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Y染色体の不思議・・・っていうか・・・XとYの悲劇?

2005-11-30 | 人間のこと
ゲノム研究で判明した男性染色体の奇妙な特徴
2003年6月18日   HOT WIRED JAPAN
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20030623306.html

Y染色体はおそらく、ヒトゲノムの中でいちばん奇妙な染色体と言えるだろう。
 科学者たちはすでに、Y染色体が性別を男に決定することを知っている。しかしそれ以外は、遺伝子的にはガラクタ置場のようなものだと考えられてきた。実際の遺伝子は非常にわずかしか含んでおらず、残りはランダムなDNAが繰り返し登場するだけだ。
 しかし6月19日(米国時間)付けの『ネイチャー』誌に掲載された2つの論文では、世界中の40名の科学者が、Y染色体が男性の不妊を理解する鍵となりそうだという説を展開している。遺伝子の欠損がしばしば、生殖不能を引き起こすからだ。
 また、Y染色体には回文配列(左右対称な鏡像配列)になっている部分が多く含まれ、この中に多くの遺伝子を配置して完全性を保ってきた。この回文配列は、高い頻度で互いに組換えを起こすいわば、自分自身とセックスを行なうこともわかったという。
 「Y染色体は、遺伝子的にほとんど不毛の地のようなもので、主要な機能は男性としての発生を引き起こすだけだというのが大方の考えだった。しかし、それ以上の役割の存在を暗示する手がかりが出てきていた。そして今回の論文では、精子を作り出す際にY染色体が非常に重要な役割を持っていることを確認した」と、ホワイトヘッド研究所の研究員、スティーブ・ローゼン氏は述べている。同研究所は、『ヒトゲノム計画』に貢献している研究機関の1つだ。
 ヒトゲノムを構成しているのは22対の常染色体と2本の性染色体(XXまたはXY)で、ヒトを作るための遺伝子は、ゲノム内におよそ3万個含まれている。各染色体は、細胞の機能を調節するDNA鎖の連なりだ。研究者たちはヒトゲノム計画のおかげで、どこに遺伝子があるかを示す大まかな地図を手にすることができた。しかし研究者たちはそれぞれ別個のプロジェクトに取り組んで、各染色体の詳細な地図を作ろうとしている。
 これまで、一部の研究者たちはY染色体を軽視してきた。Y染色体を構成している約2300万個のヌクレオチドすべてのDNAを形成する基本的な単位のなかに、わずか78個の遺伝子しか含まれていないからだ。性別を男性に決定するという、重要だがわかり切った役割をおもに担っているとされてきた。
 しかし研究によると、これらの遺伝子のうち60個が、男性不妊に関与していることがわかったという。
 「Y染色体は確かに不妊の原因となったり、(男性に)不妊の素因を作る、新しい突然変異の温床だ」とローゼン氏は述べている。
 研究者たちは、予期しなかった特徴も発見した。以前、科学者たちはY染色体中のDNAが不活発なものだと考えていた。受精の間、母親と父親からの他のすべての染色体が遺伝子を交換し、胚の新しい遺伝子情報を作り出す。Y染色体は、受精中の遺伝子交換に参加しない。このため、Y染色体の不活発なDNAは、世代を経ても取り除けないような有害な突然変異につながると考えられていた。
 しかし新しい研究で研究者たちは、Y染色体が自身の中で、DNAを高い頻度で入れ替えていることを発見した。このメカニズムは、突然変異が発生したときに、Y染色体自身を修復するのを助けている。
 しかし、ワシントン大学医学部の『ゲノム・シークエンシング・センター』(ミズーリ州セントルイス)の所長で、ヒトゲノム計画にも参加したリチャード・ウィルソン氏は、このような自身の中で起きるDNAの入れ替えは諸刃の剣かもしれない、と述べている。このプロセスによって、有用な遺伝子の一部が欠失する場合も出てくる。このような欠失が、不妊をはじめとする種々の問題につながるのだとウィルソン氏は説明している。
 Y染色体のDNAは、反復の多い配列とくに回文配列のため、解読が困難だった。デューク大学のハンティントン・ウィラード氏は今回の『ネイチャー』誌に掲載された論文に対する論評記事で、今回論文を執筆した研究者による努力を「英雄的と言ってもいいほど」だと賞賛している。
[日本語版:湯田賢司/長谷 睦]
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>以前、科学者たちはY染色体中のDNAが不活発なものだと考えていた。受精の間、母親と父親からの他のすべての染色体が遺伝子を交換し、胚の新しい遺伝子情報を作り出す。Y染色体は、受精中の遺伝子交換に参加しない。このため、Y染色体の不活発なDNAは、世代を経ても取り除けないような有害な突然変異につながると考えられていた。
 しかし新しい研究で研究者たちは、Y染色体が自身の中で、DNAを高い頻度で入れ替えていることを発見した。このメカニズムは、突然変異が発生したときに、Y染色体自身を修復するのを助けている。<

なーんだ。全然、保存されないんだ。
自分でDNAを入れ替えるなんて、すごいけどね。


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解明されるX染色体の秘密
2005年3月17日   HOT WIRED JAPAN
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050323307.html

