晴れときどき・・・

旧街道あるき、古戦場巡り、城攻め、図書館通いの4本立ての日々を綴ります。。

今年の69冊目「 森見登美彦の京都ぐるぐる案内」

2013-09-19 07:52:27 | 読書日記
森見登美彦の「森見登美彦の京都ぐるぐる案内」を読みました。95ページ。

 旅が好きなので、旅の案内本とか旅行記を
かなりの頻度で読んでいます。

 私は旅に出てもあまり地元の方と異文化交流をしたりしません。
無愛想で人見知りなので
そんなストレスの溜まることをわざわざ旅先で出来ないのです。

 むしろ私が旅に出る目的は「公然と孤独になりたい」からだと
最近思うようになりました。

 実生活で例えば会社の食堂で一人ぼっちでランチを食べていると
職場での自分の浮き加減が解かってしまい、寂しいです。
家族連れで賑わう地元のショッピングモールで
一人のときに知り合いに会うと
やっぱり寂しくて逃げ出したくなります。

 私はそんな自意識過剰のばか者なのです。

 でも旅は違います。
一人で東海道を歩いていたってちっとも孤独じゃありません。
街道筋のうどん屋さんで「梅肉入りうどん」を注文しても
一人で美味しく食べられます。
「一人旅」が広く一般に認識され、
確立されたジャンルとなっているのは、
私にとって大変ありがたいことであります。

 だから「一人旅」はあんまりウエルカムでない場所が望ましいのです。
白洲正子女史の「かくれ里」にもありましたが、
まだまだ日本には呆れるほど排他的な風土を残す地方が存在します。
街道を歩いていてひしひしとそれを感じた事もありました。
私はそのような場所を目立ぬようこそこそとさ迷うのが好きです。

 一方世界に君臨する観光地京都は、
その旅人との距離のとり方が実に洗練されている場所だと思います。
なんだかんだで京都には年に二回ほど出かけておりますが、
当然千年の都を網羅することには程遠く、
その底知れなさに尽きせぬ魅力を覚えます。
と同時にどこを歩いても
「よそ者である自分」を思い知ることになるのです。

 この本は作家森見登美彦氏の数々の小説の舞台になった、
観光スポットとは微妙にズレた京都が
彼の小説の一部を抜粋しながら紹介されています。
「恋文の技術」「きつねのはなし」「夜は短し歩けよ乙女」など
彼の小説はとても幻想的で面白くて大好きなので、
今度はこの本を元に京都めぐりを企画して、
「旅の孤独」を味わって見たいと思います。