(中島京子著)
★★★★(ベアの満足度)
直木賞受賞作品。
戦時中、タキさんは東京の郊外の家の女中でした。
美しい奥様とひとり息子と旦那さまに
つかえていました。
その頃の回想録。
とおもいきや、その文章を甥っ子に遺す。
そこから一気に展開していく。
戦争を「時代」としてとらえるのではなく、
「日常」からとらえていく視点が見事。
時代的には、辛い時代だったのだろうが
タキさんの記憶の中では、輝いている。
女中と奥様。
「家」を守る同志でもあり、
感覚のあう女友達のようでもあり、
今の時代にない信頼関係なのだろう。
タキさんの人生。
素晴らしいものだったのだと思います。
きらきら光る思い出がそれを証明してくれる
お話でした。
伏線1つが、
「そういうことか~」と膝を打つものだったのが、
すごく悔しくもあり、面白くもありました。