先頃発表されたX染色体の遺伝子に関する2本の論文が、XXまたはXYという染色体の組み合わせだけではない、男女の違いの遺伝的な理由の一端を明らかにした。
 X染色体(写真)上に発見された1098個の遺伝子の詳細な塩基配列データの集まりから、1つの手がかりがはっきりとつかめた。調査対象となった40人の女性のX染色体がすべて変化に富んだ遺伝子活性を示したのだ。
 この調査結果は事実上、男性と女性とでは異なる2種類のヒトゲノムが存在することを意味する、とノースカロライナ州にあるデューク大学のゲノム科学・政策研究所のハンティントン・ウィラード所長は語る。
 「40人の女性のX染色体を調べたところ、それぞれの染色体が独自の遺伝子発現パターンを持っていた。こうした変化は完全に女性独特のものだ。この点に関して、男性のX染色体はすべて同じ発現パターンを持っている」とウィラード所長は説明する。
 女性(そしてすべての雌の哺乳類)は、X染色体を2つ持っている。しかし、染色体の余分な複製は必要ないので、X染色体の不活性化と呼ばれる過程で片方が不活性化される。少なくとも、科学者はそう考えてきた。
 「女性の不活性化されたX染色体は以前考えられていたほど沈黙していないことがわれわれの研究で明らかになった。不活性化されたX染色体上の遺伝子の影響が、性ホルモンに起因しない男性と女性のいくつかの違いを形作る原因になっているかもしれない」と論文の執筆者の1人、ローラ・キャレル博士は語る。キャレル博士は、ペンシルベニア州ハーシーにあるペンシルベニア州立医科大学の分子生物学者だ。
 キャレル博士とウィラード所長は、研究結果を『ネイチャー』誌の3月17日号に発表した。『ネイチャー』誌のワシントン編集局で上級編集者を務めるクリス・ガンター氏はこの結果に関する論評の中で、三毛猫の例を使って女性を説明する。
 「三毛猫は、X染色体の不活性化を説明する上で格好の見本になる。三毛猫の毛がモザイク模様だからだ。同じように、女性の体には、父方と母方それぞれから受け継いだX染色体がモザイク状に分布している」
 『ネイチャー』誌に掲載されたもう1つの論文は、X染色体についてさらに多くの秘密を解き明かしている。特に、X染色体の損傷がどのように病気を引き起こすのかを明確にしている。
 イギリスのケンブリッジにあり、X染色体塩基配列解析の中心となったウェルカム・トラスト・サンガー研究所のアラン・ブラッドリー所長は、「われわれは、決定された塩基配列をしばしば『人間の遺伝子の一覧表』と表現する。だが、今回のX染色体研究のようなプロジェクトの結果は、それよりもはるかに多くの意味を持っている。イギリスの、そして世界の生物医学を進歩させる原動力になるのだ」と述べる。
 というのも、300以上の遺伝病がX染色体に関連しているからだ。この数は、染色体の中でも群を抜いて多い。X染色体に関連する遺伝病は、色覚異常、自閉症、筋ジストロフィー、白血病、血友病など多岐にわたる。
 こうした疾患の多くは、女性よりも男性にはるかに多く見られる。女性はX染色体を2つ持つので、片方の染色体が突然変異を起こしていても予備があるからだ。男性には、1つのX染色体と、X染色体と共通の遺伝子は7つしか持たない小さなY染色体(写真)が1つあるだけなので、こうした予備が欠けている。
 「X染色体は、初期の人類遺伝学では特に重要だった。突然変異がどのように病気を引き起こすのかがはっきりとわかったからだ。われわれは、X染色体に関連した多種多様な人間の病気について、どこが問題になっているかを今では理解している」と、サンガー研究所の人類遺伝学部門の責任者で今回の塩基配列解析論文の筆者でもあるデビッド・ベントリー博士は語る。
 X染色体は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを引き起こす遺伝子を持っている。この遺伝子は、知られている中では最大で、220万塩基対の長さがある。
 「こうした遺伝子を研究することによって、病気の過程について注目すべき洞察が得られる」と、サンガー研究所の『ヒトX染色体プロジェクト』の責任者、マーク・ロス博士(写真)は語る。
 X染色体は、人類の進化をも解き明かした遺伝子コードの解明によって、X染色体とY染色体は3億年前、一対の常染色体から進化したことが明らかになったのだ。そればかりか、この染色体は、人類の歴史にまつわる物語さえも語る。
 ビクトリア女王は血友病の保因者だったが、この疾患に見舞われなかった。つまり、女王の片方のX染色体には血友病を引き起こす遺伝子があったが、もう一方のX染色体にはこの遺伝子がなかった。この遺伝子は、女王の孫娘、アレクサンドラに、そしてアレクサンドラとロシア最後の皇帝ニコライ2世との婚姻によって、皇太子のアレクセイに受け継がれた。アレクセイの血友病は、ロシア革命の間接的な原因になったとも言われている。
 そしてまた、ゲノム配列解析の革命も続いていく。この革命は、すぐには終わりそうにない。
 「X染色体の塩基配列解析からわかったことが1つある。病気には、考えられていた以上の遺伝子が関連していることだ」とベントリー博士は語った。
[日本語版:福井 誠/岩坂 彰]
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ほほう?
つまりイギリスの遺伝子がロシアを滅ぼしたと?

全く残念だよ。
ロマノフ王朝ならね。

もう少し話が通じそうだったのに。




↓も面白いよ!
http://www.natureasia.com/campaign/ychromosome/
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/agc/ishiura/ishiura11.html

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