かかりつけのお坊さん 奮闘編

転勤も定年もリストラもない、失うものは何もない最強な坊主が日頃の“感謝”を言葉にこめて、日常を綴ります。

忘れてあげることが一番の供養

2014-06-09 20:36:37 | 裏技・拾い読み

残された人が死者を思えば思うほど、その不憫さを嘆けば嘆くほど、それは死者の苦しみを増す因(もと)となる。

なぜなら、自分の死によって残された人を嘆かせるということは、死者自身の罪だ、と仏教では考えるからです。

★空也上人の作といわれる「地蔵和讃」は、そういうことをうたっているそうです。


野口雨情は最初の妻との間に長女をもうけますが、長女は生まれて7日で死んでしまいます。

野口は長女の死を嘆きに嘆き、日々泣き暮らします。百箇日法要の夜、雨情は夢を見ます。

子どもたちが楽しげに遊んでいるのですが、その中でたった一人、雨情の長女が、その遊びの輪から離れて、シクシク泣いているのです。

それを見た雨情が声をかけます。

「どうしたのか?」と。

すると長女は、こう答えるのです。

「だってね、お父さんがあんまり嘆くから、私の天使の羽が濡れてしまって、空を飛ぶことができないの」

夢からさめた雨情は、それ以降泣くのをやめようと決心したといわれます。

雨情の代表作のひとつ「しゃぼん玉」が作られたのは、それから十数年たってからのことでした。


私自身(ひろさちやさん)のことを言えば、母を送った時、私は気持ちがとても楽になったものです。

………

もうお浄土にいったのだから、こんなに安心なことはない。

ただ、「南無阿弥陀仏」を唱えていれば、なんの嘆きも、憂いもない。


広島ブログ
 
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