ピース・ダイアリー

競わないで、奪わないで、争わないで。
分けあって、話しあって、助けあって。
この世が、そのようであったらいい、と。

人柄に触れて

2011年08月04日 14時07分19秒 | 日記
 あの本のこと、グロのこと、つづけます。彼女がWHOの事務局長をしていたとき、オフィスのあるジュネーブに、夫妻は在住していました。訳者の竹田さんも、夫の仕事の関係で、そちらに。あるとき、グロ夫妻をたずねていきます、「ちょっと緊張して」「不安がいっぱい」でしたが。

「ところが、グロ夫妻の家に到着するや、こんな心配はふっとんでしまいました。垣根ごしに目に飛び込んできたのは、ショート・パンツにTシャツ姿でバーベキューの用意に走り回っているグロだったのです」
「私たちが目に入るや、顔中に笑みを浮かべ、深いブルーの目をきらきら輝かせながら『いらっしゃい! さあ中に入って!』と手をひろげて迎えてくれました。エッ、これが元首相でWHO事務局長? 私は自分の目を疑ってしまいました」

「それから今日まで、グロ夫妻とは家族ぐるみのおつきあいが続いていますが、この最初の印象をくつがえされたことはありません」
「いつも、大らかで、心あたたかく、飾り気がなく、ちょっと失礼かもしれませんが、いわゆる『普通のおばさん』です。料理をしたり、庭で草取りをしたり、長椅子に座って音楽を聴いたり・・・」

「しかし、世界の政治や経済の動き、環境破壊、女性が遭遇する障害などについて話をするときには、深い洞察に裏打ちされた鋭い意見が飛んできます」
「でも決して話を独り占めにするようなことはなく、いつもまわりの人たちの言葉に熱心に耳をかたむけています」

 それで、「こんな人柄に触れれば触れるほど、彼女を日本の皆さまにも知ってほしいという思いが強くなってきました」「そんな折、彼女の回想録の英訳がアメリカで出版され、その日本語訳を出版する機会が与えられて、これをかなえることができたのです」と、竹田さん。わたしたちが他のだれかにひかれるのは、そのやさしい人柄に触れてのこと、ですか。はい、お元気で。

1 コメント

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文化辺境の日本で (あかいとり)
2011-08-04 21:37:51
ああ、どこから見ても魅力的な方なんですね!
こういう方を本物のキャリア・ウーマン、完成した人間というのでしょうね。

この連続記事を読んでしみじみ感じたこと。
ノルウエーには男女とも平等に、その持てる能力と人間性を100%活かしきれる文化的土壌がある、という眩しさ、あこがれ。

それはヨーロッパの各国でも感じることですが、ノルウェーは、文化程度が日本とは比較出来ないほどに深く民衆に浸透し、進んでいる、歴史的には日本の50年や100年先を歩いているのでしょうね。

女性の一人として、民主国家に変わって60数年経っても、意識は鎖国時代とたいして変わらず、さまざまな不平等のままに低迷する世界の辺境である我が日本を、もったいなくも悲しく思います。


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