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寄り道しながら前へ

 思いつくまま気の向くまま
ゆっくりいろんなことを考えてみよう。

 

エイラ 「マンモスハンター」中

2005-05-21 22:36:01 | エイラ
マムトイ族の一員として認められたエイラは一人で住んでいた元の洞穴へ、残していた荷物を取りに行った。いなかった間に、マムトイ族の人たちはエイラの馬、ウイニーとレーサーのために建て増しをしてくれていた。エイラ大感激。

エイラ 6 「マンモスハンター」中  ジーン・アウル著  新潮社

長い冬を土盧(つちいおり)のなかですごすマムトイ族は生活に変化をつけるべく工夫をしている。
エイラは縁組の儀式をしてもらい〈マンモスの炉辺〉の娘となった。贈り物の交換会はとてもにぎやかで楽しいものだった。

ジョンダラーもエイラもお互いを愛し合い求め合っているのに、嫌われているのではないかと思い込み、くよくよして心がすれ違ってばかり。そんなだからいつも熱い視線を注いでいたラネクとエイラは床をともにし、ジョンダラーはますます嫉妬に苦しみ始める。
もうじれったいんだから

性行為の描写が詳しすぎて、食傷気味なのはわたしだけでしょうか。

少しずつ春が近づいてきた時、しかけた罠を見に行って、毛皮が欲しいのでオコジョ狩りをしたあと、狼を殺してしまった。子育て中のやせたはぐれ狼だった。まるで自分と重なり、残された子狼を見殺しにできないエイラは育てることにした。ウルフと名づけた。これで赤ちゃんの時から育てて自分の家族にしてしまうのは、馬、ライオン、そして狼となった。

エイラの薬師の能力も充分発揮する機会があった。
いよいよジョンダラーもレーサーに乗る訓練を始めた。

エイラとジョンダラーの関係はこれから先どうなっていくのだろう。



エイラ地上の旅人「マンモスハンター上」

2005-05-05 20:47:51 | エイラ
前回でやっとジョンダラーと心を通わせ愛し合うようになれた二人。
すぐ戻る予定でジョンダラーとエイラは短い旅に出た。その旅先で自分たちに笑顔を向ける人間の集団に出会った。ライオン簇(むら)に住む〈マンモスを狩る者〉という異名をもつマムトイ族だった。エイラにとってはジョンダラー以外の初めてのクロマニヨン人との出会いだった。

「マンモス・ハンター」上  ジーン・アウル 著   集英社

 彼らの簇に行くと、彼らが平頭と呼ぶネアンデルタール人と混じり合った、息子によく似たライダグという少年がいた。
 ここは洞窟ではなくマンモスの骨や皮を使って家を作っていた。ここでバイソンの狩に参加して投槍器や投石器の腕前を見せて驚かれたり、馬に乗ったり荷物を運ばせるのを見せて、「馬は食べる為にあるだけではないことを初めて知った」と驚かれたりする。また、のどに骨を詰まらせた子を助けたり、ライダグの心臓が弱ったのを薬草で回復させたりして薬師の能力も発揮する。
 ライオン族の人々から、一族に入って一緒に暮らそうと誘われるが・・・・。

前作を読んでなくてもわかるように説明が少し多いが、原始の生活ぶりの描写はやはりすごい。石器の作り方も薬草も料理の作り方も詳細で作者の研究の深さが感じられる。そんなことよりエイラが魅力的。

早く次が読みたい。図書館が早く購入してくれないかしら・・・・・・・。(自分で買わない)
以前に違う出版社と翻訳者で読んだはずなのに内容をすっかり忘れていてまた夢中になってしまった。20年もたてば。

ものすごくお薦めの本、でもあまり人に知られてないみたいなのでもったいないナア。





野生馬の谷  下巻

2005-04-12 15:12:03 | エイラ
出会いは衝撃的に始まった。
ゼランドニー族のジョンダラーと弟のソノーランは大河の果てへの旅の途中ライオンに襲われ、弟は死に、ジョンダラーは瀕死の大怪我をしたところをエイラに助けられる。

ライオンはエイラの元から巣立ち家族を作っていたベビーだった。ウィニーも馬の群れに入ったが妊娠した状態でエイラの元に戻って出産した。

 エイラの献身的な看病、言葉を教えてもらい、少しずつお互いを理解していく。言葉を身につけていく過程、抽象概念を教えることの難しさ、また男女の心のすれ違いが良く書き込まれている。
男女のすれ違いだけではなくて、旧人と新人の差の誤解などもあって人間とは何か、動物とは、命とは・・・と考えさせられる。
 少し性描写が詳しいと思ったが、このストーリーには必要かもしれない。

読み出したら止まらない。一気に読んだ。深い内容を含んだ物語なのでもっとじっくり読んだほうがいいのだけれど。

ぜひ、お薦めのシリーズだ。

野生馬の谷 上

2005-04-12 00:46:02 | エイラ
エイラ 地上の旅人3 「野生馬の谷」 ジーン・アウル作 佐々田雅子訳

上を読み終え下巻に入った。
この本はすごい、20年ぶりの再読だけど斜め読みできない。(かなり細かい所を忘れていた)
     
 育ててくれたネアンデルタール人と別れて一人北をめざして旅をするエイラ。自分と同じクロマニヨン人を探すが野生のけものばかり。冬に備えて洞窟を見つけ、食料を蓄え、寒さに備え外皮の支度もする。細かい説明が作者の膨大な研究と資料と体験からくるものですごさの元だ。ただ、この部分がすごいと同時に少し読むのにしんどい部分でもある。
        
