押し入れ上段の棚を整理していたら、懐かしいものに目が留まりました。ドラマの台本です。
あれから10年―
2002年1月から3月末まで、全12回で放送されたNHKドラマ愛の詩「エスパー魔美」をご覧になった方、またご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。
私はそのドラマに、魔美のお父さん役で出演…するはずもありませんが、絵画指導と作品制作に携わらせて頂きました。
藤子・F・不二雄の原作漫画の初のドラマ化ということで、当時私の周りには、毎週楽しみにしているという方が結構いらっしゃっいました。
ここでは物語の内容は割愛しますが、主人公魔美のお父さんは漫画、ドラマ共に「画家」という設定です。
私はお父さん役の草刈正雄さんに、絵の描き方や立ち振る舞い等を指導し、ドラマ内に映る絵画を描かせて頂きました。
これが結構たくさん作品が必要なのです。お父さんのアトリエに置いてある作品や、イーゼルに立てかけた進行形の作品、はたまた個展会場の作品、それを購入された方の事務所セット内の作品等々…
かれこれ20点は描いたでしょうか?
話の内容によっては、私が描いた絵がメインで進行するものもありました。
抽象画を生業とする私より、ずっと適任者はいらしたはず。しかしこれも縁です。できる限りの力を尽くして、絵を仕上げた苦労を思い出します。田舎の家屋、静物、赤富士や魔美の肖像画など諸々ありました。中でも魔美肖像に関しては、レオタードで様々ポーズをとる作品が数点あったのですが、それはポーズ選びから携わりました。そのポーズ。何から選んだと思いますか?
実はヌードポーズ集からなんです(笑)
私は大人ですから構いませんが、それを見ながらレオタード姿で同じポーズをとらされる、魔美ちゃん役の笹岡りさちゃんは、かなりかわいそうでした(当時中学生)
ドラマ内で草刈さんが使用された道具は、エプロンを含めた全てが、長年私が愛用していたもの。それがテレビを通して映るのは不思議な感覚でしたが、草刈さんはさすが役者さん。私よりずっとそれらが様になっていました。その上、筆の持ち方や塗り方、手の汚れ具合いに始まり、離れて見るときの首の傾げ方まで細かく質問され、真摯に役柄になりきろうとされている姿が印象的でした。
役者さんや関係者の集まりから始まり、制作期間は役3ヶ月。仕事の合間を縫っては撮影所まで出向いて指示をうけ、何度も描き直したのを思い出します。
それからしばらくは、私の名前で検索するとエスパー魔美が出てきました。私の作品を知らない生徒には「先生は風景や人物を描く古典的な人だ」と思われていたようです。
その後、同局の番組で宮崎あおいさん、泉ピン子さんW主演のドラマ「ちょっと待って神様」にも作品を提供させてもらいました。
今となっては、どちらもとても良い思い出です。
日常生活、またこのようになかなか経験できないこと。些細なことから稀なことまで、その全てが今の私の血肉になっているのだと、手にした台本を見て、ひと昔前に思いを馳せました。
※写真の台本は(全12冊)大切な思い出の品です。そして実際の草刈正雄さんはこのまま。とてもハンサムな方でした。
しかも知らない私たちには刺激的です。
「イコンの役割」「自画像」は楽しかったな。ワクワクしましたね。でもブログだから大分抑えてますね?お見通しですよ(笑)
そして何より「川口江里さんの年始の葉書き」はきましたよ。これはきました。表現者として突かれました。心の大切な場所を。やっぱりミオさんだな。
なかなか読めないので、まとめて読んでます。
また連絡します。
おいらは背ぇ伸ばすから。遅いかな(笑)