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美しさは日々の小さな積み重ねから。

東北の工芸品

2011-10-10 20:28:23 | 美しい生活
東北の工芸品



              10月5日、雨の東京。
              久しぶりに浅草寺へ参拝。
              お堂に入り観音様の前で観音経と般若心経を唱え
              愛染明王様に手を合わせ、不動明王様に御真言を唱え
              しばし、お堂の「気」を心ゆくまで堪能して
              お香、お数珠、おみくじを頂いて参りました。
              浅草寺のおみくじは、今必要な言葉を必ず頂けます。
              「凶」というおみくじに関しては、絶対と言っていいほど
              抜群のタイミングで頂けますから、本当に有難いのです。
              この日は「大吉」
              私の心を見透かしているような言葉の数々で
              有難くて涙がこぼれそうになりました。

              その後、東日本大震災の御供養の為に薬師寺別院にて写経。
              恵比寿のメーカーで仕事を済ませ
              南青山で開催されていた「東北の手仕事展」へと向かいました。

              読売新聞の「生き残った硯で復興支援」の記事に感動して
              この展示会へ行って参りました。
              宮城県石巻市雄勝地区の伝統工芸品、「雄勝硯」。
              600年もの歴史がある素晴らしい職人技の硯です。
              その硯も津波で壊滅的な被害を受け、4万個流されたとか。
              でも流された硯を地域の方達が拾い上げて下さったそうです。
              生き残った硯は約4千個。
              その生き残った硯にもう一度「命」を吹きかけて、販売させて欲しいと
              職人さん達にお願いした方が、この展示会を開催した田中陽子さんでした。
              売上金はすべて、雄勝硯生産販売共同組合に送られます。

              田中さんは青森県十和田市で東北に伝わる手仕事を紹介。
              今回もこの硯を販売しながら、東北の工芸品200点ほどを展示即売。
              素晴らしい作品が小さな会場に溢れ出していました。
              硯は修復したものを100個用意してきたそうですが完売してしまい
              予約販売になるという事でしたので、迷わず予約。
              40人いらした職人さんも4人しか残っていないそうなので
              かなり時間が掛かるという事でしたが、そんなことは構いません。
              「待つ」楽しみの格別なことったら・・ねっ!

              写真はその日購入してきた桜皮細工の小箱、ホームスパンのマフラー・羊
              南部鉄器の一輪挿し、後は自宅で使用している東北工芸品の一部をご紹介しました。
              母の実家は東北工芸品が大変多く、自然と母もそのようなものを集めていたようです。
              「手作り」には「命」の繋がりを深く感じますよね。
              両手に持ったその瞬間、確かに息づく命の鼓動を感じます。
              まだ「手」にしたことの無い方は、是非一度両手でそのぬくもりを感じて下さい。

              「感動」は重なることがあります。
              この会場に入った瞬間、私を出迎えてくれた田中陽子さん。
              あまりの懐かしさに一瞬、私の心臓の音だけが・・。
              微笑んだ仕草、声のトーン、洋服の着方、顔の造作、
              他界した私の大切な友人にうりふたつ・・だったのです。
              年齢も同じ、名前もようこさん(字は違います。)
              こんな事ってあるんですね。
              それを言葉にしてしまうと、泣いてしまいそうで・・
              しっかり、工芸品のお話しだけをして失礼させて頂きました。

              階段を降り、靴を履いた瞬間、不覚にも大粒の涙が・・
              これから、地下鉄、新幹線に乗るというのに~なんていう思いも束の間、
              大雨の南青山の人ごみの中を、泣きながら歩きました・・傘で顔を隠しながら。

              「ご縁」は輪廻と似ているな・・と思いました。
              いいえ、似ているのではなくて「輪廻」そのものなのでしょうね。
              そんな温かな学びを頂いた素晴らしい出逢いでした。

              明日は震災から7ヶ月。
              心から、祈りたいと思います。 
                            

今日は栗名月と寒露の日

2011-10-09 13:15:06 | La Cucina AVANTI 料理教室
栗名月



              早いもので、今日は「寒露」
              二十四節気のひとつで、秋分から十五日目を言います。
              草の露が冷たく感じるこの頃には、台風もおさまり
              「秋晴れ」の日が続く、まさに気持ちの良い「秋麗」という言葉がピッタリですね。
              日本の農家さんが一番収穫の忙しいこの時期が
              「秋麗」とは、何だか幸せを感じずにはいられません。

              十三夜は別名を栗名月と呼ばれています。
              今まさに、栗が旬ですもんね。
              子供の頃、父方の祖父母の家へこの時期は楽しみに出かけました。
              お山の大きな栗の木の収穫の時期、祖父の後ろにくっついて
              栗拾いに行くのが本当に嬉しかったのです。
              お芋より栗が好き。好きを通り越して、大好物なんです
              ケーキはモンブランが並んでいたら、それしか頂きません
              栗と書いてあるお菓子、お料理なら何でも頂きます
              「栗職人」と呼ばれているほど、大好きです。

              今年もご注文を頂き、「渋皮煮」を作りました。
              今年は栗が不作だという事でしたが、手元にきた栗達は艶も良く
              粒も大きくて、大きさも揃っていました。
              妹は今年も腱鞘炎になるのでは・・と心配するほどの量を剥き
              ほぼ、徹夜の勢いで頑張っていました。
              写真の栗の3倍の量ですから、結構な量ですよね。
              お菓子作りが本当に好きなんだな・・と、毎回感心しながら見ております
              普段、物事に対してアバウトな性格なのに・・
              この仕事に対する姿勢は「職人」。元来、不器用なので努力しているのでしょうね。

              今日の十三夜にはお団子とこの「和栗のモンブラン渋皮添え」を供えます。
              
              月見団子は月が満ちました・・という事を表す為に丸く形を整えますけれど
              丸いままでは飾らない事はご存知でしたか?
              手のひらで丸めてから、豊穣への感謝の想いを込めて上からぎゅっと押す。
              それから三方に並べるのです。
              これはきっと完全な形の中に「美」を求めない、
              日本人の精神文化と重なっているのかもしれませんね。

              寒露の時期は北から雁が飛んでくると古来からいわれています。
   
              「しら雲に はねうちかはし とぶ雁の
                    かずさえ見ゆる 秋の夜の月」 古今和歌集

              12日の満月にむかって満ちていくお月様の光の中、
              古の歴史をそっと自分に添えてみるのも 十三夜ならでは・・
              今夜はそんな夜長をどうぞお過ごし下さい。