キャラバン サライ

夢は大空へ、努力は足元で、世界に目を向けながら足元から子供たちを見直していきたいと思っています。

バスの中の幸せな読書

2010年02月27日 | Weblog
日本にいるときよりも本を読む時間が多い。
現場事務所へは定期バスで片道20分。
バスの中では最初に本を読み始め、眠くなったら寝る。
これが幸せなんだ。

ということで、最近読んだ本について。

『風が強く吹いている』
三人くらいから薦められた。
基本的に薦められた本や映画はできるだけ読む(観る)ようにしている。
でも、今回は、うーん。
薦めてくれた一人は陸上部出身だったんだけど、うーん。
あまりに、突拍子もないストーリー過ぎて、物語に集中できなかった。
文章も、あまり好きではない。

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』
実家にあったのを気なしに持ってきたんだけど、意外と面白かった。
最近読んだ新書では一番面白いし、学ぶことが多い。
僕は本の中で面白いページには折り目をつけてしまう癖があるけれど、この本にそれをすると折り目だらけになってしまうのでやめた。
会計って面白そうだなと思った。
日本に帰ったら少し勉強してみようかしら。

『フリッタ・リンツ・ライフ』
森博嗣の飛行気乗りを描くシリーズもの。
これまでに、このシリーズを3冊読んだけど、シリーズが進むたびに面白くなるように思う。
このシリーズは、最初の巻が全ての物語の最後なのだ。
だから、最後にみんながどうなるかを分かった上で、読者は2巻目以降を読む。
時間軸を考え、複線を考え。
でも、それ以上にこのシリーズの文章が好きだ。
無駄を一切省いたような、透明で、切れのある、面白さ。
森博嗣の推理モノもいいけど、こういう小説もどんどん書いて欲しい。

『人間失格』
太宰治は、走れメロスを学校の教科書で読んだだけで全く知らないため、ふと読んでみようと思った。
あまり詳しい感想は書けないけれど、すごい、すごい、と思いながら読んだ。
とにかく、感心しながら読んだ。
ストーリーと言うより、何度も読み直しても、読める文章だと思う。

『斜陽』
上記と同じ理由で読んだけど、主人公の没落貴族嬢があまりに好かない(それが狙いなんだろうけど)。
でも、やはり、すごい、すごいと思いながら読んだ。

『みゆき』
これは漫画だけど、キャンプの図書室にあった。
まだ全部は読んでいないけど、こんなに面白いものだとは思わなかった。
なにか、読むと元気がでてくるので、元気がない夜なんかに少しずつ読んでいる。

卓球カタールオープン

2010年02月25日 | Weblog
卓球のカタールオープンという国際試合がドーハで行われるという情報があり、日本人選手も出場するということだったので、金曜の午後に車を借りて先輩数人と観戦に行ってきた。

普段はテレビ以外のスポーツ観戦といえば、なんだろう、最近したということが思い当たらない。
それくらい、見に行かないけれど、こっちに来てからは何かと国際試合を見に行っている。
サッカーW杯予選、GPグランプリ、ゴルフのマスターズトーナメント。
娯楽が少ないっていうのも理由のひとつだけれど、人口が日本に比べて極端に少ないため「国際試合」というのが日本よりも身近に感じるのかも。
そんなことを最近思うようになった。

さて、卓球のカタールオープン。
卓球の試合って生で見ることはもちろん、テレビですらまともに見たことがない。
スポーツ番組で20秒くらい流れるのを見るくらいだ。
なにがどう進んでいくのか勝手がわからない。
とりあえず、入場は無料。
世界大会だというのに、なんというか、かなりいい加減な運営で、どこかの中学校の市民大会のよう。

到着してすぐに、運良く福原愛の試合が始まった。
てきとうな運営に少しげんなりしていた気持ちも福原愛の試合を間近で見られてテンションは急上昇。
強い。
最近のニュースでは若手の石川佳純に抜かれたとか、いろいろ不調な話もあるけれど、やはり日本人の中でも福原愛は強いように見える。
予選ではあったが、観戦した2試合を圧勝。
石川佳純は、速い。
きれがあって見ていて面白い。
かなり強い中国人に負けてしまったけど。
日本男子も善戦したが、やはり中国、韓国勢は群を抜いて強い。

