小川洋子の「いつも彼らはどこかに」を読みました。216ページ。
本当にどの作品を読んでもそつがなくて安定感があって、
上手い作家さんだなぁと感心する小川洋子さんが
人の傍らに静かに佇む動物をテーマにした作品集です。
人と動物のお話といっても普通にペットとして飼っている犬や猫との
心温まる交流といったものとは明らかに違っていました。
その辺りを期待して読みだすと違和感でいっぱいになって
最後まで読めないかもしれません。
この小説に出てくるのは競馬馬だったりビーバーだったり、
チーターだったりカタツムリだったりです。
彼らはそれぞれの物語の主人公の心にそっと忍び寄り、寄り添い、
静かに消えていくそんな存在として描かれています。
つまり作者が書きたいのは動物ではなくて
彼らが入り込む心の持ち主のことなのです。
そのどうしようもなく深い孤独の闇が、
じわ~っと本のページから音も無く染み出してきて、
本を持つ指先から読者の心にまで到達し、
じっとりと濡らしてしまうような小説でした。
孤独はいつしか狂気をはらみ、現実と幻想が入り混じり、
「もう、どうするんだよコイツっ!」と突っ込みたくなるような人々・・。
逆に「私はまだコイツよりはマシだ」と変に安心させてしまうような人々・・。
そして、小説全編にわたって漂うしいんと静まり返ったような空気感。
私が小川洋子さんがすごいなぁと思うのはこの無音の世界を作り出す筆力の為です。
世間的には少しズレたおかしな人々なのだけれど、
その思いは少しも邪心がなくて透明で、だからこそ生きづらい・・・。
気配を消して近づいてくる飼い猫のようにちょっと不気味だけれど
でも滑らかで温かい体温を感じることができる、そんな小説集です。
本当にどの作品を読んでもそつがなくて安定感があって、
上手い作家さんだなぁと感心する小川洋子さんが
人の傍らに静かに佇む動物をテーマにした作品集です。
人と動物のお話といっても普通にペットとして飼っている犬や猫との
心温まる交流といったものとは明らかに違っていました。
その辺りを期待して読みだすと違和感でいっぱいになって
最後まで読めないかもしれません。
この小説に出てくるのは競馬馬だったりビーバーだったり、
チーターだったりカタツムリだったりです。
彼らはそれぞれの物語の主人公の心にそっと忍び寄り、寄り添い、
静かに消えていくそんな存在として描かれています。
つまり作者が書きたいのは動物ではなくて
彼らが入り込む心の持ち主のことなのです。
そのどうしようもなく深い孤独の闇が、
じわ~っと本のページから音も無く染み出してきて、
本を持つ指先から読者の心にまで到達し、
じっとりと濡らしてしまうような小説でした。
孤独はいつしか狂気をはらみ、現実と幻想が入り混じり、
「もう、どうするんだよコイツっ!」と突っ込みたくなるような人々・・。
逆に「私はまだコイツよりはマシだ」と変に安心させてしまうような人々・・。
そして、小説全編にわたって漂うしいんと静まり返ったような空気感。
私が小川洋子さんがすごいなぁと思うのはこの無音の世界を作り出す筆力の為です。
世間的には少しズレたおかしな人々なのだけれど、
その思いは少しも邪心がなくて透明で、だからこそ生きづらい・・・。
気配を消して近づいてくる飼い猫のようにちょっと不気味だけれど
でも滑らかで温かい体温を感じることができる、そんな小説集です。