私の禁煙日記：其の１

清々しい朝です。

ある決意を胸に意気揚々とする私を、雲一つない青空が、祝福してくれているようです。

ある決意。
それは…「禁煙」

今朝は禁煙外来初日―。


禁煙を決意して３日目。
ここまでできる準備はしてきました。

◆お前はできると暗示にかけた。
◆極力タバコを吸わないようにした（４分の１になった）
◆吸う度に「こんなもの吸わなくても平気」や「これは必要なのかな？」などと自分に問いかけ話かけた。
◆ブログにあげた。
◆誰彼問わず「禁煙する」と言いまくった（昨日はゴミ捨て場で会ったおばちゃんにも言ってみた）
◆「禁煙するって本当ですか!!頑張ってください！！」という母親のメールに返信した。
◆「結婚するって本当ですか？」を禁煙に置き換えて車の中で歌った。
◆館ひろしの写真を５分おきに見た。

など。

『万・全・で・す！』


初心のため、予約が取れなかった私は、４枚半のアンケートを書き終えた後、じっと待合室でこの記事を書いていました。
アンケートにあった「治療するに至る動機はなんだ？」には「世間の冷風及び他人にかける迷惑」的なことを適当に書いておきました。


「ナカムラミオさ～ん」

思いのほか早く呼ばれたのは、診察前の薬剤師さんによるリサーチのため。

ひと通り喫煙のメカニズムや、禁煙方法についてレクチャーを受け、私をリサーチした薬剤師さんの判断が先生に伝えられるはず。


薬：「固い決意でこられたようですね」
未：「ええ、こんな具合に」

捨て忘れた空のタバコの箱を、握り潰すパフォーマンスでぎゅっとつかみはオッケー。
すぐさま一本残っていたことに気づいても平然と話を続けました。


結局。
喫煙のメカニズムは「ニコチン依存と精神的喫煙依存（癖）」の二つが絡み合ってできており、医者は薬を使って「ニコチン依存」を治療するから、癖は自分で克服しなさい。
ただし、このカリキュラムの間のカウンセリングと治療は、精神的依存とも深く関わるので、きっと大丈夫だと思います。
という話。

これが禁煙カリキュラムで、この間３ヶ月５回（今回は回数に含まれない）
途中で禁煙に成功しても休んではいけません。

この５回パック１セットに保険が適用されるからというのもありますが、例え早くやめられたとしても、その後のクールダウンも必要だと言う意味もあるのでしょう。

因みにこの５回で成功しなければ、向こう一年間は保険が利きません。
また、カリキュラム途中で棄権した場合は、今後どこでも禁煙治療を受けられないようです。

これはかなりの覚悟で挑まねばならない…のですが、それに引き換え治療法は至って簡単です。

「パッチか服薬か」

成功率はどちらも同じくらい。

パッチは貼り薬です。
薬と言っても「ニコチン」を貼る。
ですから常にニコチンがいっぱいの状態で、タバコを欲する気をなくすというもの。

服薬はニコチンではなく、吸いたい欲を少しずつ抑えていく薬だそうです。

この大きな違いは、パッチの場合、ニコチンが既にいっぱいですから、貼った瞬間からタバコは厳禁。
服薬の場合は、徐々に吸いながらやめれるが、車に乗る人には処方ができない。

当然私は車がなければ仕事にならないため、パッチしか選択肢はありませんでした。


「ナカムラミオさ～ん」

薬剤師さんカウンセリングから、待つこと１時間。
今度はいよいよ先生の診察です。

診察室に入るなり先生は―

「ナカムラさん、他人に言われたり他人のためにやめるならタバコはやめれないよ。今から肺活量とレントゲンやるから、しばらく自分の目的考えて。自分からやめる人は必ずやめられるから」

先生は、動機を適当に書いた私をたしなめなます。

そして処置室で、鼻を封じた細かい肺活量チェックと、超音波による気管の酸素濃度と血管部位のチェック、レントゲン撮影にのぞみ、しばし待たされた後、再び診察室の扉をあけました。

デスクのパネルに貼られたレントゲン写真と、肺内血流のリズムと酸素濃度が一目瞭然、事細かにわかるデータが並んでいます。

「ナカムラさん、強制的にタバコやめる理由ができましたよ」

そのひとことから始まった、先生の理論的説明と写真は、意志の弱い私が、その瞬間からタバコをやめるだけの説得力と、理由を持っていました―

相変わらずの青空が、病院を出る私を待っていましたが、朝感じた清々しさは、凍てつく風の冷たさに変わっていました。


つづく…


※もし本日行っていなければ、例え禁煙に成功しても、私は大切なことを知らずに生きていくところでした。
煙草を吸っているあなたへ。
例えやめられても、絶対指定禁煙外来病院に行った方がよいですよ。