恋染紅葉

映画のこと、本のこと、日々の些細なことを綴ります。

「配達されたい私たち」一色伸幸(角川文庫)

2013-05-29 | 本(あ~さ行の作家)
うつ病の澤野は、自殺しようとして入った廃墟の映画館で古い手紙の束を見つける。それは配達されずに捨てられた手紙だった。
澤野は、そのうちのかろうじて原型を保っていた7通の手紙を宛先に届けることを思いつく。
それらすべてを配達し終えたら、今度こそ死のうという決意のもと・・・。
7年前に配達されるはずだった手紙を届けるうち、受取人の人生の悲喜こもごもを目の当たりにした澤野にも、少しずつ変化が見え始めるが・・・。

WOWOWのドラマで放映されると知り、原作を読んでみました。

手紙を配達し終えたら死ぬというカウントダウンを始めた主人公。
各章は「-7章」から始まり、カウントダウンされていきます。

7年前、おそらく当時の郵便配達員の怠慢により捨てられた手紙は、毎日をただ無気力に過ごしていた澤野にある種の使命感のようなものをもたらす。
人は誰かに何かを必要とされていると感じるときに、その生きる意味を実感する。
「ガソリン生活」でもあった人間の三大欲求と同じだ。
せめて最後に何かを成し遂げようと気力をふりしぼる澤野。
そんな彼が出会う人たち(手紙の受取人)は、7年前に手紙を受け取っていたら人生変わっていただろうという人ばかり。
でもそれがよかったか、悪かったかは、どうだろう?
人生っていうものは、違う道を選んだとして、それが成りたかった自分ではなかったとしても、最後に納得できれば結果オーライ。
時間がかかっても結果オーライであればいい。


ドラマ、1話だけ視聴終わりましたが、人物の関わり方が原作と若干違ってますね。
どこにどの俳優さんを振り分けるかでエピソードの深さが違ってきますね。


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