 孤独なエイラは子馬を育て、心を通じ合い乗ることを覚え、乗って狩もできるようになる。けがをして親に見離されたケーブ・ライオンの赤ちゃんも育てる。洞穴で馬のウィニーとライオンのベビーたちと暮らし始める。この部分はワクワクしながら読んでいける。

 平行して将来出会うだろうと思われるゼランドニー族のジョンダラーの物語もすすんでいく。

上巻はここまで、いつどういう形でエイラが同じ種族のヒトと出会えるか・・・・・下巻の楽しみだ。

エイラ 出版社が変わって

2005-03-30 22:16:00 | エイラ
なぜ出版社が変わったのか、なぜ翻訳をやり直す必要があったのか・・・ということが気になっていろいろ言いたくなっている。
大好きな作品だからこだわってしまう。

 評論社の方のエイラ、始原への旅立ち「大地の子エイラ」の方のブックレビューにこんな記述があった。
 
<一作目が一番良かった…,  
 続き物なので出れば読みますが、内容は面白くなくなる一方。描写も細かくしつこく(特にセックス描写!)読みづらいです。「大地の子エイラ」が星5つならば、一作毎に☆の数はへっていく…という感じです。>

 または
 
 <この評論社のものは児童書だったのですね!?中学生向きになっていますが・・?でも、それにしてはあまりにもsex描写が濃すぎませんか?子供にこんなもの読ませていいの?と今愕然としています。>
 
 集英社のは大人向けに翻訳をやり直したという事になっている。でも上記のようだとこれ以上sex描写を詳しくするのか・・・・と思って心配になる。
 旧作と新作の翻訳を第一部について読み比べてみると、エイラが子どもの時は全く変わらなかったが大人になった所で性についてあいまいな表現だったものが直接表現になっただけで大きな違いは見られなかった。二部、三部と進めば以前カットされた部分が増えるのかもしれないが。
 
 今回の翻訳は、ライラの冒険シリーズ「黄金の羅針盤」を翻訳した大久保寛氏なので子供向けだったといわれる前作よりも平易な言葉を使い、わかりやすく良い翻訳だと思う。
これ以後の翻訳は毎回人が変わるようなのでどうなるのか気になっている。
         
本の内容については  前のページへ

エイラ 「ケーブ・ベアの一族」 続き

2005-03-29 21:50:15 | エイラ
中村妙子訳の「大地の子 エイラ」と、大久保寛訳の「ケーブ・ベアの一族」を読み比べてみた。
ケーブ・ベア(洞穴熊)の霊の名、アースス(ウルスス)、息子の名 ダルク(デュルク)、イーザ(イザ)、ウバ(ユバ)など、表記もちがっている。カッコ内は中村訳。
 表記を変えたのはなぜなんだろう。

 あらすじは・・・・
上( 一地震、二出会い、三イザ、四洞穴、五ブラウド、六儀式、七言語、八娘たち、九石投げ、十敵意、十一従順、十二訓練、十三海、十四マンモス狩)
下( 十五告白、十六呪い、十七帰還、十八成熟、十九出産、二十逃避行、二一愛、二二氏族会、二三競技、二四秘儀、二五死、二六ダルク、二七ウバ、二八別れ)

時は紀元前三万年ごろ、更新世(洪積世)の最終氷期。舞台は黒海に突き出ているクリミア半島山服の洞穴と、その周辺のステップ(草原)。登場するのはネアンデルタール人の一族と、彼らの間に育つクロマニヨン人の女の子。
 主題は、それなりに進化の絶頂に達していた旧人と、彼らに代わって地球のあるじとなり、やがて人類の歴史の担い手となる新人の運命の消長。
 大地震で家族と生き別れ、一人でさまよい死に掛けていたエイラは、新しい洞穴を探していた一族に拾われ、育てられる。

 著者は、自分の手で石器を作ってみたり、鹿皮をなめして財布を作ったり、厳寒の高山に雪の洞穴を掘って一夜を過ごしたり、薬草の勉強をしたりして得た知識を元に、ゆたかな想像力を加え、生き生きとした氷河時代の生活を見事に描いている。
 太古の人々の生活を描きながら、男女の相対的地位の問題差別の問題障害者や老人の問題などに光を当てている。
 言語能力の違い、女はしてはいけない狩をエイラはしたがったり、水を恐れず泳いだり、工夫する能力があったりと、エイラだけがまわりの一族と異なる故の苦悩を描くことで滅び行く旧人のことを浮き上がらせている。
 
 七万年前、ネアンデルタール人は既に宗教思想を持ち、死者に花を供えたという。



エイラ  「ケーブ・ベアの一族」

2005-03-26 20:50:31 | エイラ
今、「ケーブ・ベアの一族」を読んでいる。これは元は評論社から「始原への旅立ち 第一部『大地の子 エイラ』」として20年も前に出版されていたものを、今回集英社が翻訳もやり直して出版したものである。
http://www.shueisha.co.jp/home-sha/ayla/
 前回は子供向けだったから、今度は著者の意向を受けて大人向けに翻訳をやり直したといわれている。
 読み比べてみた。子供向けはたくさんカットされているかと思って。でも、そうではなかった。性の描写を直接的に表現するかあいまいにするかという程度のちがいだった。
 それよりも、今回の方が大人向けとは言いながら、平易な言葉遣いになっており、読みやすいかもしれない。
 
 20年前新聞で、すばらしい本を見つけたので翻訳をします・・・という中村妙子さんの記事を見かけたのがこの本との出合いだった。舞台は今から3万年前、黒海周辺のネアンデルタール人やクロマニヨン人が出てくるという。こんなわずかな化石や石器や洞窟のあとしかない時代を、どのように小説に仕立てているのか・・・ということが興味の対象だった。読んでみるとぐいぐい引き込まれた。著者の研究の深さ、ものすごさを感じた。
 続きはまた今度。