バリ記 

英語関係の執筆の合間に「バリ滞在記」を掲載。今は「英語指導のコツ」が終了し、合間に「バリ島滞在記」を連載。

バリ記12 子宮の村・核家族化

2019-12-24 10:39:13 | バリ記
ているのではない。本当に不思議な共同幻想である。

2000年1月19日
子宮の村
バリ島の隣りにある島、ロンボク島が不穏だ。キリスト教の教会が、次々と焼き打ちされ、昨日は中国人たちの店が略奪され商品などが焼かれた。
先だってバリ島では、扇動者が入ってきて暴動が起こるよう仕掛ける恐れがあることから、インフルエンザのように伝染してゆく、政治的、宗教的対立を食い止めようとあの手この手で守ろうとしている。
最近ロンボク島が人気上昇中だったところで、この騒ぎだ。
バリの住民も今回は、東ティモールやアチェなどとは違う動揺の仕方をしている。誰に聞いても心配度が高まっている。
最近ボーイフレンドができて、ウキウキしていたブックツリーのスタッフ、ロティはショックだった。彼が軍人だったため、ロンボクへ派遣されたのだ。毎日電話でやりとりをしているようだが、ロンボクの暴動は激化しつつあることから、心配でしようがない。
「インドネシアジン、セイフノホウリツ シンジテイナイ。ビレッジノホウリツ、キビシイ。ダケド ビレッジのホウリツ ノ ホウ シンヨウ スル。シガラジャ ニ カエリタイ、 ダケド イマハ クタ デ コトバ ベンキョウ デキル。」とホテルの従業員のマデは言う。村の中で、村の人々の間でワイワイガヤガヤと生きてゆくことの楽しさと平和に吸いよせられている。村が温もりのある第二の子宮のように思っているようなのだ。

2000年1月20日
核家族化


 家を出て、核家族として暮らすこと。これがほとんどの若い夫婦の希望である。お金さえ貯まれば、彼らはまずそれをしたい。家を借りる場合もあれば、立てる場合もある。
 日本のように急速な経済成長をすれば、彼らの希望も現実のものとなるのだが、この2年、バリではつまづいている。物価は4倍になり、失業率が高まり、青息吐息の状態である。
若い二十代、三十代の夫婦は、子供たちを大学に行かせたい思っている。
 だから、ウブドやギャニャールからでも給料面で待遇がよかったら、一時間かかってでも、レギャンまで働きにくる。共働きの女性として同様である。交通手段については知恵を出し合い、例えば、僕らのスタッフのダユという女性の場合なら、ギャニャールからサヌールのプトゥの家まで三十分かかってバイクできて、プトゥに車で会社まで二~三十分、という風に。帰りは、プトゥの仕事が遅くなったとしても待っていなければならない。それでもである。お金を貯めて、親の家を出たいのである。

 アメリカや日本のように、ローンをしてでも払えていける裏づけとなる経済成長があれば、なんとかなっていくのだが。宗教的な事情、村の掟などから、効率の良い経済活動はやりにくいから、彼らの希望は容易には達成されないだろう。希望があってもしかたなしと、耐えてゆかなければならない。
親の家を出たいのは、自分たちに割り当てられる敷地内のスペースが少なく限られているからだ。
長男坊は、出たい希望があっても親の老後の面倒を見る、という習慣があるから、余計難しい。
 バリは、停滞の気分が漂っている。外国からの投資を待つ気分も強い。できる限り、外国の資本でではなくて、自国資本で産業を創出し、雇用を増やしたいところだが、うまくやれないところがある。
 バリ人の多くのオーナーは、仕事に精を出さず、セレモニーなどに忙しい。働く人と共に豊かになっていこうという気分も見受けられない。
 高度経済成長は、夢のまた夢のように思える。



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