国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第12話

2024-05-22 20:04:19 | 国鉄関連_国会審議
本日も、国会議事録の中から新潟闘争後の不当労働行為について質問をしている小林委員の質問をアップさせていただきます。
小林委員は、国労の擁護という視点から質問を続けているのですが、些か口が滑ったと言いますか、管理局長が国労の新潟地本を潰す事が目的だと言った口調で喋ったとして、厳しく批判をしているわけですが、戦後10年以上が経たんとし、労働組合に関連する労働三法が制定されている中で、管理職が職員に対する態度が旧態然としているとして、厳しく批判しています。
これに対して、十河総裁も我孫子常務理事も、そのような事実は無いとして否定しているわけですが、当時の組合と当局の緊張関係と言うのは、生産性運動以後とはまた違った緊張関係があるように見受けられますし、実際には国労内での分裂(民同左派と新生民同派(いわゆる右派)、更には革同系等々)があり必ずしも国労内も一枚岩では無く、そうした意味では当局側もかなり強い態度である程度力関係を持っていたことは自明の理だと考えますので、多少なりとも小林委員の質問のような事実もあったかもしれませんし、それは許容される範囲の労務管理と考えていたかもしれませんし、実際に認められる範囲であったと考える方が素直な気がします。
以下のように、総裁達の発言は詭弁であるとして批判している訳ですが、

○小林(進)委員 吾孫子常務理事の答弁はやや詭弁に近いと私は思っている。私どもはそういう上手な答弁を聞いているのじゃない。私どもがこの国会の席上であなたに質問するからには、正当な常識ある者あるいは学識ある者、それぞれの人々に、こういう事実があるがどうかと、みな聞いておる。実に驚くべきことでないか、こういう憲法がしかれ、こういう労働基準法が行われてまさに十数年、ようやくわが国の労働組合も軌道に乗りつつあるという今日、そういう前近代的な驚くべき局長や管理者や、その指令のもとに動くような現場長がおるのか、大へんなことだとみんな驚いております。驚かないのは総裁とあんただけだ。そんなことじゃいけませんよ。いま少し驚きなさい。そしていま少し良心的に、胸に手を当てて、困ったことだという考えを持たなければ話にならない。
 まあ次に、こんな例を具体的に述べておれば際限がありませんから、私もそろそろ結論の方向へ歩みを進めていきたいと思うのでございますが、私がそういうようなことを九月二十六日、この委員会において質問をいたしましたことについて、河村局長は、先ほどの最初に戻りまして、そういう分区長やあるいは現場の助役、駅長等に何の指令をし何の訓示をしようとも、それは当局の内部の関係じゃありませんか、当局内の、非組合員のみの打合会の話ではないか、だからそんなことを何も不当労働行為と言われる必要がない、こういうようなことの新聞談話を発表いたしております。新潟国鉄労働組合をつぶすのが目的であるというようなことを公然と自分の部下の前でしゃべっても、それは非組合員であり当局内の話であるから、それは何をしゃべろうとも何も非難されることはない、こういうことを言明いたしておりますが、一体この河村監理局長の言い分は間違っていないかどうか、一つ総裁にお伺いいたします。

そして、総裁(十河氏)や我孫子常務理事に対して、かなりきつい言葉で批判しているわけですが、我孫子常務理事が回答しているように、国労地本を当局側が石を持って潰すと言うことは出来ないわけですし、実際にそのような動きはその後の流れを見る限りどこにも出ていないわけですから、これは一寸小林議員の方が勝手に暴走している・・・・そんな風に感じてしまいます。


