずもつて業者の了解も得、そうして納得のいくような方法をとつてやるべきだと考えられるのでありますが、これにつきまして當局の御意見を伺ひたいと思います。
 次に貨物自動車の統合の問題であります。これも戰爭中になりましてから、輸送力増強のために全國地區々々の必要に應じまして統合されたのでありますが、終戰になりまして、その後すべてが民主主義という旗印の下に、各事業面に對しまして、まず戰爭中に統合されたものは解散すべきだ、もとに戻すべきだという聲が全國的に起つておりますので、この點につきまして當局は今後どういうような御方針でお進めになるか、この點を一つ伺いたい。
 次に自家用貨物自動車の問題でありますが、最近各府縣とも非常に自家用自動車の出願が續出してまいりました。またこれに對しまして運輸省の地方事務所ができましてから、非常に新たな業者の許可が出てまいります。この自家用自動車が非常に出願者が多いというのはどこをねらつておるかということを見ますると、結局自家用半分、營業半分という行き方で、自家用にして使いますのは第二にいたしまして、まず第一の目的は營業用に使う。現在非常に賃金が高い。あるいはなかなか車がまわらぬというような點もございましようけれども、その主たる目的は營業をやるための自家用であるというような、状態であります。この點につきましてはあらかじめ運輸當局も地方の實情をよくお聽きになつておると存じますが、今後これに對しましてどういうふうな御處置をおとりになられるか。この點をお伺いいたしておきたいと思います。
 次に私鐵とバスの問題であります。これも戰爭中におきまして統合いたされたのでありますが、御承知のように私鐵とバスとはおのずから經營の趣が違つております。從つて現在の状態を見ますると業續におきましても非常な違つた面がございます。殊に從業員の待遇などの状態を見ますると、バスの方が非常に成績がいい。私鐵の方が惡い。あるいは私鐵の方が非常に成績がよく、バスが惡いというような關係もございまして、この從業員の待遇の問題などにつきましてもそこに非常な問題があるわけであります。結局鐵道が成績がいいのだから鐵道の從業員に對しては待遇をよくしろという面もあり、また一方におきましては、自動車の方で非常に業續がよろしいのだから、自動車の方の從業員は待遇をよくしろというような困難な問題があるのでありますが、こういう戰爭中におきまして統合いたしました私鐵、バス、こういうものに對しましていかようなる御方針をもつておられるか。この點につきましてお伺いしたいと思います。
○苫米地國務大臣 ただいまの御質問のうち一番最初の鐵道電化の問題でありますが、これは先ほど申し上げました經營合理化の面からも強く考えておるわけでありまして、逐次石炭による輸送を電化していくという方向に努力したいと思つております。さてその電源の問題でありますが、直營の信濃川發電の工事も一期、二期はすでにできまして、第三期、第四期と繼續してかかるはずでありますが、今資材、資金その他の關係で實は停頓いたしておるわけであります。しかしながらこれは積極的な經營合理化の一翼でございまして、第三期、第四期のこの發電が十萬キロできる豫定でありますが、この完成の曉におきましては、石炭の量ばかりから申しましても百萬トンくらいにあたるようなふうに伺つておりますから、相當の石炭節約になると思います。また運送の操作の方面から申しましても、かなり經費が節約できると思うのでありまして、ぜひ電源の開發と、それから電化の問題につきましては、積極的に努力してまいりたいと存じておる次第であります。
 その次の省營自動車と營業自動車との關係でございますが、これは地域的にいろいろな關係がございます。民營自動車のせつかくやつておりますのを壓迫するような態度は、國としてはとられないのでありまして、でき得べくば營業自動車の改善等をはかりまして、國民に御迷惑のかからないようにやつていきたいと思うのでありますが、そうでない鐵道の延長の意味であるとか、あるいは未開地の開發であるとか、あるいは民營ではできないという方面に對しましては、でき得る限り、車の用意ができまする範圍におきまして、考えていきたいと思うのであります。それから貨物自動車に關する點でございます。これはひとつ政府委員から説明させたいと思います。近く道路運送法という法律を皆様の前に提案したいと存ずるのでありますが、そのうちにかなりこの自家用自動車とか、あるいは貨物自動車とかいうものに對する内容が盛られてございます。一應その點に對しましても概念を政府委員から説明いたします。

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