Grazie mille!

美しさは日々の小さな積み重ねから。

「愉しみ」をつくる

2010-11-13 23:02:55 | 美しい生活
遠い昔、
 「特別な場所」を待ちわびる日々が宝物だった頃。

布団に入ってから 妹と小さな声でする 「ゴッコ」遊びが楽しみでした。
それは いつも 「お姉ちゃん、大きくなったらさ・・」から始まる物語。
二人の頭の中は 空想の 「夢」のような世界でした。

                                                         
                             スペインのトレドで宿泊したパラドール
                             以前は修道院でした。

あの頃 若い両親は商売の駆け出しで 大変な時代だったけれど
「特別な日」を必ず母が作ってくれていました。
タンスの奥にしまい込まれたレース付の靴下や白いタイツ。
大きな襟にカフス付のワンピース。
「特別な日」を待ち焦がれて 時折 そっと 眺めては
指折り数えて ため息をつくのでした。
                                      

「特別な日」の為の「特別な装い」そして「特別な場所」
そんな事が心の「目」を養い 豊かな感性を育むのだと思います。
育まれた感性は必ず 「勇気」となり「夢」の実現の手助けになります。

子供の頃 海外旅行なんて空想の中の出来事で テレビや本の中だけで
旅をするものだと思っていました。
それが小学6年生の時に 北海道へ帰る日 羽田空港の国際線ロビーへ
父が私達を連れて行ってくれたことで 意識が変わったのでした。
そこには 「夢」のような世界が広がっていました。
あの時の胸の高鳴り ワクワク感は一生忘れません。
父は一言 「ここから ヨーロッパへ行くんだぞ。」
その後 喫茶店に入り ケーキーをご馳走してくれました。
                                 
                                  <食堂>
                                  修道院時代も食堂で、その時代を彷彿させる室内です。
                                  厳かな気分でしたが とても贅沢なひとときを過ごせました。 
 
                                      
                                      <部屋>
                                       可愛いお部屋でした。 

「夢」を与えてくれた その父の行動が とても嬉しかった。
いつか 外国へ旅立つことを 父は その場所へ連れて行くことで
父親としての「夢」を 私たちにかけてくれたのだと思います。
私達親子の それは 「夢」の架け橋だったように思います。

                                      
                                      これは部屋の入り口についていたもの。
                                      多分、お祈りの際に十字をきるための
                                      聖水を入れてあったのでは・・と思います。


どんな時代でも 大変な混乱期というのはつきものです。
でも どの時代も乗り切ってきたのですから この時代も乗り切れる。
その為には これからの時代を担う子供たちに 「夢」を持たせる事が大切。
そして 生活にメリハリを持たせること。
「特別な日」に「特別な場所」へ「特別な装い」で大切な人と過ごす。
「美しい生活」はそんな愛情をひとつ、ひとつ丁寧に育むことだと思います。