○吾孫子説明員 ただいま新聞記者に談話として何か局長が発表したというようなお言葉でございましたが、この点新潟の局の方の事情も調べたわけでございますが、別に談話として何か発表したというようなことはございません。ただ何か新聞記者が単独で尋ねてきた人に、先生の御質問等に関連して話をしたということはあったようでございますが、局長についてよく取り調べましたところ、先生の御質問その他に対して、何かこれを御批判申し上げるというような気持はさらさらなかったけれども、言葉足らずでああいうような記事になって新聞に出たということに対しては、恐縮の意を表しておる次第であるというふうに申しておりました。
 それからなお組合をつぶす、つぶさないというお話でございますが、これにつきましては、つぶしたいというようなことは申しておりませんです。ただ先年の夏以来のような違法な行為が繰り返されるような組合のあり方は好ましくないという気持は、監理局長として当然そのことは強く考えておるわけでございまして、そういう気持がどういう言葉になりましたか存じませんが、しかし組合をつぶすのだとか、つぶしたいとか言ったような事実は全くないということだけは明らかでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○小林(進)委員 私が最初にお伺いいたしましたことは、その分区長を呼んで、国鉄地本をつぶすと言っても言わなくてもよろしいが、ともかく呼んで訓示をしたことが、当局部内の非組合員のみの打ち合せであるから、それを不当労働行為云々せられることはとんでもない見当違いだということを発言しているのです。このことを聞いておるのです。そういう非組合員が都内において、組合をつぶすとか断圧するとか、何を言っても不当労働行為にならないのか、あなたの見解を聞いておるのです。
○吾孫子説明員 今回の分区長を集めての会議に際しての局長の言動につきましては、不当労働行為にわたるような事実はないと思っております。