個人的にはカットマンの試合を見ているのが面白い。
映画のピンポンでもカットはかなり奇異に写った。
強打をなかなか打てないし、結構試合では負けているように見えるカットマン。
どうして、あんな変則的な打ち方にこだわるのだろう。
と、思っていたら少し前に世界大会で優勝したのは中国のカットマンだとか。
今回も日本の石垣優香がカット使いで、熱心に応援した。負けてしまったけど。

観戦席には、ドーハ在住の主婦と子供たちが大勢来ていた。
日本人会というものが、大使館夫人を中心にあるらしい。
卓球を見に来たというよりも、子供たちを遊ばせる場所を求めてきたという印象が強い。

福原愛は試合後、わざわざ日本人の集まっている観客席まで来て挨拶をしてくれた。
その後、観客席の僕らの近くに座ったので、思い切って一緒に写真を撮ってもらった。
なぜか、すごく緊張した。
ただ、あとで調べてみると、福原愛はあまりそういうのが好きではないようなので、よくないことをしたなと少し反省した。

このカタールオープンという試合。
あんな安っぽい運営なのに、世界中からトップクラスの選手が集まるそうだ。
優勝賞金がやけに高額だというのがその理由らしい。

キャンプに戻り、卓球熱がさめやらぬ中、先輩と卓球をしようという話になったが、昔卓球台のあった場所はネットルームに改造されており、かなわなかった。
あの不思議なサーブや切れるスマッシュ。
上げた手を下ろす場所がない感じ。

蟻一匹

2010年02月12日 | Weblog
まるで蟻のようだ。

特に皆が同じ色のヘルメットを被り、同じ色のオーバーオールを着て、同じ向きにずるずると歩いていると。
道路の脇では、溝にはまってしまったピックアップトラックに大勢がむらがり、10人くらいが何とか持ち上げようとしてちょこちょこと動き、一人が指揮をとり、何人かが叫び、それ以外はわいわいと見物している。
もうすぐお昼どきが近いということで、いたるところの塔や足場からぞろぞろぞろぞろとまるで蛇のようなうねりで彼らは降りてくる。
橋を一つ渡ったところに食堂があるというので、おびただしい数が様々な方向からこの橋を目指して歩いてくる。

僕はそのとき橋の上にいたから、それを俯瞰してほんとうに蟻のようだと思った。
もちろん、僕もその蟻の群れの一匹。

このまえ、テレビで渋谷駅前の交差点を上空から20分間撮影し、それを20秒間に縮めて放送しているのを見た。
歩行者用の信号が青になると、それこそ蟻よりももっと、それ以上に小さな無数の生き物のように黒いつぶつぶが動き出す。
しかも、まるで集団が意識を持っているかのようにかたまって群がってうごく。

人間の言葉がわからず、文化を理解しない宇宙人が上空からこんな僕らを見たら、蟻をながめる僕らが感じるのと同じくらいにしか思わないんだろうな。
蟻一匹一匹について理解していない僕らと同じように。

ゲーム渇望のわけ

2010年02月12日 | Weblog
香港で乗り継ぎの飛行機を待っていたときのこと。
巨大な空港の端の端のもうお店が何もない、ベンチだけがやけに多いところに座っていた。
そのとき、ふっと無性にゲームがしたいと思った。
最近では珍しいくらい。

ああ、携帯ゲーム機を持ってくればよかったな、と思った。
僕は、ニンテンドーDSやPSPを持っている。
2年前、カタールの赴任前に向こうでは休日が暇だという情報をもとに買ってみた。
結局、赴任後の数ヶ月しかやらずに今では日本の部屋の奥底で眠っている。
それらゲームをそのとき無性にやりたいと思った。

移動中に読むための本はしっかり持ってきているのに、なんだろう、このゲームに対する心の渇きは。
格闘ゲームかレースゲームがいい。

うむ、たぶん、僕は自分の起こした行動にたいする何らかの反応が欲しいんだ。
アクションに対するリアクション。
誰とも話せない、一日中移動するだけのその日、僕は自分がそこにいるという証明として、自分の行動に対して何か目に見える形で反応して欲しくて。
または、寂しすぎて、自分は一人じゃないと実感したくて。

