フォトポエム  西尾征紀(Nishio Masanori)

夢のなかでは
詩はシンプルで美しい

鳩の羽

2012-11-25 | 詩のレッスン



公園を歩いていると

柔らかな一枚の羽が舞い落ちてきた

ふうわりと優しく

ぼくの前に落ちてきた

それは鳩の羽

なんのへんてつもない灰色の羽だ

ぼくは 指先に

五センチほどの羽を受け止めると

空を見上げた

曇った空には

一羽の鳩の

飛翔の影さえ見えなかったが

そのささやかな情景は

永い年月 心に残った

人生のひとときの

フラッシュの瞬間の出来事

ときどき鳩の群れを見かけると

ぼくは思いだす

あの日の一枚の鳩の羽と

見えなかったポエムのゆくえを




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