続く
応援よろしくお願いします。

************************以下は、国会審議議事録です*************************
○小林(進)委員 吾孫子常務理事の答弁はやや詭弁に近いと私は思っている。私どもはそういう上手な答弁を聞いているのじゃない。私どもがこの国会の席上であなたに質問するからには、正当な常識ある者あるいは学識ある者、それぞれの人々に、こういう事実があるがどうかと、みな聞いておる。実に驚くべきことでないか、こういう憲法がしかれ、こういう労働基準法が行われてまさに十数年、ようやくわが国の労働組合も軌道に乗りつつあるという今日、そういう前近代的な驚くべき局長や管理者や、その指令のもとに動くような現場長がおるのか、大へんなことだとみんな驚いております。驚かないのは総裁とあんただけだ。そんなことじゃいけませんよ。いま少し驚きなさい。そしていま少し良心的に、胸に手を当てて、困ったことだという考えを持たなければ話にならない。
 まあ次に、こんな例を具体的に述べておれば際限がありませんから、私もそろそろ結論の方向へ歩みを進めていきたいと思うのでございますが、私がそういうようなことを九月二十六日、この委員会において質問をいたしましたことについて、河村局長は、先ほどの最初に戻りまして、そういう分区長やあるいは現場の助役、駅長等に何の指令をし何の訓示をしようとも、それは当局の内部の関係じゃありませんか、当局内の、非組合員のみの打合会の話ではないか、だからそんなことを何も不当労働行為と言われる必要がない、こういうようなことの新聞談話を発表いたしております。新潟国鉄労働組合をつぶすのが目的であるというようなことを公然と自分の部下の前でしゃべっても、それは非組合員であり当局内の話であるから、それは何をしゃべろうとも何も非難されることはない、こういうことを言明いたしておりますが、一体この河村監理局長の言い分は間違っていないかどうか、一つ総裁にお伺いいたします。
○十河説明員 私は河村局長がどういう言葉を使ったか知りませんが、そういう、組合をつぶすの何のというようなことを言ったとは私は考えられないのであります。しかしながらどういう言葉を使ったにしても、皆さんにそういうふうな誤解を与えるようなことがあったということは、これはまことに遺憾だと存じます。今後もそういうことのないように十分に注意したいと思います。
○小林(進)委員 吾孫子理事のこれに対する見解を承わりたいと思います。
○吾孫子説明員 ただいま新聞記者に談話として何か局長が発表したというようなお言葉でございましたが、この点新潟の局の方の事情も調べたわけでございますが、別に談話として何か発表したというようなことはございません。ただ何か新聞記者が単独で尋ねてきた人に、先生の御質問等に関連して話をしたということはあったようでございますが、局長についてよく取り調べましたところ、先生の御質問その他に対して、何かこれを御批判申し上げるというような気持はさらさらなかったけれども、言葉足らずでああいうような記事になって新聞に出たということに対しては、恐縮の意を表しておる次第であるというふうに申しておりました。
 それからなお組合をつぶす、つぶさないというお話でございますが、これにつきましては、つぶしたいというようなことは申しておりませんです。ただ先年の夏以来のような違法な行為が繰り返されるような組合のあり方は好ましくないという気持は、監理局長として当然そのことは強く考えておるわけでございまして、そういう気持がどういう言葉になりましたか存じませんが、しかし組合をつぶすのだとか、つぶしたいとか言ったような事実は全くないということだけは明らかでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○小林(進)委員 私が最初にお伺いいたしましたことは、その分区長を呼んで、国鉄地本をつぶすと言っても言わなくてもよろしいが、ともかく呼んで訓示をしたことが、当局部内の非組合員のみの打ち合せであるから、それを不当労働行為云々せられることはとんでもない見当違いだということを発言しているのです。このことを聞いておるのです。そういう非組合員が都内において、組合をつぶすとか断圧するとか、何を言っても不当労働行為にならないのか、あなたの見解を聞いておるのです。
○吾孫子説明員 今回の分区長を集めての会議に際しての局長の言動につきましては、不当労働行為にわたるような事実はないと思っております。
○小林(進)委員 実に驚くべき一方的な調査しかあなたはしておいでにならない。九月三日の新聞にもわれわれの同僚各位が新聞を持っているが、その中にも私が今申し上げたようなことを公然と新聞の談話に発表いたしておる。新聞だけじゃない、むしろ先ほどから私が問題にしているのは、これは当局側の労働情報だ。監理局が発行する労働情報これは監理局の労働課長が発行責任者になって出しているのですが、その第四十六号、昭和三十三年九月三十日の情報の中に書いてあるじゃありませんか。管理者講習会は、組合員が出席しているわけでもなく、あくまでも当局部内の非組合員のみの打ち合せであって、この中には種々いろいろと変った意見や発言の出るのは当然のことである云々と言っている。そしてやはり新聞記事と同じように、それを不当労働行為と言われる理由はないという意味のことが、当局側の情報の中に書いてあるじゃありませんか。一体これがほんとうに不当労働行為でないのかどうか、お伺いしたいのであります。
○吾孫子説明員 別段公開もせず、部内限りで打ち合せの際にいろいろな話が出ましても、そのことが外部に向って国鉄としての意思表示というふうになるわけでもございませんので、不当労働行為ということにはならないのではないかと考えております。
○小林(進)委員 あなたは国鉄の常務理事としては、実に重大なる誤謬を犯しておいでになる。不当労働行為に対する最高裁の判例を一つ申し上げます。これは、発言当時の状況のもとで、客観的に組合活動に対する非難と、組合活動を理由とする不利益取扱いの暗示をも含むものと認められる発言により、組合の運営に対して影響を与えた事実がある以上、たとい発言者にこの点についての主観的認識ないし目的がなかったとしても、なお労働組合法第七条第三号にいう組合運営に対する介入があったものと解すべきである、こういう判例なのです。単なる組合活動に対する非難と組合活動を理由とする不利益取扱いの暗示暗示程度のことをやっても、それが完全なる第七条第三号の不当労働行為だ、不当介入だということを判例は示している。あなたは重大なる間違いですよ。そういうような間違いをいたして、一一組合行政をやられたのではたまったものではございません。間違いなら間違いであると、はっきり一つここで釈明をしていただきたい。
○吾孫子説明員 正当な組合活動に対して不利益な取扱いを暗示するというようなことがございますれば、まさにおっしゃる通りであると思いますが、違法な行為等に対して、そういう状態は処罰の対象にもなり、公労法下の組合として好ましくないのだということを申しましても、それは別に不利益取扱いの暗示とかなんとかいうことには該当しないのではないかというふうに私考えております。
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