いつもなら、相方がそこにいて、会話が出来て、でなければギターでも弾いたり、走ったりして自分を実感する。
僕はもっと一人でいても平気な人間だと思っていたけど。

あるゲームで、高得点をとる、または目標を到達する。
普段は別段興味の湧かないその作業に、今は強く魅かれる。
どんなものでもいいから、自分の作業の積み重ねを記録してくれるもの。
自分ががんばったんだと、自分がそこにいたんだということを将来に残してくれるもの。

でも、ゲームだけでなく、人の起こす多くの作業はそんな動機からかもなー。
(それじゃあ、話はどうどうめぐりだ…)

脱サラ

2010年02月12日 | Weblog
タンザニアを旅行しているときに、それほど大きくない町で脱サラをして自動車の中古販売をしている日本人に会った。
その人はその町で副業のラーメン屋も営んでいた。
年は50近いだろうか。

今のプロジェクトに、やはり年が50近くのおじさんで脱サラをしてフリーの電気エンジニアとして働いている人がいる(プロジェクトから給料をもらっているという点では今もサラリーマンには変わらないといえばそうだけど)。
もともとは某有名企業のエンジニアだったが、1年前に会社をやめ、勢いでこのカタールのプロジェクトに参加したそうだ。
サラリーマン時代には、海外での業務経験が少なく、よって英語もおぼつかない。
にもかかわらず、その技術力と持ち前の明るさで現場では国籍を問わずに人気者だ。

「脱サラ」、サラリーマンを脱する、この言葉の裏にはサラリーマンは脱すべきもの、それは自由を勝ち取るというのに似たアンチサラリーマン的な意味合いを持っているように思う。

途上国では安定した収入が得られるサラリーマンはなんと魅力的な職業だろうか。
それに慣れてしまうと当たり前のように感じがちな「安定した収入」というのは、ある意味生きていくうえでとても大きなアドバンスとなる。
それをあたかも「不自由な」「夢のない」ところから「脱する」という発想の「脱サラ」という言葉はいかにも先進国ならではの考え方のように思える。

ともあれ、上記の二人がそれぞれの地で輝いて見えたのは確かだ。
給料を会社から貰うか、稼ぎを自分で生み出すかの是非はおいておいて、自分がより本領を発揮できる場所で働くということは、きっとみんながいつまでも持ち続ける願望なんだろうな。

イエスマン

2010年02月07日 | Weblog
日本人はイエスマンだと言われるけれど、僕こそイエスマンだ。
弱いってこと。

予定されていた仕事を業者が延期して欲しいという連絡してきた。
僕は、理由を深く聞くこともせずに「イエス」と答えた。
その後、僕の下で現場を見ているインド人の同僚に
「なんでイエスなんていうんですか?
ここまで準備しているのに。
スケジュールに大きなインパクトがあるんですよ。」
と、強く言われた。

かといって、業者には既に延期を認めてしまっているし。
同僚の言うことは100%正しいし。
間違っていたのは、僕の「イエス」だけ。

本来なら僕が同僚のように現場をプッシュ、プッシュしていかないといけない。
イエスマンじゃ駄目なんだ。

いやはや、いやはや。
ふー。
冬の大きな空を見上げた。

雷が強く鳴っている

2010年02月05日 | Weblog
タイトルは『風が強く吹いている』のパクリ。
カタールでは珍しく、今夜は雷が激しく鳴っている。
雨も強く降ってきた。
明日は金曜でお休み。
そんな週末の夜。

『風が強く吹いている』は、まわりでやけに人気があったので読んでいる。
駅伝の小説だけど、薦めてくれるのは特に陸上と関係のない人もいるので、どんなものかと気になり。
文章は全然好きではないタイプだけど、意外と陸上、特に走ることについてすごくいいことを言っていたりしてうれしい。

あと、キャンプの図書室にあだち充の『みゆき』があって、ちょこちょこ読んでいる。
あだち充は好きだけど、『みゆき』はアニメで少し見たくらいで詳しく知らなかった。
知らなかったけど、これが意外と読んでいるとなんだか優しい気持ちになったり、うれしい気持ちになったりしていい。
単なる恋愛ものかと思いきやそれだけじゃなくて、親とか兄弟とか将来とかそういうものについて、なんだか少しせつなく感じさせてくれる。

それにしても雨が激しくなった。
少し怖いくらい。