たしかいろいろな生物の形の似ているところと違うところを学ぶ授業だったと思うのですが、ショウジョウバエをできるだけたくさん生け捕りしてこいという宿題が出ました。小学生なのでこちらの身体も小さかったとはいえ、相手はケタ違いに小さい、米粒よりも小さいハエですよ?先生ムチャゆうわ。
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教科書だったか学級文庫の科学図鑑だったかに、ガラスびんの中にバナナの輪ぎりを詰めてボール紙のジョウゴでフタをした「ワナ」が紹介されていました。これを置いとくだけでガバガバ捕れるでと先生は自信ありげに言います。家に帰るとさっそくキャベジンの空きびんでワナを作って母親にバナナを輪ぎりにしてもらい、勉強机の上にセッティングして寝ました。翌朝にはびんの中にショウジョウバエがどっさり!
( ' - ' )?
・・のはずなのに、おかしい。何も入ってない。これは場所がいけないんだろうと台所に移したり軒先に出したり。バナナはやがて茶色のスライムに変化して、(子供が感じる)日本酒のような悪臭を放ち始めますが、肝心のショウジョウバエは一匹も捕れません。そうこうしているうちに明日は次の理科の授業の日です。「どんなに努力したとしてもハエを持っていかなかったら宿題を忘れたことにされてしまう」という恐怖で頭が破裂しそう。
(T▽T)
当時の家には中庭がありました。三角すわりして「いよいよ時間ぎれだ」「もうだめだ」と、クサいびんをにぎりしめて悲しみに暮れながらふと中庭に目をやると、何だかとても奇妙なものが見えます。もともと中庭には祖父の所有物である、よく意味のわからない物体があちこちに散乱していたのですが、その日はなぜか山盛りのバナナの皮が日なたに干してあったのです。そしてそのまわりにはこの世の物とも思えないほどの数のショウジョウバエの群舞。これだぁ!
(≧∇≦)
ヤツらの好物はバナナの実じゃなくて皮だったんですよ。あのワナを本に載せた人も担任の先生も実際には試してないんだろうなぁ。たまたま誰かが皮付きバナナにハエが群がってるのを見て、ワナのえさにはバナナの輪切り、という微妙にまちがった情報が伝わったのかも知れません。改良型のワナを駆使して、翌日の授業には常識を超えた数のショウジョウバエをポリ袋いっぱいに詰めて持っていくことができました。おかげで私は先生から特別に「モノには限度」という言葉を教わることができたし、クラスメートからは「ハエ男」というクールなニックネームをもらって一挙両得どころか三得!
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乾かしたバナナの皮で祖父がいったい何をしようとしていたのかは今も不明です。亡くなって33年。そろそろ命日です。私はおじいちゃんが大好きでした。