バリ記 

英語関係の執筆の合間に「バリ滞在記」を掲載。今は「英語指導のコツ」が終了し、合間に「バリ島滞在記」を連載。

バリ記11

2019-12-23 10:34:46 | バリ記
2000年1月18日
悪霊


 例えば、アクエリアスホテルの場合、レギャン通りに面してホテルがあるにもかかわらず、通りからホテル内が見えないようにしている。わざと木や障害物を作り、見えないようにするのだ。これがあるために、ホテルなのか何なのかわからない。
クタ・パラディソもやはり通り沿いにフェンスがあって、車の出入り口が、そのフェンスの両横にあり、ホテルの玄関はちょうどフェンスの裏側になる。通りからは、玄関は見えない。
アクエリアスのオーナーに、あの植物や階段(フェンスになっている)をとってしまったら、ホテルとよくわかるのでないか、と言ったところ、笑いながら、「ノー、ノー」と言う。悪霊が入ってくるのを、その障害物が防ぐのだと言う。

 NHKのバリ特集で、ウブドの宮殿に入るところがあったが、門扉を開くと壁のような障害物があり、そこにランダの石彫があった。奥に進み、また扉をあけるとランダがいた。
 これは、単なる宮殿だけでなく、住居としての建物の場合、風水的な発想が信じられているのである。アクエリアスのオーナーは、ホテルの敷地内に住んでいるからそうなるのだろう。
たとえ、オーナーは住んでいなくても、大切な命を一時にせよ預かるのだから、ホテルも一様に同じである。僕らの方から見れば、何と非効率な、と思ってしまうが、彼らにしても本当はよくわからなく、そう言われているから、という説明になるのだろうが、これを科学的に証明してしまう日が来るかも知れないと思っているので(例えば、磁場の関係とか)彼らが正しいのかもしれないから、笑って、そうか、そうかとうなづくだけである。

 今日もまた推測に過ぎないが、バリならバリという島で、昔から信じられて行われているものは多く、その土地の”地球上の位置”そこから生ずる地理的風土と関係しているかもしれない。
 いつでも西方浄土に行けるように、西側をあけておくとか、北枕は死んだ時にするものだとか、日本にもいろいろな信じ方、言われ方があるが、それは宇宙の中の地球の自転や公転、対極のことなどから、なんとなくそこに生きる人々は知ってきたのかも知れない。
本当の理由こそわからないが、なんとなく感じ、知ってきた目に見えない力を、例えば一つの例として「悪霊」などと呼んだ。

 誰が気づき、誰が言い始めたのか、人間の生活の積み重ねとして、現在に至っている。
 不思議としか言い様がない。本当の理由はわからないのに信じつづけるということがである。馬鹿にしているのではない。本当に不思議な共同幻想である。


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