キャラバン サライ

夢は大空へ、努力は足元で、世界に目を向けながら足元から子供たちを見直していきたいと思っています。

旅の日常

2006年01月27日 | Weblog
久しぶりにインドの写真を見ていた。
どれも思い出のある場面だったが、思わず手を止めてしまったのがこの写真だ。

何のこともない写真だ。
アーグラー(タージマハルがあることで有名)という町の宿の屋上。
インドの宿によくあるように屋上がレストランになっている。
そこから見た夕日がきれいだったから、食事を待っているときに撮った写真。

この写真を見て、一気にあのときの気持ちがグワっと胸に来た。胸がつまりそうだった。
写真に外国人が写っている。笑うこともなく、楽しそうでもない。
左の男は一人だ。
右の男女はそれぞれ日記をつけている。
淡々とした旅の日常。

目的もなく行きたいところにいく。見たいものを見る。
疲れると、食堂を探す。
そのほとんどが一人。
からからに乾いた町を、迷路のような路地を、真っ暗な町の深部を、ひたすら歩いた。
インド人と一緒にいるときも、一人だった。
そして、暗くなると宿に戻る。
旅人に慣れたインド人と少し談笑する。
屋上で食事を注文しながら、今日の出来事を思い出したり明日のことを考える。
一日で一番ほっとできる時間。
それがこの写真に写っていた。

旅といっても冒険ばかりではない。
日本とは全く違う、非現実的な環境、習慣、人々の中で、
やはり日本と同じように淡々と日々を過ごす。
何にも縛られず、その日にやれることをして、また明日を夢見る。
それが旅だと思う。
この写真は、旅の冒険談に浮かれていた僕にそれを思い出させてくれた。